「明日、こんな落語会あるけど行く?」
我が家の芸能評論家からのお誘いだと思いました。
しかし、よく聞いてみると、自分は3回目のワクチンを打つので、体調が心配だから代わりに行かないかというチケットを売りつけるためのセールストークだと分かりました。
しかし、顔付を見るとこれが渋い!
演目は別にしても、これは相当に渋い顔ぶれです。
彼女の策略だとしても価値はあります。
「じゃあ、行かせてもらうよ」
とチケットを受け取ります。
私が敢えてチケット代を払わないでいると、
当日に6月のこの会の前売り券を売っているから、それを買ってきて欲しいとの指令が。
そして、
「そのチケット代でチャラでいいよね?」
つまり彼女は、ワクチン接種で行けなくなった会のチケットを売って、しかも次々回のチケットも買って来させるという、自分にとって恐ろしく都合のいい取引を成功させたということに気がついたのでした。
でも、まあいいや。
会場は日本橋劇場。
前に行ったことはありましたが、正確に覚えていませんでした。
着いてみると先日お参りした水天宮のすぐそばでした。
先ずは立ち食い蕎麦の名店である『福そば』で腹ごしらえ。
なのに、この場所で天玉そばが550円也。
素晴らしい!
お腹も心も満たされたところで水天宮へ。
娘たちのところに、無事に元気な赤ちゃんがやってきてくれますように!
さて特選落語集です。
トリの一朝師匠に不測の事態が。
そうですか。
コロナは、すぐそこまで来ているようです。
一朝師匠が出ないことは残念です。
しかし、代演は権太楼師。
言うことありません。
最初に高座に上がった小もん師、私はおそらくはじめましてだと思います。
でも安定の落語だったように思います。
少し舟を漕いでしまいましたが…
雲助師のあくび指南は、寄席でよく聴く噺よりも少し長めにやってくれたので面白かったですね。
あくびを教える人がいて、教わる人がいる。
全くナンセンスで落語らしい噺。
うん、楽しいですね。
中入り前の春輔さんという方も知りませんでした。
名前の感じから比較的若い人が上がるのかと思っていたら、これが真逆な感じの方でした。
白髪の小さなお爺さん。
なのに、いきなりの下ネタからのまくら。
笑いました。
そして、久しぶりの鹿政談。
これ、素晴らしい出来だったように思います。
話芸として確立した噺。
うーん、世の中にはまだまだ知らない隠れた名人がたくさんいるのでしょうね。
小満ん師匠。
この人は、なにを演っても渋い。
この日は、鶯宿梅というこれまた私にとって初めての噺。
そこには、古の粋な空気がありました。
トリの権太楼師匠。
ご自身が1月にコロナ陽性で入院したことをも笑いのネタにするあたり、さすがです。
そこから演ったのが天狗裁き。
この人の噺には可笑しみが溢れています。
そして、おそらく権太楼師匠オリジナルのサゲ。
代演と言いながら、いいものを聴かせていただきました。
帰路、敢えて中野まで東西線で行き、街の様子を見ながら新井薬師前までウォーキング。
多くの飲み屋さんは、マンボウってことで閉まっていますが、まあやっているところも結構ありましたね。
私は飲んだりしませんよ。
それどころか、うまく利用されたことを知りつつ、家にお土産の人形焼まで買って来たのでした。
私、従順です。