予算委員会の中で12月時点で保育所待機児が59人になっていることがわかりました。
これは重大なことです。
下記のグラフは河内長野市における近年3月1日の待機児数を示すものです。(基本的に4月1日は待機児はゼロです)
保育所の定員増を民間保育園さんにお願いして
2012年に+10名
2014年に+30名
2016年に+20名
行ってきたことと合わせて
2014年に始まった新制度以降、市内の私立幼稚園さん10園中9園がこども園に移行し、2016年の3月の待機児は27名で、子供の減少も考えると一定待機児問題は落ち着きを見せているのかと見えていました。
しかし今年は12月の時点で待機児は59名の高水準になっています。
もしかして子供が増えているのか?
そんな嬉しい話しはありません。
子供の絶対数が減っているにもかかわらず、なぜ待機児が増えるのか?
最初のグラフを注意深く見ると
保育所の定員増を行っていなければ結局は80名を超えた待機児が出ていることになります。
↑保育所定員増を行っていなかったと仮定したグラフ
子供が減っているのに保育所を希望する人が増える。
それは共働きが増えていると認識すべきです。
このグラフは河内長野市で子供がいる世帯の中で夫婦共に働いている世帯の数を追ったものです。
(国勢調査から引っ張った数値なので5年おきです。)
これを見ると、共働き世帯率は大幅に増えています。
そして絶対数は微減です。
以上から、子供が幼稚園や学校に行っている間にちょっとパートにいくという働き方よりも、フルタイムで働く方の割合が増えたと見るべきではないでしょうか。
河内長野市は全国平均と比べて共働き率は低くなっていますが、全国的にも共働きの世帯は同じ傾向で増えています。
日本の社会構造も、ベッドタウンとして発展してきた河内長野市の社会構造も、大きな転換期を迎えています。
人口減少の中での労働人口不足も際立ってきています。
小泉政権以降の三位一体の改革や、派遣労働を拡大し労働者を使い捨てにし、年功序列・終身雇用の制度が破壊されたこと、当然「アベノミクス」の効果は庶民には無いどころか暮らしは厳しくなっていること、歴代自民党政権による悪政も大きな問題です。もう一つ言うと高齢者と若者に分断を持ち込む維新政治は最悪の極みです。
自民党・公明党政権が待機児童対策として行った「子ども子育て新制度」の待機児童に対する効果については、今はまだ無いです。いやこの先も無いかも知れません。
なぜなら、「保育所落ちた日本死ね」が大きな社会問題になりましたが、
保育所待機児の主な年齢は0・1才だからです。
実際に河内長野市の12月の待機児の内訳は0才が50人、1才が9人です。
河内長野市で幼稚園からこども園に移行した園は、これまで通り3才以上が主になっています。
http://www.city.kawachinagano.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/10/H29.youtiennitirann.pdf
幼稚園から移行したこども園には0・1・2はノウハウ蓄積も含めてまだまだ受け入れは少なくなっています。
保育所待機児の1番の解決策は、保育所の定員を増やすことです。
そして、幼稚園から移行したこども園で0・1・2才児の受け入れ体制構築の援助をする事です。
しかし、いま一番の問題は保育所増設費ではなく、保育士不足です。
特に0才は3人に1人の保育士、1・2才児では6人に1人の保育士が必要で、3号認定(フルタイムで働く人)の保育標準時間の11時間保育を行おうとすれば、正職員は早出や遅出で8時間働いたとしても、朝夕のアルバイト保育士が必要で、さらにハードルが高くなります。
なぜ保育士不足になるのか?「子ども子育て新制度」では、なぜ待機児問題が解消しないのか?
それは、政府が保育は誰でも出来る仕事(介護も同じ)として位置づけて「子ども子育て新制度」をつくったからです。だから制度の中には保育ママとか、小規模保育所はビルの中で保育士の資格が無くても出来る、などとしているために保育士の労働環境が極めて劣悪になっています。「保育所落ちた日本死ね」の際、保育士の労働条件も大きな社会問題化しました。この抜本的改革なしに保育所待機児の問題は解決できません。
毎年、市の民間保育所の園長会から要望書が市に提出されますが、今年は初めて、「保育士の処遇改善について、市独自の施策を」との要望が出されました。その深刻さが分かります。
自民党の片山さつき氏が平然と「3才まで子供は家庭で見るべき」などと言っていましたが、自民党の思想的な問題も、保育所待機児が減らない大きな原因になっています。
日本共産党は待機児解消は最優先に取り組むべき問題と考えています。
待機児問題は単純に「保護者が困る問題」だけではなく、人口減少が進む河内長野市の将来の問題でもあるからです。
河内長野市は以前のように大阪市内の「ベッドタウン」としての需要は薄れています。若者の定住促進には子育て支援と同時に、地域に雇用を作り出すことが必要になります。
雇用の創出は「企業誘致」などの競争開発型は、もう河内長野市ではあり得ない時代です。保育や介護の仕事で雇用を生み出す事が地域循環型の経済構造を構築することになります。さらに積極的に女性の働く場を創設できれば、消費や税収増にも繋がります。
高度経済成長のなかで開発する事で発展し、減衰してきた河内長野市。これらの反省も踏まえて、人口減少問題と正面から向き合った時に最も現実的で堅実な街づくりの1つの柱になるのが、保育所・介護の待機者解消だと日本共産党は提案しています。