巨人ドラフト2011年2位の今村信貴投手を分析して見よう その2!
今回は球種を中心に分析して見たいと思います。

そもそもその2になってしまった最大の理由は変化球。見ていてとにかく違和感が凄い。それは何なのかをフォームから躍起になって探した結果が前回の長さ(笑)。感じた部分についてドンドン遠慮なくコメントしていきたいと思います!


【球種】
ストレート、カーブ、スライダー、フォークを投げるようです。それぞれを見ていきます。

<ストレート>
136~146キロ(未確認ですが甲子園後に148キロを記録したそうです)
高校生左腕として見た場合、間違いなくプロ仕様のストレートを投げています。ただ、スタミナの問題なのかあまり140キロを超えるような剛球がこない。力を入れたときのみプロ仕様のボールが来る感じです。その辺、常時140キロを軽く超えて打者を圧倒したドラフト1位の松本竜より1ランク落ちる印象です。


私は常時のスピードを重視し、MAXは無理をして投げた結果のスピードと考えているので140出るか出ないかな位が現状の力と判断します。今は短い回も投げさせて本気で投げる感覚を忘れさせず、先発を中心に二軍で投げることが必要な段階なんだと感じます。


力を入れると抜ける頻度が高かったストレート。ボールは綺麗な縦回転のため、リリースの強い左ピッチャー特有のシュートしながら逃げていく高めのボールにはなりません。意図しない高めはほぼ棒球。ただ、タイミングが合い、指に掛かれば糸を引くように外角低目へ決まる。この落差を何とかしたい。まずは威力を維持しての精度です。間違いなくストレートが生命線なので。


ストライクを欲しがると二流の投手で終わるでしょう。ストレートのコントロールは高校生ドラフト上位では普通以下。内外の投げわけが出来ますが、コントロールでも松本竜に劣っているというのが私の評価です。


ただ、キレは非常に良さそうで、低めに決まるボールを打者が結構見逃します。見逃し三振を狙える球質なのではないかと思います。そして球持ちと間が非常に良い為、タイミングを合わせるのが難しい。打ち損じを見ると、打者は差し込まれ傾向。ボールの伸びはスピードの印象より来ているタイプです。打ちにくいストレートとして今後も期待できる球種でしょう。進化の可能性も十分に残されており、角度も付いてくればストレートで押すポテンシャルを感じさせる素材であることは間違いありません。


<カーブ>
100~110キロくらいのカーブ。
緩急を重視しハンガー型(横変化)ではなくドロップ型の縦変化。…なんですが、スピードの割りにブレーキが掛かっているわけでも、落ちてきているわけでもない。高校生ではまあまあかなというカーブです。切るも、すっぽ抜くも出来ていません。これだけフォームが良いので、正直おもいっきり期待していたのですが、理解に苦しむ弱いカーブ。これはプロで通用しないでしょう。進化をさせるか、別の球種で緩急を狙う必要性があります。プロの指導を受けても、改善の余地がないのであれば、別の球種を考える方が早いかもしれません。


<スライダー>
110~120キロ。
ストレートとほぼ同じタイミングと腕の使い方で投げられるボール。…なんですが、スピードが遅い! MAX120キロと書きましたが、スピードガンの表示の問題であり、実際はもっと遅く見えます。横に滑るように変化するのですが、遅いなら曲がり始めたら大きなすべりを見せないと難しい。これなら頭に入れておかなくても、プロの打者は対応できてしまう可能性が高い。本来であればストレートと錯覚させて振らせるのが目的のボール。遅い場合はすぐ変化球とばれてしまうので、その上で変化点が遅いこと。どちらに変化するか分からない(分かりづらい)選択肢を用意する必要がある。それが球種としても実現できていません。シュート系が無い。思ったほどリリースが強くないことも気になります。


で、フォームを穴が開くほど見てみると、変化球の方がトップが浅く見える。タイミングで見ると変化球は上体の切り替えしが僅かに早い。それが腕の使い方で余裕を生んでしまう。車のアクセルでいう所の「遊び」と言えば良いのでしょうか。これが発生してしまい、肩の回旋にしっかりと腕が乗らず、結果としてリリースが弱く見えます。球速にばらつきがあるのも、胸の張りに弱さとムラがあるから。フォームの後ろは半径が狭くコンパクトなのに、前は大きく動く。なので、肩の回旋の力をかなり上手く腕に乗せなくては変化球が死んでしまう。下手にフォームの間がある分、本人感覚も外から見ている人も問題点が分かりづらい。これは変化球全てに言える要素です。


<フォーク>
110キロ~115キロ。
ダメです。プロでは全く使えません。腕の振りはフォークを投げられる流れを持っているため非常に残念です。手首から押し出すようにして投げています。これでは球種として使用不可能です。その後に投げるストレートに影響が出かねない。現状は使用を禁止するべきです。


今村のフォームを考えると、逆に柔らかく使うくらいが良い投手です。その場合は、しっかり腕が振れていれば、落ちなくてもチェンジアップの役割になってくれるのに・・・。


変化球は多少手首の形を決めて投げる方が良いパターンもあります。それでスライダーも十分投げられます。腕の振りが良ければボールはシッカリと動いてくれます。しかしこの押し出しの形はダメ。今村の良さを消してしまい、怪我の可能性すら出てきます。…何でしょう。変化球の全体的なガッカリ感。一言で言えば「弱い!」です。こんなに素晴らしいフォームを持っているのに。


