朝刊の一面下、月に一度目に飛び込んでくる雑誌名がある。
「月刊住職」
タイトルからして明らかに全国各地のお寺の住職や関係者に向けた月刊誌であるが、
もしや、この響きは「月刊明星」のように、お寺のアイドル的雑誌なのか?
そんなことは一切なさそうな雰囲気だが、
このダイレクトな名称が以前からずっと気になっていた。
この広告を見た時点では、
「全国のお寺の情報紹介や住職の担い手の就職を斡旋する情報誌」かな、
くらいに思っていた。
取り扱い店舗にジュンク堂書店が含まれていたので、早速探しに行った。
ジャンルがよくわからなかったので、店舗備え付けの端末で所在を確認しても、
「お尋ねください」と所在を教えてくれない。
ジャンルがジャンルだけに店舗は在庫を置かないのかもしれないと思い、
最終的にネット通販で購入することにした。
本体1,500円/1冊と送料300円、しめて1,800円なり。
専用封筒に入れられ、数枚の広告と一緒に本体の書籍が丁寧に同封されてあった。
封筒の創刊年を見ると、自分の生まれた年と同じであることに気づき、
なにやら親近感を覚えた。
しかし、46年もの間「月刊住職」という、如何にもわかりやすい響きで
記憶に残りやすい大胆不敵なタイトルは斬新に感じる。
雑誌は思いのほか分厚く、広告部分を含めると約200ページもあり、
ノドにはファイリングするためかリング穴が設けられてある。
手に入れた2020年12月号は、コロナ真っ最中ということもあり、
話題の多くはウイルスとの闘いを題材にした内容で、
その他にも、跡継ぎ問題や土地の問題、各種の取り組みについてなど、
現状、お寺が抱える様々な問題を題材にしている。
内容は丁寧な取材の上に文章化されているように思えるが、
内容がお寺という専門的なものであるため、
おそらく編集作業に慣れている以上に業界に精通した人間でなければ
なかなか務まるものではないように感じられる。
単なる興味本位だけで手に取った書籍であったが、
自分がこれまでまったく知ることがなかった分野の情報が満載で、
非常に興味深く、読み物としては充実した内容で、全ページ隈なく読んだ。
マニアックの度合いで言えば、「月刊ムー」に匹敵するものがある。
一般社会においても、日々様々な問題が生じ話題に登っているが、
さほど話題に登ることがないお寺でも同様に、様々な問題があるものだと感じた。
しかも、我々一般人とは一線を画した存在に感じられる住職という存在でも
我々とさほど変わらない日常的な問題が起こっていることに気づく。
これまで、お寺というと非常に神聖で近寄りがたい存在に感じていたが、
我々にとって非常に身近で親しい存在だということが
この雑誌を読むことによって感じることができた。
時々活字が恋しくなり、大量に文字のある雑誌などを買って読み漁る事があるが、
とにかく何か文章を読みふけりたい人にはもってこいの雑誌ではないだろうか?
時にはCDやDVDの「ジャケ買い」ではないが、まったく知らない分野の情報を
「とりあえず読んでみる」のも、知識を広げたり気づきがあったりするので
必要なことなのかもしれない。