心眼 | 道楽者は行く!

道楽者は行く!

ラグビーやサッカーをしたり見たり、落語聴いたり、酒飲んだり、山を歩いたり、歌を歌ってみたり、そして時折旅に出る。
そんなわたしの道楽のモロモロ・・・

もう20年くらい前のことなのに、今でも時々話題にしては笑い、当人は怒るという予定調和となっている事件があります。


古き良き時代、大型バス2台を連ねて、弊社は毎年秋に社員旅行をしていました。

あれは信州の浅間温泉だったかなあ。


宴会が終わり、我々の部屋にも誰かが頼んだマッサージの方が来てくれました。

その方は、白杖をついた盲目のマッサージ師さんでした。


最初に受けたのは、もう鬼籍に入られてしまった業務課のTさん。

マッサージ師さんは、カラダを触りながら、

「ああ、こっていますねえ。お仕事大変なんでしょうねえ」

と。


次に彼の施術を受けたのは、整備課のKさん。

毎日、ツナギを着て油にまみれて働いている方です。

マッサージ師さんは、Kさんの手を触り、

「ああ、このひとは仕事をしていない手だ」

と。


みんなは爆笑、そして当のKさんだけが怒っていました。


今でもあの話題を出すと、Kさんは、

「あの野郎」

と言いながら怒り、我々は笑うという図式なのでした。



閑話休題



土曜日、この前の寄席があまりにも良かったので、この10月上席の間にどうしてももう一度聴いておきたいと思い、15時に仕事を終えるとそのまま池袋演芸場に。


行ってみて、いろいろがっかりすることが。


お目当ての白酒師が休演となっていたのです。

でもまあ、代演は扇辰師だし、こういうのが良かったりするんだろうと思って席につきました。


入ってからの演目は以下。


馬生 あくび指南


小菊 俗曲


扇辰 糠に釘

これ、やはり良かったですねえ。

底意地の悪い女郎や恨みを持った人など、嫌なやつの描き方は扇辰さんは凄い!

扇辰さんが嫌な奴だと言っているわけではないですよ。


夜の部


前座 ぽん平 子ほめ


馬太郎 権助提灯


駒治 さよならヤンキー(新作)

これ、くだらなくて笑えました。


笑組 漫才


馬るこ 置泥(新作)


小せん 秋刀魚火事


正楽 紙切り 相合傘 ぶどう狩り 双子パンダ


最初に、ご注文をいただく前にと言って切った相合傘。

誰もいただく様子がないので、後方の席から大男が出て行って、有り難く頂戴をして参りました。

どうですか、この細工の細かさ。

そして、繊細なライン。

ほんの1分ほどでハサミで切ったものとは思えません。

芸術です。

名人芸です。




白鳥 バリバリ女子大生(新作)


志ん輔 疝気の虫

これも、珍しい噺。楽しめました。


仲入り


志ん五 警察23時頃(新作)


圓太郎 棒鱈

盛り上がってきたところでぶつ切り。

まあ、それも寄席らしいところってことで。


仙志郎、仙成 太神楽

途中で、紐が切れて茶碗などが落下するアクシデント。

これまた、珍しい場面が見れたということで。


文菊 心眼

寄席では許されても放送では許されない言葉がある。

A4サイズ4枚くらいにいろいろ書いてある。

めくらは、目の不自由なひとなど。

では親方はなんと書いてあったか?

チーフですよ。

と、笑いを取ったところで語り始めたのは『心眼』

愛憎が絡み合う難しい噺を好演。

引き込まれます。

そして、ホッとさせるサゲ。


いやあ、文菊師すごい。

ただのすけべなお坊さんじゃないですね。


目が不自由だから見える真実がある。

整備のKさん、そういうことなんですよ。