「分析その一」の項目で述べましたが、今村はイメージしすぎるのかもしれません。変化球を投げる!…と。曲げようとしてリリースが弱くなるのであれば何となく分かります。ゴルフやテニスを経験している人はニュアンスで通じると思います。ゴルフであればフック・スライスを意識しすぎて直ぐ曲がりまくる。テニスであればスライスを打っても切りすぎてドロップショットになったり(笑)。初心者にはありがちで極端な例ではあります。どちらも共通しているのはフルショットしているのに、効率よくボールに力を与えられておらず同じ結果になることです。


そういった延長上の問題であれば、逆に変化球をストレート化すれば良いと思います。全部同じ投げ方。ストレートもカーブもスライダーも全部同じ意識。ストレート投げたら勝手に変化した…くらいの感覚で良いのではと思います。変にイメージしない。


また、カーブが使えないのであれば腕の振りは良いのでチェンジアップの習得も目指して欲しい。今村はフォロースルーが大きいためカナリお勧めの球種です。後はシュート系がないのでツーシームも考えて欲しい。この2種類は肘への負担が少ない球種で、まだ若い今村が練習するにはもってこい。且つフォームや投球術においてもマッチングするボールと考えます。


球種が少ないため、まずは信頼できる変化球を一つ作り、緩急を考えながら空振りが取れる変化球も磨いて欲しいと思います。


<コントロール>
既に散々書いた気もするのですが、一応触れたいと思います。
ストレートはコースの投げわけは出来るものの、よく抜ける。投げミスも多い。高いボールは棒球が多い。
低めにコントロールされると素晴らしいキレのボールが行きます。高めのボールも意図して威力のあるボールが投げられると投球の幅が広がります。精度と高低をテーマに苦手分野を克服して欲しいです。


変化球は全般的に甘いです。簡単にストライクを取りに行ってしまうため、カウント的には攻めているのですが、アバウトなのですぐに苦しくなってきます。こちらも意図してボール球に出来るコントロールが必要になります。特に現状は変化球の威力が弱いため、コントロールと投球術の重要性が高い投手と言えます。


プロでは簡単に見極められてしまうレベル。急がば回れで体幹トレーニングと(助走なし&あり)30メートル位のキャッチボール(変化球交え)をしてみると面白いと思います。変化球は届かせるのが物凄く難しくて、段々強いリリースのコツを掴めるのではと。また、ブルペンではアピールを二の次にしコントロール重視の練習をして欲しいと思います。例えば9回2アウト1点差フルカウントと状況を想像してからの1球ピッチング。そういった意識付けの違いが1年後、3年後に大きな差となってきます。


<投球術>
松本竜と同レベル(笑)。
いったれ~~!ですよ。真っ直ぐ真っ直ぐ! 打たれても強気にインコース。どんどんインコース。
困ったらアウトロー。球種もフォークは殆ど投げないため、カーブとスライダーをアクセント程度に投げる。ガンガンストレートで押す。そのためのカーブでありスライダー。テンポも良い…というか良すぎ。ポンポン投げすぎ(笑)。


これを投球術と呼んではいけない! と言うくらいある意味で気持ちの良い投手です。まさにThis is 高校野球! 度胸と言うか、心意気は買いたいですね。


逆にこの真っ直ぐさが、打者の対応を簡単にしてよく粘られます。今村が負けるときは大敗が多いのですが、粘られて根負けしてストレート・カーブを打たれるパターンがほとんど。ストレートの出来次第となります。今村自身に「崩す」「かわす」「誘う」などの選択肢が投球術として確立されていないため、今後は投球の術をシッカリと自分で考えて欲しいと思います。


<その他の基本技術>
クイックは早く1.1秒前後を記録。
牽制は普通以上かな。
フィールディングは問題なし。


クイックの1.1秒は既にプロレベルの高速タイムです。後は精度を上げるだけ。非常に良い。


牽制については実際に生の試合で見ないと分からない部分が多いので、普通以上としています。左投手は余りクイックな牽制が難しいため、目で抑えるなどの心理戦になります。そういった部分で抑えているかと言えば、ピッチャー・ランナー+野手が同時に見えないと分からない。しかしながら、意識は十分に向いていると見えるのでランナーは走りにくい投手ぐらいには感じているのではないでしょうか。クイックも早いし。


現状一軍不動の捕手・阿部は安定して1.9秒くらい。楽に2秒を切るタイムで二塁へ送球が出来ています。なので、巨人投手のクイック目標は1.2秒以内。それができれば、二人合わせて約3.1秒になるので、余程遅い変化球やコントロールミス・捕手のミスが発生しない限り刺せる確率は高くなる。今村はまず完璧なスタートを切らせない意識がある。クイックも早い。ランナーに対しての対応は良いと言えるでしょう。


フィールディングですが、試合前の練習映像が内野手と見間違える動きをしていました。第6の内野手として十分動けるのではないでしょうか。


ここの項目は高校生として見て十分な内容だと思います。プロでも直ぐに高いレベルのものが身につくセンスを感じます。


<まとめ>
とにかくフォームの美しさに反した、結果(ボール)の精度の悪さ。それが何なのかを追求するのに非常に分析で苦労した選手。逆に言うと土台は非常に高いレベルにある。あと少しの切欠で化けるだけの土台を十分に感じます。


