2023 9月議会~決算特別委員会質疑 | 福岡県議会議員 「走る、弁護士!」 堀 大助

 

 

・9月定例会(9/8-10/12)
■令和5年度補正予算 【3次補正】(515.9億)
■令和4年度決算(20件)
■人事案(教育委員、公安委員)
など、60議案を可決・同意・認定。
 また、「知的障がい者の利便に資する療育手帳の法制化及び基準の統一化を求める意見書」など5意見書を可決。 



・決算特別委員会質疑

●県庁モバイルワーク推進
①決算案に「県庁モバイルワーク推進費」として約1億7,500万円が計上。モバイル端末1,000台の運用とある。本事業は「新型コロナウイルス感染症対策」の一部として計上されているが、それ以外にも様々な広がりを持つ事業であるため、質疑を行う。まず、本事業の意義や政策目的を。
➡平成30年度に、出張先でも職場と同じ環境で業務を行えるシステムを構築、90台のモバイル端末を導入。その後令和2年度に、新型コロナの感染拡大を受け、在宅勤務制度を導入した際、追加で910台の端末を導入。
②在宅勤務以外におけるモバイル端末の具体的な使用・活用事例は。
➡農業普及指導で栽培技術の指導を行う際、画像等を用いた分かりやすい説明を行う。工事の施工管理で、図面等をモバイルパソコンで表示、ペーパーレスで業務を行う。団体の会計事務を監査する場合、その場でデータ入力や集計、監査内容のメモをとり、速やかに監査結果を説明する。児童相談で、出張先で相談記録を作成する、など。その他、移動中のすき間時間を活用、在庁する職員とのメールのやりとりなども。
③本事業の政策効果及び課題は。
➡効果。端末に資料やデータを表示、分かりやすい説明ができる。データをその場で入力できるので、帰庁後の事務作業を省略できる。通勤時間を育児や介護などの時間に充てられる。学級閉鎖や台風などにより出勤が困難な場合においても自宅で業務を行える。など。
 課題。全職員分はないので事前予約が必要。出張命令、事後の業務報告提出などの手続きが煩雑。在庁する職員との間でコミュニケーションがとりづらい、など。
④課題のいくつかについて掘り下げて伺う。まず、全職員に配布されていないことでどのような問題が生じ、どう対処したのか。
➡モバイル端末は、約7,500人の職員に対し1,000台しかない。1台の端末を複数の職員が利用するため、事前に「利用者登録」が必要。セキュリティの観点から、年間通じて利用が見込まれる職員は、年度当初に一括して登録。それ以外の職員は変更登録が必要。変更登録はシステム管理者が手作業で行っており、当初は作業期間が7日間だったが、アンケート結果を受け4日間に短縮。また、急遽利用の申出があれば直ちに対応も可。この他にも、イベント開催で同時に多数のモバイル端末が必要となった場合、育児休暇から復帰予定の職員が、業務に慣れるため長期間モバイル端末を使用する場合など、行政経営企画課が保有する予備の端末を利用できるようにした。
⑤在庁する職員との間でコミュニケーションがとりづらい点はどう対処。
➡メールよりも対話に近い形でのやり取りができるチャットツールを導入。
⑥本事業は新型コロナ対策として計上されたものだが、単にコロナ禍における出勤抑制を超え、働き方改革や県庁DXの推進に資するもの。新型コロナ5類移行後、本事業で整えられたモバイル環境を県行政にどのように活用していくのか。
➡5類移行後も、在宅勤務制度はワーク・ライフ・バランスを推進する観点から、また、当初の目的のとおり出張時にも有用であり、継続して活用。なお、来年度以降、職員一人ひとりに配布している職場用パソコンのリース契約終了にあわせ、テレワークやウェブ会議の機能を有したパソコンに更新。モバイル端末を別途整備する必要はなくなる。
 新型コロナをきっかけにデジタル化が急速に進んでいる。今後も新たな機能が開発され、職員の働き方改革につながれば、できる限り取り入れたい。




●温暖化に伴う漁業への影響
①温暖化に伴う気候変動の影響は海の中にも及んでいる。ここ100年間では海水温が約1℃上昇。8月下旬の報道では、三陸沖水深数百メートルの海水温が平年より10℃高くなっているとあった。一説によると、水温1℃の差は、気温10℃以上の差に相当するとも言われている。本県においても、温暖化の影響が生じていると思われるが、海の変化が本県漁業にどのような影響を与えるのか。
➡水温や潮流など海の状況が変化することにより、魚の分布域の変化やノリの品質低下等の影響が生じている。
②魚の分布域の変化。北海道では、サケを漁獲する定置網にブリが多く獲れている。本県でもこのような事例が生じているのか。また、その対策は。
➡暖かい海を好むサワラが増えている。増えてきた当初は安い価格で取引されていた。このため県では、品質向上のためのマニュアルを作成し漁業者を指導。また、ふくおかの地魚応援の店において「糸島さわらフェア」を行うなど、飲食店と連携した販売促進の取組に対し支援。こうした結果、現在では高値で販売されている。
③ノリ養殖。品質低下とその対策を。
➡海水温の上昇に伴い、赤ぐされ病等の疾病にかかりやすく、品質の低下に繋がる。蔓延しやすい状況下ではノリ網を高く吊るし、十分に乾燥させるといった指導を行っている。
④海の環境情報をいち早く漁業者に伝えることが重要ではないか。どのような取組を行っているのか。
➡水温や塩分、潮流などの海況の変化を漁業者に速やかに伝えるため、ICTを活用したスマート漁業の取組を推進。
 筑前海においては、3日先までの水温や潮流を予測し、漁業者がスマートフォンで確認できるシステムを開発。
 有明海のノリ養殖においては、全国に先駆けて、海況情報をリアルタイムで提供できるシステムを開発し、現在では、10分間隔の水温や塩分といった海の状況や、気象台の予報、ノリの生育情報などを提供。
⑤ICT技術は日進月歩で進化。世界規模で温暖化による影響が顕著になっている中、ICT技術を活用したスマート漁業の推進は大変重要な取組。現場の漁業者の声を聞きながら、こうした取組をさらに発展させていくことが必要。
➡筑前海の漁業者からは、気象予報と同様に一週間先まで予測期間が延びると、もっと計画的な操業に繋がるという声をいただいており、県では、今年度から7日先まで予測できるシステムへの改良を進めている。また、有明海のノリ養殖業者からは、リアルタイムでの海況情報の提供に加え、筑前海で先行している予測情報があれば、よりきめ細かな養殖管理ができるという声があることから、今年度から養殖業では全国初となる3日先までの潮位、水温、塩分を予測できるシステムを開発。
 今後とも、海の環境情報をデジタル化し、漁業者の皆様方にご活用頂くことで、生産性の向上や効率化を図っていくスマート漁業を積極的に進めてまいる。

