ここ3回からの引用で現在を再現してみたいと思います。



・(オバマ戦略では)イラクなど軍事関係費から2兆ドル削減する。

これまでこのブログで述べてきた事であるが、米国再生の道は冷戦終結に伴う「遅れてきた平和の配当」を資源にし、世界の憲兵の地位から少しずつ手を引くことである。

米国が自前で手当てできるお金は軍事費削減しかない。

正しい選択である。

この2兆ドルという数字の意味は大きい。

政府は金融機関のジャンク債を買い取るバッドバンクを作り、金融危機に決着をつけたいが、その額は2兆から3兆ドルと言われる。(2月25日)



・以上の事態を受けて株価は当面そこを打ったことになる。(2月25日)


・どこをウオッチすれば事態の変化を読めるかをはっきりさせる必要がある。


最も重要なのは、世界での損失額がおよそいくらなのかということである。そこがはっきりしないために、銀行など金融機関からの不良資産切り離しが進展しないと言われる。そもそも不良資産の流通が麻痺し、値がつかないとも言われる。


では値がつかないことが問題かというとそうではない。やはり根本的市場不安は損失額の見当がつかないということである。200兆ー300兆か、それとも2000兆ー3000兆なのか。桁さえ定まらないのである


後者の額であれば軟着陸は不可能である。


前者であればオバマ戦略は効く。米国にも埋蔵金はある。

軍事費と高額所得者への増税である。オバマはそこに手をつけると表明したのである。(3月10日)



・オバマ戦略は定まった。

ここからは各論である。ガイトナーが実効性ある不良資産の評価と(金融機関からの)切り離しの処方箋を構築できるか。GMなどの短期再建シナリオを描けるか。(3月21日)


・新産業育成と不良資産切り離しが一定の時間内に構築されるかをウオッチすべきである。(3月21日)



以上が引用である。ガイトナーのバッドバンク構想の具体化(不良資産の金融機関からの切り離し、買取)で市場は大きくプラスに反応している。


今回の枠組みは民間資金を巻き込む構想である。うまくいけば非常に効果的方法である。問題は不良資産規模が200から300兆にとどまるのか一桁上なのかという問題である。この問題では評論家的表現になって迫力のない表現になっています。しかし不良資産規模は(私だけでなく)おそらく当局にも不明なのである。


さらにGM処理(3月末期限)の問題で実質破綻再生路線をとらない場合は市場の(マイナスの)ゆり戻しが起こる。


オバマ金融戦略はまだ越えるべきハードルを複数抱えており、それらが一気に解決する可能性は低い。現在の市場の反応はやや楽観的かもしれない。


金融面での破たん処理と産業のグリーン化(個別事業としてのグリーン需要ではない)が車の両輪として力強く動き出すまでオバマの神経はもうしばらく休まることはないだろう。


オバマの健康と安全を祈ろう。



この点は先ほどの害よなー構想の下で民間資本が本格的に動くかどうかを注意深くウオッチすればよい。

オバマ戦略は定まった。(前々回指摘))


ここからは各論である。ガイトナーが実効性ある不良資産の評価と(金融機関からの)切り離しの処方箋を構築できるか。GMなどの短期再建シナリオを描けるか。


国債の大量発行に伴いFRBは長期国債の引き受けを決定した。従来よりここで指摘してきた中国による米国債引き受けの実質的減少に伴う措置である。


さらに米国への海外からの資金流入は半減している。米国のパッシング(PASSING)が始まっているのである。

身の丈以上の過剰消費のメッキが剥げ落ち、米国民は貯蓄に走りつつある。したがって米国が世界から商品を大量に輸入する事態は復活しない。


では米国のオバマ戦略(第1に環境を柱とする新産業を育成し新たな産業発展のステージに立つこと。第2に思い切った金融対応でドル暴落を阻止する。)を担う資金が外国から集められないとすれば国債を発行(引き受け)するしかない。


この資金活用が環境を柱とする新産業育成と早期にリンクしないとドル暴落やインフレが起こる。米国は早期に新産業を育てて世界から資金が集まる仕組みを再構築しなければドル暴落は避けられない。


まさにオバマはNARROW PATH(狭い道)を足を踏み外さずにわたりきるかがいま問われている。


借金のみ膨らみ、世界をリードする(金融に変わる)産業もなく、自国の内需も身の丈にシュリンクし、世界の憲兵の役割も果たせないドルを誰が買うだろうか。そこではドル暴落は避けられない。


新産業育成と不良試算切り離しが一定の時間内に構築されるかをウオッチすべきである。






今年12月にデンマークのコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)において京都議定書後の温暖化防止の国際的枠組みが決まる(ことになっている)。


日本は2020年までの中期削減目標を6月までに決定するため「中期目標検討委員会」を政府の下に設けた。現在6つの案を検討しようとしている。削減幅はプラス6パーセントからマイナス25パーセントまでの案となっている。


IPCC(気候変動に関する政府間パネル)はプラス2℃(産業革命前比較)に抑えるには先進国は2020年に25から40パーセント減らす必要があると報告している。


したがって現在の日本で検討されている選択肢の中ではもっとも厳しいもの(25パーセント削減)がようやくIPCC要請の下限に達することになる。

しかも麻生氏は「(目標を)高くいえばいいというものではない」という立場である。


25パーセント削減の際の費用も380兆(経産省所管研究機関)から27兆円(国立環境研究所)と開きがある。前者は対策をとらなかった場合のコストを考慮してないという批判が環境団体からなされている。


・「EUが動き始めた!」

EUは従来より2020年までに最低でも20パーセント削減、他国の協調があれば30パーセント削減すると主張している。

3月13日の報道ではEUが日本や米国に24パーセントの削減を求めると報道された。

これはEUが30パーセント削減すると想定して、日本と米国が4つの指標に照らしてFUと努力の公平化を図るよう計算した結果とされる。


4つの指標とは①一人当たりの国内総生産(GDP)②GDPあたりの温室効果ガス排出量③1990年ー2005年までの削減努力④同期間の人口増加 である。


現在の議論は削減の要するコストに重点が置かれているが、削減目標を決める際の基準は何であるべきか?


温暖化には質的限界があること。すなはちその基準を超えるとCO2排出をやめても温暖化が進んでしまう"POINT OF NO RETURN”の限界値があるという点で、多くの学者の共通認識があること。


その限界値がプラス2℃であるかについては学問上の議論はあるにしても、少なくとも「予防原則」(人間による復元が困難な温暖化などの巨大現象については科学的に決着がついていなくても有力な根拠がある場合は対処するべきと言う立場)の立場に立てばプラス2度を世界の共通目標とすべきである。


エコロジカルフットプリント(人間活動の地球への負担を数値化したもの)が全世界で1を越えていることすなわち現在既に人間の営みが地球の再生可能領域を越えてしまっており、地球レベルの総和で考えると、これ以上の環境負荷の増加を伴う「発展」は持続可能ではないということ。


③温暖化対応においては、早めの対処がコスト的にも得であるという有力な報告のあること(スターン報告)。


④生活レベルを下げることなく現在到達している技術の普及、組み合わせで2050年までに70パーセント削減(日本)が可能であるという試算のあること(国立環境研究所)。


現在の日本の対処がいかに戦略を欠くものかは次回触れます。


(追記)

米国の金融対応決定版(不良資産の金融機関からの切り離し)は出るなら数週間以内に出るという前回の指摘はガイトナー発言として具体化しつつある。


まもなく最悪期の確認か、世界恐慌突入かの決着がつくとおもわれる。