ドラフト2位で指名されるだけの理由。それはハッキリ「素材の良さ」の一点です。質の高いフォーム。肩と肘の柔らかさ。球持ちの良さ。投手として必要なスキルの習得。MAX時のストレートの威力。こういった部分にスカウトは評価を1段階上げたのだと思います。


個人的にはドラフト3位か4位かな~と感じる投手。何故かというと変化球の弱さ。精神面の物足りなさ。育成方針の難しさを感じてしまうからです。変化球はもういいですよね(笑)。精神面については高い意識で野球に向かっているのか疑問に思うシーンが多い。仕入れた情報・映像からは練習で特別高い意識を感じる内容はありませんでした。高校生左腕にありがちな「みんなと練習をしていたら実力がみについた」タイプに見えてしょうがないのです。


まあ彼ほど悪くは無いと思っていますが、何年か前のドラフト2位宮本を思い出します。何年か前の社会人ドラフト2位の上野貴久も同じ印象でした。そういえば完成度は高くともチャンスを全く与えられなかった社会人ドラフト2位古川・・・。巨人のドラフト2位左腕は何かあるのでしょうか(苦笑)。


話を元に戻しまして…。
プロで活躍するために必要なことを考えながら、高校生活を過ごしていればコントロール・変化球や投球術の部分がどれだけ重要か分かるはずです。その部分こそが逆に疎かであり、牽制やクイック、フィールディングなどの基本スキルは教えられれば身につきます。つまり教えられたことしか出来ないとも考えられます。その場合プロでは大きなハンデを背負っていると同義で、大成は難しい。


コントロール、変化球、投球術は教えたからといって必ずしも結果には結びつきません。同じ事を伝えても結果に個人差が出る。プロの世界は常に工夫をして、自分のオリジナルを模索していく世界です。理解の浅い技術は対応されたときに応用が効かず自分で修正できない。トップの形成などを見ていると、チェン(または良く似た一流選手)を参考にしているのではないかと思います。形は素晴らしい。しかし、その後の流れが私の評価を一変させています。


教わることも真似をすることも重要です。あまりにも高い世界は全体を見るのではなく、点を見ることで理解がはじまります。しかし、理解した点に囚われすぎても、本来あるべき形を見失う。今村に感じる違和感はそんな印象です。本質を知らず、具現化する能力に特化している。実戦性の高いフォームながら、実戦力が皆無といって良い投球内容がそれを物語っています。



ここで初めて2012年の今村の成績に目を向けてみます(2012年のフォームは見てません)。
去年二軍でノーヒットノーランをして注目されつつありますが、二軍の成績は必ずしも褒められる数字ではありません。四球の多さ(四球率4.17)や失点率(4.39)の高さ。防御率(2.63)の良さに隠れて、今村の問題点である制球と波の大きさは全く改善されていないと感じます。そして、決め手のないことを証明する奪三振率(2.63)。低すぎます。ストレートと特に変化球の進化は数字から伝わってきません。


少なくとも精神面を度外視した部分。「高さなのか前後なのか重点がハッキリしない位置エネルギーのフォーム」について改善が進んでいるのか。実戦の中で工夫を続けているのか大いに疑問です。ここは精神より技術論なので、1年プロでやっていて変化を数字で見れなかったのは残念です。非常に土台が良いだけに!去年はプロの練習に慣れて終わってしまったのではないでしょうか。課題はそのまま放置に感じます。


数字から感じる「かわす・打たせて取る」ピッチングを始めるなら、まず自分の武器がプロでは何なのかハッキリ掴んでから行うべきです。まだ早い! 高校時代を見ると現状の武器は間違っても投球術ではないし、1年で身に付くとも思いません。結果を必要以上に求めてしまい、勝負する・チャレンジする戦いを18歳の若さで(楽な道に)逃げたと感じてしまいます。


まだまだ二軍の選手。打たせて取るだけでなく三振も取れる選択肢がなくては、一軍の先発は見えてきません。時間は掛かるかもしれませんが、器を大きくして欲しい! このままではこじんまりとした投手になってしまい、一軍に登板できても定着は遠き道となります。彼が目指す先は「内海」「杉内」の後継者なのです。素材は十分であり、その可能性を期待されている以上、超える意識を強く持ってほしい!


今村は球種が少ないのでリリーバー向きかな?と思いつつも・・・これほどの素材を目にして、先発か中継ぎの属性に悩むのがそもそもオカシイ。と、途中から考えるようになり、先発として足りない部分を考えると想いがぶわ~~っと文章に乗ってしまいました。その1では完成に3日(家に帰ってきても仕事してる気分でした…)も時間をかけましたが、その2は実質1時間。勢いで非常に厳しい書きようになり、不快な想いをさせてしまったことと思います。見苦しい文章になりましたこと、我慢して読んで下さった皆様には深くお詫び申し上げます(今村ファンの方ごめんなさい)。


検証していて感じたのはプロで十分通用する土台と素材の良さ。そしてまだ戦力としてみるには粗過ぎで結果よりも内容を問われる段階の投手という印象です。今シーズン一軍デビューが出来たらかなり早い進化を実現したと言えます。個人的には大幅なスケールアップを期待したいので、来年でもいいかな! なんて思ってます。


