寄席の醍醐味 | 道楽者は行く!

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ラグビーやサッカーをしたり見たり、落語聴いたり、酒飲んだり、山を歩いたり、歌を歌ってみたり、そして時折旅に出る。
そんなわたしの道楽のモロモロ・・・

肋骨が痛む。

よせばいいのに、土曜日に練習に行って、まあ出来ることを軽くならいいだろうなんてラグビーの真似事をやったことで、むしろ悪化させてしまったかもされません。


こうなると、出来るのはウォーキングくらいだなあと思い、せっかくの好天の日曜に近所をふらふらと歩いていました。


そんな時にふと思いついたのです。


そうだ、池袋の10月上席はいい顔付だったのだと。


寄席なら肋骨も痛くなるわけないし、これはちょうどいいなあと思って池袋演芸場へ向かいました。

途中、大好きな崎陽軒のシウマイ弁当とお茶を買い、これまた好きな立ち食い寿司屋である、魚がし日本一でランチをいただき、コンビニでコーヒーとお茶を買って、長時間の鑑賞に耐えられる体勢を整えて演芸場に入っていくと、


「コロナの関係で、中では食事は出来ませんよ」と。

がーん。


私が入ったのは14時。

夜の部が終演するのは20時半。


でもこれは仕方ないと腹を括って席につきました。


入ってすぐに始まったのが、

○さん生 替り目

いいスタートです。

思えば、この夫婦愛の噺から始まったことが、この日の寄席の素晴らしさを暗示していたのかもしれません。


○歌武蔵 北の富士解説

元力士である師の相撲裏話。笑えました。

笑っていて気づいたんです。笑うと肋骨に響くということを。

がーん。


○二楽 紙切り 桃太郎 バルタン星人 こおろぎ

この注文で切ったこおろぎは立体でした。初めて見ました。


○伯楽 目黒のさんま

雲助師の代演。雲助師を聴けなかったのは残念ですが、こういうことがあるのも寄席のうち。それは、それで楽しかった。

伯楽師の健康状態がちょっと気になる。



仲入り


○馬石 鮑熨斗

元役者だったという、この人の噺は、いつも芝居を観ているような心持ちにさせてくれます。


○馬生 看板のピン

大きな名前を持つこの人の噺を聴いた記憶は、あまりありませんでした。でも寄席らしい、佳作といった感じ。悪くない。



○橋之助 三味線漫談 

この芸名なのに綺麗な女性。

三味線を弾くので、弦を押さえる左腕にワクチンを打たれて、元々五十肩だった腕が上がらないのは困る。だから先生、右腕に打ってくださいとお願いしたところ、五十肩が治ったと。それは本当の話なんだと。

これにはウケました。


○昼席主任 白酒 笠碁

今、一番好きだと言ってもいい噺家さん。

囲碁で待ったをするとかしないとかで大喧嘩。だけど、あいつと碁が打ちたいと双方で右往左往する様が、可笑しく切ない。

白酒師に合った噺。秀逸。最後にはほろっと。


夜の部


前座 ○ぽん平 子ほめ


○馬太郎 ちはやふる

落語家らしからぬいい男。でも、申し訳ないけれど、ここで少し自然仮眠。


○小平太 壺算

少し悪い顔をした方。それだけに瀬戸物屋さんを騙すと、ちょっと悪いひとに見えてしまう。


○笑組 漫才

安定の2人。


○馬るこ 紙屑屋

こんな感じのひとだったんですね。

この方、前に時々お邪魔していた西荻の小料理『こぎく』の常連さんだとのこと。

きっと、いい酒飲みなんでしょうね。


○菊太楼 蝦蟇の油

序盤は、ちょっとなあと思っていたところ、蝦蟇の油売りの口上が秀逸。落語家っていろいろタイプが違いますねえ。


○正楽 紙切り 相合傘 ディズニーランド サザエさん 双子のパンダ


○天どん たらちね英語

めちゃくちゃ。でも面白い。


○志ん輔 豊竹屋

この人は、どんな噺をしてもこのひとの噺という感じがする。さすが。


仲入り


○志ん五 出目金

先代の志ん五師匠が好きでしたが、この人は、全く違うタイプ。新作を好むのでしょうか?


○圓太郎 浮世床

ラグビーをやっていた、それも九州の名門校でフロントローをやっていたというだけで尊敬に値します。

そして、落語も上手い!

間と表情だけで抱腹絶倒。肋骨痛い。


○ダーク広和 奇術

ちょっと苦手。でも、膝としてはいいのかも。


○夜席主任 文菊 甲府い

いつも大笑いさせてくれる気持ち悪いお坊さん的なマクラをふらずに、すぐに本編へ。

これは、大きな噺をかけてくれるなと聴いていたら、寄席ではあまりかからない『甲府い』

白酒師と同様に、ところどころでくすぐって最後は泣かす。

これは、名演でした。

私が寄席で聴いた多くの噺のなかでも、屈指の出来と言えると思います。


いやあ、豪華でした。

腹は減っても、決して中座しようなんて思わない1日でした。

独演会もいいだろうけれど、たったの2500円で、こんなに素晴らしい1日を過ごせたりしてしまうと、やっぱり寄席がいいなあと思ってしまいます。