エンヤのブレークをきっかけに一気に盛り上がった「ケルティック・ウーマン」ブーム。
ハイトーンのヒーリングヴォイスをその特徴とするアイルランドのPOPSは、全世界で高い支持を集めています。
でも、いまの日本の女性ヴォーカルのレベルは、それに勝るとも劣らないものがあるのでは。
■ マスコミで注目度上昇中の激ウマグループLittle Glee Monster。
歌の巧さがますます求められる時代に入ったか?
(個人的に)女性ヴォーカルのメインになっていると思われる「女神系歌姫」について、これまでいくつかの記事に書き散らした内容を、整理してみたいと思います。
■女神系歌姫の走り?
上野洋子 - 協和発酵 焼酎「かのか」CM (曲名:「風と花と光と」)
【女神系歌姫とは】
1990年代中盤頃から、少しづつ邦楽の、とくに新世代の女性Artistの質感が変わってきた。
この流れは2000年代中盤から決定的になってくるのだが、まずはその特徴について考えてみた。
1.ハイトーン・ヴォイス
とにかくオクターブが高くなり、音階も広がった。
これは安室奈美恵、華原朋美、観月ありさ、globeなど、「小室ファミリー」といわれた一連の女性Vocalistの影響があると思う。
彼女らの超ハイトーン曲をふつうにカラオケで唄っていた次世代層が育ってきたということか・・・。
■ 歌ってみた Can You Celebrate
■ 歌ってみた I'm proud
■ 歌ってみた 月光
たとえば安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』。
曲の構成はPOPというよりむしろプログレ的な大作で、音域も広くてどうみてもトーシロの手に負える曲じゃない・・・。
にもかかわらず、その曲は売り上げ、カラオケランキングともに数々の記録を打ち立て、紅白ではダントツの瞬間最高視聴率を記録した。
こんなシンガー泣かせの難曲が、当時カラオケでバリバリに歌われていたというのはある意味驚異だ。(1997年オリコン年間カラオケリクエスト回数1位)
■ 広い声域を縦横無尽に活かした例
ONE DAY - m-flo(feat.加藤ミリヤ)
2000年代後半からのボカロの普及により楽曲は大きくハイトーンサイドに振れたが、最近ではカラオケでボカロ系の曲がふつうに歌われるようになってきた。
小室サウンド以上にハイトーンを多用し難易度が高いとみられるボカロ曲を、唱いこなすアマチュアも増えてきているのではないか。(ハイトーンは歌い込むほどに身についていくという説がある。)
カラオケだけでなく、Web上に「歌ってみた」というテーマで投稿する人(「歌い手」と呼ばれる)も続々とあらわれ、独自のシーンを形成。そのメインストリームもやはりハイトーン系だ。
■ハイトーン歌い手の例
佳仙 - Last Night,Good Night
ちょうちょ - メルト 3M MIX
J-POP界でも、「ハイトーン曲の方が売れる(というかハイトーンじゃないと売れない)」という傾向がたしかにあるようで、ハイトーン化は時代の大きな流れになっているのではないか。
2.声の艶
これはハイトーンと連動しているが、高音でも声の艶や力感を失わないアーティストが増えてきた。
地声でハイトーンまでもっていくと、どうしても無理が感じられるが、ミックス(ミドル)ボイスなどの技法を身につけていると、力強い(息漏れのない)裏声でハイトーンをクリアすることができる。
最近のヴォーカルスクールはこのミックス(ミドル)ボイスの習得を売りにしているところも多く、それだけ艶(力感)のあるハイトーンが求められていることがわかる。
橋本みゆき - 未来ノスタルジア
荒牧陽子 - Only love
3.ビブラート
歌に趣や変化を与えるとされる技法。プロがプロらしくきこえるのは、このビブラートの扱いによるところが大きいと思う。
J-POPでは演歌系のこぶし(波長の長い音程のビブラートをサビで強く効かせる)より、やや波長を短くした繊細なビブラートを流していくほうが受けがいいように感じる。
ビブラートはある程度レッスンを受ければ身につけられるともいわれているが、声の艶とあいまって真価を発揮する感がつよく、やはり天性の声質や発声スタイルが求められるのだと思う。
どこのパートでどこまでビブラートを聴かせるか、これは最近の女性ヴォーカルの大きな聴きどころだ。
鹿子 - glow
奏夢 - さよならメモリーズ
個人的には1-3までを「女神系歌姫3種の神器」と考えていて、これが最近の女性ヴォーカリスト大きな特徴になっていると思う。
最近の曲構成は、RapやTranceの影響もあって、イントロ~Aサビ~Bサビ~ブリッヂ~A'サビ~エンド、つうよ~な従来型の構成じゃなく、「サビがあるのかないのかわからないが、なんとなくずーっとサビにきこえる」といった、ひねった曲が多いが、これは声の艶や繊細なビブラートがないとたちまちお経になってしまうので、曲調からも声の艶やビブラートが求められているのだと思う。
↑の例
■ Lisa Halim - いつまでも... feat.中村舞子
■ MARINA. - One love ~恋におちて~
4.声質がフェミニンで癒し系 (ヒーリングヴォイス・エンジェルヴォイス)
女性ならではの甘い声質のヴォーカルが増えてきた。