フォームの動画は見ていないのですが、2013年キャンプでのリリース写真をちらっとみたことはあります。これを見る限り、低すぎた重心が随分と良い高さへ修正できていると感じました。
ボールは見てないので断言が難しいですが、ひとまず順調に成長中なのだと思います。間違いない素材なので、完成形の形が見えるまでは二軍で大きく育てて欲しい。そして、いきの長い選手になってもらいたいと思います。一軍で是非また分析をしたい選手。期待して待ちたいです。


非常に長い文章にお付き合い頂き、皆様ありがとうございました。
それでは失礼いたします。

今回のドラフト選手を分析して見よう!
2011年ドラフト2位の今村信貴投手を分析したいと思います。
どうか……おい今更かよっ! 遅いよ! と突っ込まれないで下さいませ(笑)。


さてさて、2011年のドラフトと言えば菅野が日本ハムに指名され、巨人ファンにとっては残念なドラフトだった記憶が残っています。その空いたドラフト1位には松本竜也。そして2位には今回の今村信貴投手! 当時の巨人は若手左腕が枯渇しており(支配下登録では25歳の辻内が最年少)。同年のドラフト4位で高木京を獲得し、田原投手も重要な場面で活躍してくれました。彼らの将来性も含め、今から見れば良いドラフトになったと思います。


ただ、この2位である今村は名前自体は有名だったのですが実は全く知りません。お恥ずかしい!という訳で、面白い投手だと嬉しいなぁという想いを込めて分析を始めてみたいと思います!



簡単な球歴
180cm 70キロ。
高校生のプロ上位指名投手としては、いたって普通の体型。
中学はシニアに所属。この頃はまだ普通の選手でストレートも120キロ台。変化球投手だったようです。
太成学院大高に進学。ちなみに進学した高校は大阪で伝統ある野球の名門と言うわけではないようです(県予選8強が最高←今村2年時に達成)。


高校の野球では1年生秋からエースとして活躍。2年生秋に大阪大会ベスト8に同高として初進出。その時の内容が大きく注目された。ストレートはMAX146キロ。38回を投げ54奪三振。準々決勝で履正社戦に0対4と敗退するまで圧倒的なパフォーマンスの快進撃が続いた。


この活躍により、来年のドラフト一位候補と報道で騒がれ、過度な注目に自分を見失う。150キロを楽に越える素材として期待されスピードを追い求めてしまう。これが投手としての成長を止めてしまい、フォームを崩しちょっとしたスランプに。


そんな状態の今村と練習試合で日大三と対戦する。この時期の日大三は高校最強チームと言われており、どのような投球をされるのか注目された。結果としては0対15と大敗。今村自身も7回8失点と全く自慢のストレートが通用しなかった。


この結果を受けて、今村自身ストレートのスピードより質を求めるようになる。シッカリと軸を意識して、よく抜けているボールを減らすべくバランスを重視してフォーム改造。最後の夏へ向けてゆっくり確実に階段を登る。


3年夏。一回戦は5回コールドながらノーヒットノーランを達成。10奪三振と圧巻のピッチング。内容もカーブ・フォークを封印して変化球はスライダーのみ。この投球を日米10球団が観戦。一時は評価を落としたがドラフト上位にリストアップする球団が現れた。二回戦も二番手として登板。4回1/3を無安打に抑え込む。ここまでヒットを打たれていない投球に、スカウトのコメントも増える。


三回戦は対戦チーム・金光大阪が自慢のストレートを研究しており、ストレート勝負でつかまる。14安打7失点の惨敗。ただ、この内容でも各球団のスカウトは評価を落とすことはなく「左の高校生ではトップクラス」と注目は変わらなかった。ここで、今村の高校野球は終わりを告げる。


以上が簡単な球歴になります。



投球フォーム
分析前の前置きとして、松本竜の分析の時も申し上げましたが左投手は基本的に厳しい目で見ます。
それは高校生の場合、右投手より左投手のほうが遥かに良い成績が出やすいからです。左の好投手がゴロゴロいて、対応に慣れているプロを前提とすると「前評判より割り引いて考えた方が丁度良い」ぐらいに考えています。


プロ視点だとメンタルの部分において高校生左腕に限れば、未熟な部分を感じる投手が多い。上位での指名は単純に結果で評価するのではなく、総合的な観点で信頼できる明確な根拠が必要です。そんなリスクを背負ってまで指名する選手であったのか。その背景から、悪いところを探す方に少し比重がよります。ご理解頂ければ幸いです。


という怖い前置きをしまして・・・。
この投手。分析を開始してから直ぐに混乱(笑)。

(開始2分)「おお~~いいじゃん!」
(開始4分)「ん?」
(開始6分)「なんだこれ?」
(開始9分)「…よくわからん」


こんなことを口にしてました(苦笑)。最後の方はもうゲシュタルト崩壊。こりゃパッと見てササッと書くのは難しい感じです。少なくとも私程度の観察眼では、気楽に書くブログと言えど筆が進むのに時間が掛かりそう。久しぶりに苦しみながら書いていくことになりそうです。では、参りたいと思います!



