EUは東欧数カ国が破綻危機となり、米国ではシティグループは国有化のステージ(36パーセント国有)に入った。完全国有化すれば株券は紙切れ同然となる。中国は8パーセント成長維持には更なる追加出動の姿勢も示している。GMは自ら破綻懸念の疑義ありとの報告書を出さざるを得なくなった。

 

どこをウオッチすれば事態の変化を読めるかをはっきりさせる必要がある。


最も重要なのは、世界での損失額がおよそいくらなのかということである。そこがはっきりしないために、銀行など金融機関からの不良資産切り離しが進展しないと言われる。そもそも不良資産の流通が麻痺し、値がつかないとも言われる。


では値がつかないことが問題かというとそうではない。やはり根本的市場不安は損失額の見当がつかないということである。200兆ー300兆か、それとも2000兆ー3000兆なのか。桁さえ定まらないのである


後者の額であれば軟着陸は不可能である。


前者であればオバマ戦略は効く。米国にも埋蔵金はある。

軍事費と高額所得者への増税である。オバマはそこに手をつけると表明したのである。


オバマのグリーンニユーディール(エコ産業構築を国家戦略にする)と軍事費削減、高額所得者への増税は軍産共同体と石油資本、高額所得者への宣戦布告である。これで数百兆の対応なら可能である。


オバマ外交はイラン、シリアと和解しテロリストを孤立させる戦略をとり始めた。イラクからは撤退が始まり、ロシアにはヨーロッパへの米国のミサイル防衛網配備自粛と交換にイランへの影響力行使を求めた。シリア対応は成功しつつある。


アフガニスタンでの軍事力強化も単独で行うのではなく、国際的枠組みで対応しようとしている。単独行動主意は完全に放棄された。

これらは軍事費抑制による資金捻出のためである。


金融バブルの損失額が数百兆レベルであれば、金融機関からの不良資産切り離し作業(これが現在の金融危機救済に最も効果的であるとオバマ政権は既に認識している)は1ヶ月もしないうちに着手されるはずである。


万が一それが実現しなければ、損失額の桁が違う(数百兆ではなく、数千兆単位)から有効であると分かっていても、着手できないということである。


そのとき、市場も上記のように判断して世界恐慌突入となる。


ここ数週間以内に方向は決まるはずである。



24日に伝えられたオバマ演説の影響は決定的である。


オバマは述べた。


①イラクなど軍事関係費から2兆ドル削減する。

これまでこのブログで述べてきた事であるが、米国再生の道は冷戦終結に伴う「遅れてきた平和の配当」を資源にし、世界の憲兵の地位から少しずつ手を引くことである。

米国が自前で手当てできるお金は軍事費削減しかない。

正しい選択である。

この2兆ドルという数字の意味は大きい。

政府は金融機関のジャンク債を買い取るバッドバンクを作り、金融危機に決着をつけたいが、その額は2兆から3兆ドルと言われる。


これまで掛け声だけで、その額の前に腰が引けていたわけである。なぜなら、
それだけの額を調達すればドル暴落の引き金を引く可能性があるからである。


2兆ドルを自前調達できる見込みということになれば、「ドル暴落なしに巨額の資金手当て」が可能となる。


②EUの主導する排出権取引に参加する。


③EUや日本を環境技術で追い上げる。今後10年で14兆円投入。

②と③はアメリカの産業再生を環境で行うという宣言である。


④(演説の前の発言)自分の任期中に財政赤字を半減する。

財政出動で市場が危惧するのは「ドル暴落」シナリオである。政治生命をかけて財政赤字半減を確約した。

①と④
はドル垂れ流しの無責任な対応はしないというメッセージである。


これでGM、クライスラーを延命ではなく再生的破綻の決断をすれば、オバマ戦略は考えられるベストの選択をすることになる。


戦略とはこのように描くものだと言う見本を示した。見事である。

歴史に残る大統領となる。オバマ大統領に事故のないことを願うばかりである。


以上の事態を受けて株価は当面そこを打ったことになる。


 今年の末に開催されるコペンハーゲン「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)」で京都議定書(2008年から2012年までの平均削減量)以降の削減目標が決まる。


ここで問題となるのは2050年段階での削減目標数値と、2020年段階の削減目標数値である。


ここで各国の2020年の目標数値を確認する。

日本ー6月公表 EU-20~30パーセント削減 米国ー19990年比で0パーセント カナダー20パーセント削減。


日本は5パーセント~15パーセント削減と報じられている。


削減値を決めるための基礎データをまとめたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は質的限界を産業革命前比べてプラス2度Cを限界と考えているようである。


質的限界とは「そのレベルを超えると温暖化ガスの排出をやめても温暖化は自動的に進展する」レベルのことである。後戻りのできない「POINT of NO RETURN」の限界値である。


そのためには2020年には温暖化ガスを25から40パーセント減らさなければならないと主張している。


EU、日本の国立環境研究所もほぼその立場と考えられる。さらに中国などの途上国も先進国は25から40パーセントの削減をと主張している。


したがって日本と米国がこの数値を飲めば、世界はプラス2度C(基準は産業革命前)以内に押さえる方向で動き出せることになる。



これを実現するために、日本では「MAKE the RULE」の請願署名活動が展開されている。

内容は2020年までに30パーセントの削減等の内容を法制化するよう求めるものである。


今年は人類の未来にとって格別重要な年である。