原油、穀物が値上がりを続けている。問題はこれが一過性のものか構造的なものかという判断である。構造的なものであることはすでに述べた。

簡単に繰り返すと根拠は.(1)気候変動により中期的に収穫は低減していく可能性が高いこと (2)米国、インド、中国、中東で進む地下水水位の低下と枯渇 (3)単位あたり収穫量の頭打ち傾向 (4)一人当たり穀物量の1980年終盤からの低下傾向 (4)ヒマラヤなど氷河の後退の急激な進展によるアジアの主要大河の水源の危機 (5)漁獲量の増加が不可能なこと


ではどう対処するべきか?原油の高騰、温暖化の危機の進化によって価値の高まるものにシフトすればよい。第1は自然エネルギー 第2は省エネ技術である。問題はどれほど本気で取り組むかである。

「現実問題としては」とか、「経済発展とエコ対処のバランス」とか述べている段階はとっくに過ぎている。「生活レベルの一時的低下」も覚悟して2015年までに温暖化ガスの排出を低下にもっていかなくてはならない。【IPCC第1シナリオ】


今は為政者が指導力を発揮して一気に温暖化ガス排出に急ブレーキをかけるべきなのです。温暖化ガス濃度が一定レベルを超えると、不可逆的影響(暴走)が避けるけられないことを深刻に受け止めるべきである。

この間温暖化の活動が忙しく更新できませんでした。わずかでも目を通していただける方がいる限り、がんばりたいと思います。

前回は否定的側面を見てきましたが、今回はその積極的意義について考えてみます。


『2020年に14パーセント削減するには、、、、再生可能エネルギーや原子力、、の比率を50パーセント以上に引き上げる、、、、太陽光発電世界1の座を奪還するため、導入量を20年までに現状の10倍、30年には40倍に引き上げる、、、、新築持ち家住宅の7割以上が太陽光発電を採用しなければならない』と述べている点である。

 

このメッセージは事態を大きく変えるインセンティブになりうるメッセージである。株式市場でも太陽光関連が逆行高を演じている。これで環境税と排出権取引がそろえば、企業は電力や鉄鋼も含めて温暖化シフトせざるをえなくなる。


かくしてエコ化競争(低炭素化競争)のテープが切って落とされる。問題は2009年前後までにその二つが実現するかどうかである。世論の効果的大騒ぎが必要なのである。

福田ビジョンの主な内容は予測された範囲のものであるが、この構想は福田首相の意図を超えて一人歩きする可能性が高い。不十分な点を批判するだけなら簡単であるがその影響については冷静に分析する必要がある。


(1)長期目標として2050年に世界全体で半減日本は60から80パーセント削減し、中期目標として2020年に2005年比で14パーセント削減(2020年については可能と言う表現で変更の可能性に含みを持たせている)としている。


評価

長期目標はこれでよい。この目標は今後再検討され、世界の削減量も80パーセントくらいまで引き上げられざるを得ないからである。なぜならこの長期目標は温暖化ガスの排出を自然の吸収量とバランスさせるのが目標だからである。

90億の人口予測で考えると一人当たり1.4トン(年)程度の排出に抑える必要がある。日本は現在約10トンなので85パーセント程度削減しなければならない。

また温暖化の破壊的影響はこれからますます人的被害を伴うと予想されるので、厳しい数値目標への世論の高まりが数値目標の変更を促す。

長期目標によって獲得されるべき目標は、現状の延長ではなく足元の大変革を促す(巨大なインセンティブとして作用する)程度の数字になっているかどうかである。すなはち現状が大きく動き出すほどの数値になっているかどうかである。


(2)「中期目標(2020年)2005年比14パーセント削減」について

あいまいな表現であるがこの数字でどうかというアドバルーンを揚げている。変更の余地を残した表現で、最終的には2009年に具体的数値を打ち出す予定と報じられている。


評価

この数値は『経済産業省』の試算をそのまま踏襲したもので、経済産業省、経団連などの主張する(日本政府もこの主張に従った)「セクター別アプローチ」の手法をとった場合の数値と考えられるすなわち現状の延長上に未来を描く手法で得られた数値である。


これは現状と同程度のエコインセンティブを前提とする数値で問題にならない数値である。

しかもEUの掲げる『単独でも2020年までに1990年比20パーセント削減する』と言う主張を取り上げて、1990年比20パーセント削減は2005年比に換算すればおよそ14パーセント(日本の数値と同じ)になると述べている。


残念ではあるがここに『経済産業省』と『首相』の温暖化への根本姿勢が示されている。すなはち『自国の削減目標値は、できるだけ少ないほうが得(国益?)』という考え方である。

EUはとっくに「温暖化対応は避けられない。どうせ対応しなければならないなら、早い環境対応で国際的に優位に立つことが国益にかなう。」という立場に立っている。『環境立国』の視点である。


もし日本がこの主張にこだわればEUは30パーセントかそれ以上の数値を主張するだろう。


(続く)