<始動~立つ>
胸前でグラブを止めるノーワインドアップ。全体の投球フォームは重心が低いため、この形で良いと思います。グラブの高さを腹で止めるフォームは左手を振り下ろす際、間の余裕が出すぎる可能性がある(早く降ろしやすい)。つまりフォームの流れが淀んでしまう。その日の調子で調整しやすいポジションで止めるのがいいと思います。


続いて重要動作となる「立つ」。スッと足を上げ、右足の足首を軸足側へ巻き込むようにして立ちます。ここでシッカリと間を持ち、軸足に体重を乗せようという意識が伝わってきます。後ろの脇(左脇)が若干空いていますが、これは全然問題ありません。今村は前の脇をしっかり締めており(右脇)、前へ行こうとする軸が曖昧になりません。グラブの位置が軸の線上にあり、しっかりとした一本の軸が形成出来ています。上げた足も高い位置まで上がり、位置エネルギーを上手く下から上へ持っていきます。力を溜めつつ、非常に良いバランスの「立つ」。ここまで気になる部分はありません。OKです。


<重心(腰)の落とし>
本来であれば、この項目は次の項目である体重移動と一緒にしたいのでが、技術的に見ると別の考え方をする必要があるため分けます。


今村は軸足(左足)の内側に体重を乗せ、腰を落とし膝が自然と曲がりつつ投球方向へと向かわせます。ここでポイントとなるのは内股をイメージしつつ、腰を落とせるか。ここで膝が外に割れている投手は、突如コントロールを崩したり、精度を欠くボールが多い傾向にあります。バランスが悪くなりやすいからです。その場で腰を下ろしてから始動するのも、基本的に力のロスとなり、バランスを取るため背中を丸めてしまう(軸が曲がる)などの予備動作を併発させてしまう要因になります。


また、腰を落とし下半身を屈伸することで上体の稼動域が広がります。肩や肘の負担が減り、様々な変化球を投げられる要因にもなります。重心が低くなればバランスも安定しやすく、コントロールにも良い影響が期待できます。


前後エネルギーを意識して「軸足の膝で蹴る(または押す)」イメージで軸足を使えると、あたかも後ろから人が押してくれたように前方へのエネルギーが大きく動きます。このイメージが重要。


ザックリ説明の予定が、長くなってしまいました。今村はこの上記の流れを十分に出来ていると見ます。


ちなみに腰高で膝を曲げないフォームも意図があれば十分プロでも通用するフォームに仕上げることは可能と思っています。その人の体型や、投球術、変化球の種類にあっているかがポイント。日本人は体型的(手足が短く、下半身に筋肉が付きやすい)に下半身の粘りを使用したフォームが合いやすい。今村も同様であり、ここまでの動作は正直プロのレベルに達していると感じます。



<足の運び(体重移動1)>
腰を落としつつ、軸足からの体重移動。前足の踏み込む足が開かず、しっかりとこちらも内股で下半身の開きを押さえています。前足の股関節を締めておくことで簡単に足が下りなくなり、足先が低い位置を滑るように移動します。


ちなみに前足が割れて簡単に下りてしまうと、身体が外へ流れてしまいます。逆に選択肢が積極的に(体重を)流すしかない。これはあらゆる可能性を消すことになります。日本人トップレベルの投手は足の運びで両股関節を締める。この技術をかなりの選手が行っています。着地までは上体が絶対に腰より前に行かない。ヒップファーストといって、お尻から身体の運びます。村田兆治や野茂ほどはっきりお尻を出す必要は全然なく(あれを真似するのは異常とも言える下半身が必要)、股関節を締めるだけで、軸が崩れず勝手にヒップファーストになります。お尻から行く意識があれば上体は突っ込まず、トップで右足と左手の距離も稼ぎやすい。何より下半身の力の分散・ロスを防ぐことが出来ます。


今村は綺麗な足の運びが出来ている。上体も位置エネルギーが低くならないように、肩よりも高いところへ右腕を上げて突っ込みと開きを抑えています。どうしよう・・・私の突っ込みどころがない(笑)。ここまで高校生としては特出した良いフォームと思います。



<着地(地面を掴む・体重移動2)>
非常に綺麗な着地の形です。始動からここまで、半径も狭く維持されています。半径が狭い選手は肩の回旋が非常に早く、打者はタイミングを合わせるのが難しい。今村がストレートでガンガン押しても、打者が対応できない理由を垣間見れる形です。前へしっかりと身体の軸が動いていて「自然な球離れの遅さ」を実現できる雰囲気がムンムンします。軸足となる左足も甲が地面をシッカリと捉えており、バランスの良さを感じます。着地までの間があり、開くまでの粘りもある。股関節での体重移動が出来ている証拠です。当然、上体も全く開いていない。素晴らしい!


