いつも思うこと、
生き残るため、常に進化や変化を続けているウイルスに対し、なぜ日本人は様々な可能性を考慮して対策を講じず、まん延防止や緊急事態宣言ばかり続けているのかということ。
現在出されている「まん延防止等重点措置」は、基本的に夜の街を取り締まるだけの対策で、いわば夜回り先生のようなものだ。
しっかりとした分析で得た数字があるわけではないのに、主にお酒を伴う飲食店を中心に、営業時間の短縮やお酒の提供を規制することで感染者の増加を抑えようとしている。
しかし、現状でこの措置による効果がまったく見られず感染者は連日爆増しているにも関わらず、今後も延長しようとしている。
果たして、このまま夜の街だけを取り締まることで、感染者の増加を抑えられるのだろうか?
仕事や学校帰りに飲食店へ向かう人の数は、おそらく朝の満員電車を利用する通勤・通学の乗客より圧倒的に少なく、きっと密度的にも低いだろう。
たとえ乗車する時間が短く、話をする乗客が少なくても、不特定多数の乗客が密集する朝の満員電車が感染を広める要因の一つである気がしてならない。
現在、多くの10代から60代の人々は、学校や仕事などで毎日移動する必要があり、その手段として電車やバスなどの公共交通機関を利用している。
在宅ワークや自家用車・自転車・徒歩での通勤など、人と接触する機会を減らすための行動を積極的に採り入れている人はどれほどの割合存在するだろうか?
「今まで、電車内でのクラスター発生は聞いたことがないし、比較的会話する人も少なく、乗客は基本マスクをしているから、満員電車でも感染はしないんじゃない?」
今でもそんな考えを持つ人は少なくないだろうが、冷静に考えてみれば、そもそも「クラスター」という現象自体が電車内では起こり得ず、電車内で安全なのは、十分に人との距離が取れる昼間の電車内に限られる。
一般的に「クラスター」とは感染集団のことで、明確に定義されているわけではないが、概ね5人程度の感染集団が発生すればクラスターと呼ばれ、一定規模の集団が連鎖的に感染した状態を言うそうだ。
つまり、停車駅ごとに人が激しく入れ替わる電車内では、長時間同じ場所にとどまり続けることがないので、たとえその場で感染したとしても一定の集団が形成されずクラスターとして判断ができないのである。
だからクラスターが発生しないのではなく、クラスターは存在しないが正解である。
クラスターは存在しないが感染爆発しているので、満員電車における「感染」自体は確実に毎日起きているはずだ。
学校や職場で多く感染者が発見されているのは、単に人の行き着く先「結果」なだけで、感染そのものはその「過程」である電車内で広まっているのかも知れない。
結果は過程を経てつながるので、結果を見てその過程で何が起こっているのかを知る必要がある。
実は、学校や職場で見つかる感染者の多くが朝の通勤や通学で利用している満員電車内でうつされているのかも知れないという「可能性」は十分にある。
特に今般のオミクロン株は従来株と比べ感染力が強いと言われており、デルタ株以前の感染者の増加速度と比較しても違いは明らかなので、身動きがとれないほど近接する満員電車では、マスクをしていても感染する可能性は高いと言える。
たとえマスクで鼻と口をしっかりと覆うように装着しても、鼻や口の両脇、アゴの周辺などに必ず隙間はでき、少しの咳払いや会話でも飛沫が漏れ出る可能性はある。
スーパーコンピューターの「富嶽」による検証でも、マスク装着時に咳などをすることで飛沫がその隙間から漏れ出ている様子を見ればわかる。
比較的人との距離を取れる昼間の電車内と違い、他人との顔の距離が数10センチ程度の満員電車においては、感染覚悟で乗車しなければいけない。
例えば、ウイルスに感染した瞬間カラダが硬直したり、顔が紫に変色したり首がもげたりすれば「今、感染したな!」と判断でき、周囲の人間も即座に離れることができるが、どこでどのようにして感染したか誰もわからないので、少しでも感染の可能性がある満員電車は絶対に避けたほうが良い。
たとえ感染症対策に自信があってもウイルスは目に見えないのだから、人の多く集まるスペースを避けることを最優先に考えるべきなのだと思う。
また、感染しても軽症や無症状の人も多いため、自分が感染していることに気づかないまま満員電車に乗り込んでしまい、その周囲の人もうつされたことに気づかないまま各々の目的地へ赴き、更に感染を広げてしまっている可能性もある。
もし満員電車が感染のひとつの原因であるならば、その出鼻をくじく意味でも、感染済みの夜の街を取り締まるのではなく、朝の満員電車の取り締まりを強化したほうが良いことになる。
一般的に、始業時間は終業時間よりも時間の融通が効きづらく同じような時間であるため、どうしても朝の満員電車を利用して通勤・通学せざるを得ない人が多くなる。
そのため、会社や学校は始業時間を分散するなど工夫する必要がある。
以前のように、
「必要以外は外へ出ないでください」
「会社や学校へ行かずにオンラインやテレワークを利用してください」
など、うるさく言われず自由に行動している現状を考えれば、朝の通勤時間帯が未だに満員状態であることは容易に想像がつく。
「感染しても重症化や死亡のリスクが低いから大丈夫」という考え方は単なる結果論に過ぎず、何の安心材料にもならない。
そもそも感染しなければ両方とも心配する必要がないのだから、まずはウイルスに感染しない予防の考え方「過程」こそが最も重要である。
また、経済を止めず推し進めることは世界共通で重要なことだが、あくまで「感染を広げず抑えながら」が条件で、手放しの状態で推し進めることではない。
そして、海外の取り組みや現状を参考にすることも大切だが、様々な状況や条件などが国によって違うのだから、単純比較することなく「あくまで海外は海外、日本は日本」と考え、まず日本としてどうすべきなのかをしっかりと考える必要がある。
これまで数回「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」が発出され、本来であればその都度専門家が分析を進めて結果を出し、それを次回に役立てることが望ましいにもかかわらず、ほぼアップデートすることなく何度も同様の措置を講じ続けてきたことは甚だ問題が多い。
まん延防止等重点措置による効果が一切見られない今、新規感染者が日々倍増し続けている原因が他にあることは決定的と言える。
何かしらの対策を施し続ければ、いつかそのうち何かの現象により感染減に転じるかもしれないが、あまりにも他力本願な考え方であり、何ら感染者増の原因究明に役立たず、一切今後に活かすことはできないだろう。
今後は、より多くの可能性を見つけながら様々な方策を講じて実行に移し、感染者をより少なく抑える努力に繋げる必要があるだろう。