メートル法公布記念日(4月11日 記念日)
1921年(大正10年)のこの日、「メートル法」の採用を法制定した改正「度量衡法(どりょうこうほう)」が公布された。
それまでの長さの単位に「尺(しゃく)」、質量の単位に「貫(かん)」を基準とする「尺貫法(しゃっかんほう)」などとの併用から、長さの単位に「メートル」、質量の単位に「キログラム」を基準とする「メートル法」のみに一本化することとなった。
しかし、根強い反対運動により施行は無期延期となり、「メートル法」への完全移行は1952年(昭和27年)に「度量衡法」が廃止され、新しい「計量法(けいりょうほう)」が施行されたことでようやく行われた。
「メートル法」は、大革命後の18世紀末のフランスにおいて、世界で共通に使える統一された単位制度の確立を目指して考えられた。
1mの長さの標準は、1879年(明治12年)にフランスで作られた白金とイリジウムの合金で作られた「メートル原器」を使用していたが、1万分の1mm短くなってることが分かったため、現在はクリプトン元素が発する真空中における光の波長を基に標準が定められている。
特定国立研究開発法人産総研 National Metrology Institute of Japan (NMIJ)
NMIJが管理する国指定重要文化財
「メートル条約並度量衡法関係原器」
1889年の第1回国際度量衡総会において、長さの単位「メートル」と質量の単位「キログラム」はそれぞれ、国際メートル原器が示す長さと国際キログラム原器が表す質量によって定義されました。
日本国メートル原器と日本国キログラム原器はそれらとの差を補正して使用され、我が国の長さおよび質量の最上位の基準(国家標準)として、それぞれ約70年間と約130年間、近代日本の産業や科学技術の発展を支えてきました。
これらの原器および関連原器の歴史的および学術的な価値が評価され、メートル原器および長さ関連原器は2012年9月6日に、キログラム原器および質量関連原器は2022年3月22日に国の重要文化財「メートル条約並度量衡法関係原器」に指定されました。
指定を受けた器物は以下の通りです。
メートル原器(No. 22)一本
メートル副原器(No. 20c)※
※cは1874年製地金を表す一本
尺原器(No. 1, 2)二本
附
トンヌロー温度計二本
メートル原器校正証明書一通
キログラム原器(No. 6)一個
キログラム副原器(No. 30)一個
貫原器(No. 1, 2)二個
附
キログラム原器校正証明書 一通
下の図は重要文化財の指定書であり、日本国メートル原器および長さ関連原器が指定された日付と、日本国キログラム原器と質量関連原器が追加指定された日付とが併記されています。
2012年にメートル原器が重要文化財に指定された際、その名称は単に「メートル原器並関係原器」ではなく、「メートル条約並度量衡法関係原器」とされました。
ここから、日本国メートル原器が重要文化財に指定された2012年にはすでに、キログラムの定義もいつかは国際キログラム原器の質量に依らないものとなり、日本国キログラム原器も重要文化財になると予見されていたことが分かります。
そして実際に去る2019年5月20日に科学者たちの悲願は成就し、キログラムを含む、国際単位系(SI)の7つの基本単位はすべて不確かさを持たない定義定数により定義されることとなりました。
この重要文化財指定書は、それら単位の進化を支え続けてきた、度量衡にかかわるすべての関係者たちのたゆまぬ努力を静かに讃えています。
メートル条約締結と原器の来日
1875年5月20日、国際的な単位系の確立と普及を目的とし、メートル条約が17ヵ国により締結されました。 日本は1885年に条約に加入し、日本国メートル原器と日本国キログラム原器がこれらの容器に格納されて1890年に日本に到着しました。
日本国メートル原器
この写真は、左上からトンヌロー温度計(No. 4301、4302)、尺原器(No. 1、2)、日本国メートル原器(No. 22)、メートル副原器(No. 20c)で、右上は日本国メートル原器の校正証
日本国キログラム原器
この写真は、左上がキログラム副原器(No. 30)、その右の中央にあるのが日本国キログラム原器(No. 6)、下段にある2個の大きい分銅が貫原器(約3.75 kg)です。
日本国度量衡原器
1889年の第1回度量衡総会(CGPM)にてメートル条約加盟国18ヵ国の承認により、国際メートル原器と国際キログラム原器が誕生するとともに、各国に分配される原器が抽選により決定され、メートル原器 No. 22 と、キログラム原器 No. 6 が日本に割り当てられ、1890年に来日しました。