 

 


●代表質問ピックアップ

・7月の豪雨災害被害
 現時点で主なものとして、◇人的被害、死者5名、重傷2名、軽傷5名◇家屋被害、全壊、半壊、床上・床下浸水など、6,569件◇道路被害、路肩の損壊など、752件◇河川被害、堤防等の施設や揚水機等の設備の損壊など、552件◇土砂災害、がけ崩れなど、166件など。
 また、被害額については、道路、河川等の公共土木施設が約441億円、農林水産業が約361億円など、総額は約891億円。ここ10年で見ると「平成29年7月九州北部豪雨」に次ぐ規模。
・被災者支援業務に関するシステムの統一化
 被災市町村には、被害状況に応じ、県内のみならず全国の自治体から多くの応援職員が派遣され、罹災証明書の交付をはじめ、様々な被災者支援業務に従事。派遣先と派遣元で被災者支援業務に関するシステムが異なる場合、応援職員の多くが操作の習熟に時間を要している。各自治体のシステムを可能な限り統一化しておくことで円滑な罹災証明書の交付につながる。こうしたことから、今年7月に全国知事会を通じ、既に各自治体でシステムの導入が進んでいる実態を踏まえつつ、国が主導してシステムの全国統一化を図るよう要望している。今後も必要に応じ国に働きかけてまいる。
・熱中症対策
 本県でも猛暑日や真夏日が年々増加し、熱中症による救急搬送数も増加傾向にあることから、今回の法改正(改正気候変動適応法)で熱中症対策が強化されたことは、県民の命と健康を守る上で大変意義がある。法改正により、気温が特に著しく高く、重大な健康被害が生ずるおそれがある場合に、国が「熱中症特別警戒情報」を前日14時に発表し、県は市町村にその旨通知を行い、市町村は住民や関係団体に伝達することとされた。
 さらに市町村は、暑さを避けるための一時避難場所である「クーリングシェルター」や、熱中症対策の普及啓発等に取り組む民間団体の指定を行うことが可能となった。県としては、国からの「熱中症特別警戒情報」を確実に市町村に伝達するとともに、庁内体制を整備し、各部局から関係機関・団体へも広く情報提供を行う仕組みを構築してまいる。
・統合型校務支援システムの導入効果(教育長答弁)
 本システムが本格稼働した令和3年度における県立学校教員の超過勤務は、令和元年度と比較して月80時間を超えた人数が約4割減少。本システム導入が状況改善に寄与している。また、約8割の学校が生徒指導要録の作成業務について、約6割の学校が調査書の作成業務について、それぞれ負担が軽減されたと回答。本システムは、校務処理の効率化、ひいては学校における働き方改革の推進につながっている。
・県立高校入試におけるWeb出願(教育長答弁)
 Web出願システムでは、志願者による入学願書等の作成や、中学校による各志願先高校への調査書の提出をWeb上で行うこととなるため、教職員の業務負担の軽減や、志願者及び保護者の利便性向上につながる。今後、システムの構築・運用に係る経費や導入効果、セキュリティの担保等について、既にWeb出願システムを導入している他県の事例も参考にしながら研究してまいる。
・県内における発掘調査報告書の刊行状況(教育長答弁)
 平成27年度から令和元年度までの5年間に発掘調査が行われた865件のうち、調査終了後3年以内に約7割に当たる599件の報告書が刊行。未刊行となっている報告書については、できる限り早期に刊行されることが望ましいため、関係市町村に対し研修会等の機会を通じて早期の刊行を促してまいる。
・大規模災害への県警察の対応計画等(警察本部長答弁)
 県警察では、警備体制の早期確立や関係機関との相互連携などを盛り込んだ、福岡県警察災害警備基本計画を定め、災害警備活動を迅速かつ的確に推進していく。災害時の業務運営については、福岡県警察大規模災害対応業務継続計画に基づいて、犯罪捜査や110番通報の受理など、優先度が高い業務の継続性を確保している。さらに、大学や民間事業者との警察署代替施設に関する協定の締結や、ガソリンの優先供給契約など、民間事業者等との連携を図っている。