今まで触れませんでしたが、では何故こんなにボールが抜けるのか。ハッキリ言えばコントロールが悪いのか…不思議でなりません。着地までいい選手は経験則から言って結果も良い。ここが冒頭の「なんだこれ?」につながってます。


ここでやっと一つ物申すとすれば、着地をしてすぐのタイミング。グラブをシッカリと抱え込み、身体は開いていないのですが捕手側に上体が傾いて行きます。ちょっと傾くのが早い。言い直すと、下半身を使う前に突込みが発生しているとでもいいましょうか・・・。


横ではなく縦軸の投手なので、高さの位置エネルギーを使いたい。しかしながら、開く前から既に突っ込みで低くなってしまう。これでは縦軸を上手く使うことが出来ず、前後エネルギーによるパワーに頼るしかないのでは・・・? その答えはこの後に出ているので、そちらでコメントしたいと思います。



<開き準備(バックスイング~トップ)>
球が速いと記事になるだけあって、バックスイングの入りは豪快。トップに入る直前から胸の張りが半端ない。圧倒的な身体能力を感じるわけでもない選手が、これほどの球を投げるのは、どこか強く使う部分がどうしても出てくる。怪我に繋がらなければいいのですが…。現状の判断は、下半身の使い方が素晴らしいので上半身の稼動域は十分に確保できていると想定します。


バックスイングの振り上げは遅めで、着地をしてから投げる意識を強く感じます。つまり下半身(体重移動)で投げるという意識です。ここまでは、上体の流れも大きな問題は感じません。


で、トップの形です。腕を振り上げ、ボールが頭の後ろにくる前に上体が前へ動いていきます。やはり早い。若干であれば良いのですが。結構動いてしまう。本来であれば回旋が始まってから前に行くべきで、回旋前から上体の移動が発生しています。


問題の根源は体重を前に乗せる際、骨盤が下を向くのが若干早い。背中で抑える筋力もない。下半身のパワーを股関節~背中で受けきれず、余剰したパワーが前へ倒れる結果になったのだと考えます。これまで素晴らしいフォームなので、徹底した股関節と背筋の強化を期待したいと思います。


<開き~投球スイング>
開きが始まるころには殆ど上体は倒れています。何か勿体無い。半径の狭い選手は軸が真っ直ぐで、回旋のスピードが強みになる場合が多い。軸が綺麗なため、精度も高い。その効果について自ら半径を広げ潰している感じがします。


捕手に正対した形だけを見ればオリックスに移籍した八木と似ています(そこに到る過程は全く違いますが)。八木は技巧派としての道をプロで進んでいますが、これを見ると同じ道に進むのでしょうか。ボールに自分の全体重を乗せようという意識が強すぎに見えます。上体が…ではなく身体全体が前へ向いている。悪くはないのですが、向きすぎに感じてしまいます。開きに入ると今までのフォームとの流れを崩して、前後エネルギーへ過剰に力を注いでいる。ちょっとチグハグ。


半径の狭さで有名なのは上原。上原も着地までは上体が後ろに残っています。正確には腰の縦ライン上に頭がある状態です。そして、開くと同時に胸が前へ。半径が狭い中、見事に胸を前へ動かせる。この動きが高さの位置エネルギーを更に強めます。回旋と前へ向かうエネルギーにより自然と右肩が前へ出て行きます。球持ちが良くなり、打者のタイミングも外れやすい。このフォームは実に見事で、実現の理由はしっかり存在します。左手の止めと抱え込みです。左手でシッカリと上体の突っ込みと開きを抑えるために、内側へ捻ります。そして開くと同時に、高速で抱え込み下へ持って行きます。オーバースローとして非常にエネルギー効率の良い使い方です。


今村も前の手に当たる右手の使い方に触れましたが、上原くらいハッキリと止めてしまった方が良いかもしれません。半径の狭い選手は、身体を如何に硬く使わせるかでパワーの溜めを作ります。上原は右手のコックなど身体の重要部分をロックして、溜めを生成しパワーに変換しています。こういう技術を自分で模索して見て欲しい。


前後エネルギーを使うにしても、この技術を強く使用している全盛期の斉藤和巳ですら、トップ時に捕手方向への前傾は存在しません。やはりここは大きなロスと判断します。


今村は正対したときの背中の柔らかさなど過剰に思えるほどで、これではボールが抜けていくのも分かる気がします。その状態から指先へ力を伝える身体の使い方が難しい。今村の欠点はイメージを具現化しすぎな部分かもしれません。意図していることが過剰になってしまっている。しかも欠点として分かりづらい。


話を戻しまして、今村のフォームは半径を意識しつつ、下半身の体重移動をシッカリと行うフォーム。チェンやソフトバンク斉藤和巳の良い部分をチョイチョイ感じます。身体の弱さをまだ感じるため、スイングはまだまだ早くなるでしょう。非常に肘の使い方が柔らかく、現状は球持ちに関して高いレベルを実現しています。出てくる肘の位置も綺麗な形で、質の良いスイングをしています。注目したい部分は今後の育成方針。強さを追求するか、柔らかさ・しなやかさを追及するか。


いずれにしても、現状は肉体の強化が最優先。その上で今の球持ちの良さが実現できるなら、ストレートは最大の武器になりえます。この良さを生かせるように上体を前傾させるタイミング。その力を付加した回旋のスピードに期待したいと思います。



<フォロースルー>
本来この部分には注目しないのですが、面白いのでコメント。
リリース後の手が地面に触れそうなほど、前へのフォロースルーが大きい。MLBのリンスカムのようです。たしかGet Sportsだったと思いますが、彼のフォームは地面に置いたお札を拾うように意識したものだそうです。これを「肩を痛めない投球フォームが身につく」と言っていました。このコメントを聞くまでは怪我しそうなフォームだなぁと思っていたのですが、言われてみて自分でやってみると「なるほど~」と腑に落ちた感じです。