声優系のアーティストには、この系譜に連なるタイプがとくに多い。
また、Rapにはたおやかな女性Vocalが意外に合うが、そういう背景もあるのだと思う。
YouTubeなどの動画系サイトで「作業用」と称して編集されたコンテンツがある。
ふつうPCなどの机上作業をしつつきき流すものと思われるが、これなどもやわらかで心地よい声質のヴォーカルがフューチャーされているものが多い。
サウンド探しのキーワードでも、「癒し、ヒーリング、エンジェルボイス、透明感」などを目にすることが増えてきた。
もともと日本人は圧倒的歌唱力で押しまくるより、繊細なテクや微妙な感情表現を得意とするアーティストが多いので、このような流れに乗りやすいのではないか。
リツカ - ハロ/ハワユ
ばきこ(bakiko) - ただ泣きたくなるの
志方あきこ - Erato
5.音数、というかことば数が多い (滑舌)
'80年代だったら「わすれかけてた~」が、「わあすれかけてえた~」となって、ひとつの音にのることばの数が圧倒的に多い。
これは絶対、Rapの影響があると思う。じっさい、彼女らとRapのコラボ(ふつうfeat.~~とされる)はやたらに多くて、MC(韻を踏んだRap)なんぞもふつうに入ってくる。
小室哲哉氏は「デジカメの画素数と同じように、”音符のサイズ”も変わってきてるんですよ。昔は4分音符1個は小さい単位だった。今はすごく巨大。2万~3万円の機材を使えば4分音符1個を128分割ぐらいまでできます。」(出典:「R25」2014.5.15_No.350㈱リクルートホールディングス刊)と語っているが、そのような背景もたしかにあると思う。
滑舌(かつぜつ)とは、せりふをはっきりと聴き取りやすく発音するための舌や口の動きの技法をさし、どちらかというとアナウンスや舞台の世界で使われてきたことばだが、最近では音楽の世界でもよくつかわれる。
これは滑舌のよさが問われる声優系の存在が大きいと思う。
また、ボカロ系の歌には、滑舌の技法なしでは唱いこなし不可能なものも多く存在し、すぐれたテクニックを披露してくれる歌い手もすくなくない。
Daisy×Daisy(MiKA) - 永久のキズナ
ヲタみん - 地球最後の告白を
6.セツナ系
メロディや歌詞が「せつなさ」や「はかなさ」を感じさせるもので、リスナーのパーソナルな感情に訴えかけるフォーマット(というか曲調)が人気を集めている。
「セツナ系」は西野カナ、加藤ミリヤ、JUJU、中村舞子などの「女神系歌姫」が代表格とされ、hip hop/Rap系ユニットとのコラボ(ふつうfeat.とされる)による名曲が多いのも特徴で、中村舞子のように自身のメジャーデビューよりも先にfeat.曲で人気を集める例もすくなくない。
日本のアニメは各国で高い評価を得ているが、それはストーリー展開やキャラクタ-設定の巧みさ、緻密なグラフィック技術とともにアニソンの果たす役割も大きいのではないか・・・。
アニソンはその性格上、ストーリー性や情緒感をもつものが多く、それがリスナーの感情に訴えやすいということもあると思う。(日本独自の繊細な風土や思想などをモチーフにするものも増えてきた。)
また、声優がアニソンを歌う例も多い。声優はもともと声質や表現力に優れているので、ハンパな歌手など軽く凌ぐ歌いぶりを聴かせてくれることも少なくない。
また、ボカロ系でも情感に訴えるフックをもったメロディをもつ曲が多いものの、たいていが難曲なのでヴォーカルが途中で破綻するリスク大。それだけに、破綻せずに歌いきったときのインパクトは強烈で、一部で伝説化するテイクも・・・。
★ボカロ系難曲の例
ここにあること(歌ってみた@うさ)
難音階&難譜割り&バリバリ転調で一般人はふつうに迷子になりそ~(笑)。コード進行も凄い(→chordwiki)
これらの曲はかつてのニューミュージックや演歌などの「マイナーコードを多用してしっとりと歌い上げる」というものより、むしろメジャー系コードやRap、ブレイクビーツなどをつかいつつこれを醸成していくものが目立つ。 (淡々と流れながらも泣ける・・・ ^^)
「メジャー系コードやブレイクビーツをつかいつつ、繊細な情感を出していく」というのはできそうでなかなかできないので、ここでもJ-POPのレベルの高さがうかがわれるのでは・・・。
★夏系ソングの比較
【むかし】 P・R・E・S・E・N・T(1982)/松田聖子
■どこまでもすこ~んと抜けててブライト。
【女神系】 allegretto -そらときみ/KOTOKO
■メジャー系音階ながらどこかせつなげ。
★セツナ系の例
■ 園崎詩音(雪野五月) 「you / thanks (ひぐらしのなく頃に)」 / ゲーム・アニメ系のストーリー性高い曲の例
■ Because... feat. 中村舞子 LGYankees (2008) / feat.型「セツナ系」の代表曲
■ 心做し - 花たん / 歌い手系の絶品「セツナ系」、楽曲、ヴォーカルともに文句のつけようなし。
------------------------------------------
こうしてみると、女神系歌姫のポイントは「優れた声質」「高いテクニック」と「繊細な情緒感」ではないかと思われる。
そんなのはそうはいないと思いきや、どうしてどうしてだれもかれもが相当な完成度!!