肘や肩を痛める要因は間違ったフォームが殆どです。リンスカムはかなりダイナミックなフォームですが、下半身をシッカリと使いながら、上体も素晴らしいバランスを維持。突っ込んでいそうで、実は左足の着地時に頭の位置は腰の上。理想的で開きが始まっても、今村のような前傾がありません。左肘の強い引き! そして回旋時の止め! 左肘の使い方から来る右肩の強い回旋。ポイントとなるのが投球時に左肩より遥かに前に来る右肩と、その先に出る右肘です。投げるときに左肩からみて右肩→右肘まで斜め前に出ます。投球として当たり前の形です。が、このレベルは少ない。上から見た角度だと、見事に右肩→肘が斜め前へ伸びているのではないでしょうか。よく肘を前へ出せと言いますが、厳密には肩も出すのです※。それが綺麗に連動して初めて威力を保ったまま怪我をしないフォームとなります。

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※両肩と捕手がT字状態での投球。いわゆる90度の角度で投げると、下からのパワーを肩でまともに受ける形となります。前へ行こうとするエネルギーの方向を止めるので当然負担が掛かります。また、逆に肩を出しすぎると人体の構造上、捕手へ投げるのにはほぼ真下に腕を振り下ろすことになります。今度は角度が無さ過ぎの状態。これが肘と肩を痛めます。どんな右投手でもオーバースローなら右上から左下へ振り下ろします。この動作がロスと負担無く出来る角度が望ましいです。個人差はありますが肩甲骨は前の方向へ向かっています。挨拶する感じで手を上げるとその角度が分かります。その角度を踏まえた上で、上から斜め下へ自然に振り下ろせる角度が怪我を防止する理にかなった肩の出し方です。
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今村のフォロースルーは美しいレベル。左肩がシッカリと前へ出ています。別の言い方をすると、左肩を斜め下方向へ逃がしている。捕手から見て背中が見えるほどです。ボールの押し込みや怪我防止に繋がる良い形です。今はまだ身体が弱いのか、上体を前へ出しすぎるのか軸が投球スイング時にぶれる傾向にあります。それを証明するように帽子がよくずれる。バッターが三振したときにヘルメットが飛ぶことがありますが、ホームランのときは絶対にない。軸が崩れるから余剰のパワーが帽子のずれを発生させます。その最大の原因となっている前後エネルギーの過剰。それをせず、今のフォームを完成させるだけの下半身の強さ。もっと言えば、しつこいですが全身の強靭さが今は一番求められているように感じます。



はぁ…。頑張りましたつかれました。
皆様お疲れ様です。というか、まだ変化球&その他の分析が終わってません(泣)。
余りに長いので、2回に分けます。という訳で「今村君を分析しよう!その一」は終了でございます。
分析が本当に大変な選手です。その理由は次回のお楽しみに! …次回が来るかな(笑)。


ここまでお付き合い頂いた皆様、ありがとうございました!
それでは失礼いたします。

私がいつも愛読している「Lock-on Giants」ブログさまですが・・・
今後、プロ野球の3時間半ルールが撤廃される可能性があるというブログを読みました。
それがどんな影響を及ぼすのか、検証している内容でした。


3時間半ルールを逆手にとって先発投手が短い回で交代しても、投手リレーで抑える。
いわゆる「先発(2~3イニングくらい)→ロングリリーフ→勝ちパターン」の展開にフォーカス。
で、ブログ主さまは
中継ぎ陣の疲労を考え「今年からはこういった展開の試合については多少違った投手運用をするのではないかなぁと思っています」と〆ています。


私自身はこういった先発投手を簡単に交替させる考え方は「大嫌い」という(好き嫌いで恐縮ですが)考え方をしているもので、受け入れがたい。じゃあ、実際の内容はどうなのって事で、簡単に調べて見ました。ブログで紹介されているパターンは5試合。こちらでもその5試合にフォーカスして話を進めたいと思います。


基準として「先発が4回未満の投球回で降板して、結果勝利した試合」でブログ主さまでも検証しております。以下、その同じ試合について投球回の分担をデータとしてお借りして記載します。


5/16 宮國(1)・福田(3)・星野(3)・一岡(2)
5/27 小山(3)・星野(3)・福田(1)・山口(1 2/3)・西村(1/3)
7/-1 田原(2)・福田(3)・西村(2)・高木康(1/3)・山口(2/3)・マシソン(1/3)
8/23 小野(3)・高木京(2)・高木康(2)・山口(1)・西村(1)
9/18 笠原(2)・高木康(2)・福田(2)・高木京(2)・田原(2/3)・西村(1/3)
Lock-on Giants様しらべ


ここからは小次郎しらべです(笑)。

<状況のまとめ>
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5月16日 巨人先発 宮国 1回
オ 相手先発 金子
初回巨人が5点取っての5-0 初回裏を投げきるも右肩に違和感。初回攻撃中に代打石井(凡退)で交代。


5月27日 巨人先発 小山 3回
日 相手先発 武田勝
巨人苦手の武田勝。1-1でロースコア対決の予感。その中三回裏の攻撃(1アウトランナー無し)で代打エドガー三振で交代。


7月1日 巨人先発 田原 2回
中 相手先発 山内牡
0-0。6番からの下位打線で四球、四球、エラーで満塁。打席に田原で代打矢野。二塁打で2点先制。1ヒットで好投手山内をマウンドから引きずりおろす。


8月23日 巨人先発 小野淳平 3回
ヤ 相手先発 マロン
0-2。3回先頭の8番打者に死球。投手犠打。そしてミレッジの本塁打。酷い独り相撲。後続の二人を抑え3回投げきる。4回は先頭から5人中4人がヒットで同点。小田淳の打席で代打矢野で交代。見事ヒットでつなぎ満塁へ。この回一挙4点の逆転。


9月18日 巨人先発 笠原 2回
1-5。笠原のコメントしたくない酷い内容。3回先頭打者で代打矢野。その矢野がヒットで出塁し、巨人はその後4連打。坂本の満塁ホームランで5-5の同点に追いつく。
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こんな感じでした。で、切り分けをしたいところですね。作戦が良かったのか、脅威といえる選手の踏ん張りなのか、試合が荒れ運が重なったラッキーなのか。


【交代せざるを得ない状況】
5/17 宮国(故障のアクシデント)。
8/23 小野(交代するか迷うが打たれた内容が悪い。しかも2点ビハインド)
9/18 笠原(ボコボコ。論外)


【交代の必要性が低い】
5/27 小山(もう少し引っ張ってもよさげ)
7/01 田原(投げさせるべきと思いました。交代を聞いて阿部もベンチからずり落ちる)


作戦性の高いのは5/27と7/1。先発投手を育てて欲しいという考えのあるファンは物足りなさを感じると思います。私も強く思っています。ですが、結果として「武田勝」「山内牡」を相手から勝利を拾っています。特に山内牡の内容は中日サイドに悪いイメージを残したのか、巨人戦の登板はこの1試合のみとなりました。投手のところで、代打矢野は非常に大きな意味を持ったと思います。


また、ブログ主様があげた5試合全てにいえますが、相手の先発投手が巨人の先発投手に比べ格が上であるというポイントです。普通に戦えば負ける。8/23小野の交代もこのまま引っ張るだけリスクが高まり、勝利の確率は下がる一方だったと思います。で、交代の代打「矢野」がまた試合をひっくり返す切欠を作ります。矢野凄いよ。投手に関して、格が違うのでがっぷり先発投手対決になる前に試合の流れを変えてしまえという判断なのだと思います。普通で勝てないなら、普通じゃなくせばいい!巨人選手と対戦相手に「巨人はこの試合を本気で取りに来ている」と感じさせる。実際そんな流れ。


実際にこのブログに対して
Lock-on Giants様よりコメント頂いたのですが、それを裏付ける情報も一緒に頂きました。それが下記の内容となっています(2013/2/11 18:00追記)。


5/27:10連勝が止まって、ズルズルと連敗は避けたい
7/1-:勝てば中日をかわして単独首位
8/23:勝てば(プラス中日敗北でしたっけ)マジック点灯
Lock-on Giants様しらべ


例外が笠原の乱調で試合が壊れたと思われる9/18。完全に先発投手の責任。変えて当然。これは2回の時点で負け試合なんですが、またまた代打『矢野』がヒットで出塁。この後同点になり、試合が逆に巨人のペースになりました。というか矢野凄すぎる。仕事しすぎ(笑)。誠いい選手でございます。


この状況を見て感じたことは
・試合の流れを変えるほどの代打に恵まれていること。
 →よって代打交代をしやすいし、劣勢ではしたくなる。

・特に矢野すげ~
 →勝利の女神が光臨したかのようです(笑)。まさに「決め屋」。

・7/1を除けば後続の失点はなんと「0」(7月1日の5失点は試合が決まってしまってから)
 →ブルペンの調子が良いという判断で作戦としては良策だったかと。
・この作戦・・・意外に良いのでは?



田原や小山の試合の勝利は先発投手の非情見切り無しに発生しないため、個人的には「もう少し我慢して使おうよ!若手育たないよ!」と思っていました。しかし、想像以上に試合の内容が良い。先発投手だけを比較すると負け試合の可能性が高いのをひっくり返しています。素晴らしい。本来継投は数が増えるほどリスクを背負うものですが、川口コーチのブルペン管理能力・継投判断力は目を見張るものがあります。矢野の力はありますが、7/1以外のリリーフ失点が0という数字。そして強力代打陣というオプション。ただのラッキーではありませんね。これを見てしまうと私の意見などちっぽけに見えて、どこからでも戦える集団の地盤を感じます。この戦い方の可能性を消す必要は無いのかな…と自分の今までの意見を覆す発見にもなりました。


3時間半ルールもありますが、延長を考えながら過度に温存を考え継投すると逆に足元をすくわれる展開になると思います。必ずしも延長になるわけでもなし、12回まで行くと決まったわけでもなし。継投はあと一人必要かどうか位で、対策になると考えます。最悪ばかり考えても…という感じですね。負け試合では上手く温存すること。勝てるチャンスがあれば、思いっきりぶっこむこと。メリハリをつけて、可能性のある二軍の選手をシッカリと一軍でも回すことがこの作戦の生き所になると思います。今シーズンは尾花コーチが二軍に入り下から使える中継ぎが増えるかもしれません。というか大いに期待してます。豊田コーチ含め、コーチ陣で連携して1年間耐え切れるように人材を運用して欲しいと思います。


大変な長文失礼しました。
ここまでお付き合い頂いた皆様、ありがとうございました!
また気が向いたら是非お越しくださいませ。
ではでは。