でもって、ルックスばっちりの歌姫系(^^)
YUUKI(吉田有希)/Sound Horizon - 美しきもの(Roman~僕達が繋がる物語~)
平野綾 - For You
Silent Siren - I×U
そんなわけで、彼女たちを”女神系歌姫”、創り出す音楽を”ハイトーンJ-POP”と銘打ってみたわけです。
どうして、日本でこのような”女神系歌姫”が輩出されるようになったのか、たぶんおそらくいろいろな要素や時代的背景が複合していると思うのですが(女神系歌姫は難曲とカラオケとボカロが育てた?)、これについては別に書くことにします。
■ 女神系歌姫 【Angel Voice列伝 】のリスト
■ My Favorites 25 (from 女神系歌姫)
■ むかしの記事
ハイトーンのヒーリングヴォイスをその特徴とするアイルランドのPOPSは、全世界で高い支持を集めています。
でも、いまの日本の女性ヴォーカルのレベルは、それに勝るとも劣らないものがあるのでは。
■ マスコミで注目度上昇中の激ウマグループLittle Glee Monster。
歌の巧さがますます求められる時代に入ったか?
(個人的に)女性ヴォーカルのメインになっていると思われる「女神系歌姫」について、これまでいくつかの記事に書き散らした内容を、整理してみたいと思います。
■女神系歌姫の走り?
上野洋子 - 協和発酵 焼酎「かのか」CM (曲名:「風と花と光と」)
【女神系歌姫とは】
1990年代中盤頃から、少しづつ邦楽の、とくに新世代の女性Artistの質感が変わってきた。
この流れは2000年代中盤から決定的になってくるのだが、まずはその特徴について考えてみた。
1.ハイトーン・ヴォイス
とにかくオクターブが高くなり、音階も広がった。
これは安室奈美恵、華原朋美、観月ありさ、globeなど、「小室ファミリー」といわれた一連の女性Vocalistの影響があると思う。
彼女らの超ハイトーン曲をふつうにカラオケで唄っていた次世代層が育ってきたということか・・・。
■ 歌ってみた Can You Celebrate
■ 歌ってみた I'm proud
■ 歌ってみた 月光
たとえば安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』。
曲の構成はPOPというよりむしろプログレ的な大作で、音域も広くてどうみてもトーシロの手に負える曲じゃない・・・。
にもかかわらず、その曲は売り上げ、カラオケランキングともに数々の記録を打ち立て、紅白ではダントツの瞬間最高視聴率を記録した。
こんなシンガー泣かせの難曲が、当時カラオケでバリバリに歌われていたというのはある意味驚異だ。(1997年オリコン年間カラオケリクエスト回数1位)
■ 広い声域を縦横無尽に活かした例
ONE DAY - m-flo(feat.加藤ミリヤ)
2000年代後半からのボカロの普及により楽曲は大きくハイトーンサイドに振れたが、最近ではカラオケでボカロ系の曲がふつうに歌われるようになってきた。
小室サウンド以上にハイトーンを多用し難易度が高いとみられるボカロ曲を、唱いこなすアマチュアも増えてきているのではないか。(ハイトーンは歌い込むほどに身についていくという説がある。)
カラオケだけでなく、Web上に「歌ってみた」というテーマで投稿する人(「歌い手」と呼ばれる)も続々とあらわれ、独自のシーンを形成。そのメインストリームもやはりハイトーン系だ。
■ハイトーン歌い手の例
佳仙 - Last Night,Good Night
ちょうちょ - メルト 3M MIX
J-POP界でも、「ハイトーン曲の方が売れる(というかハイトーンじゃないと売れない)」という傾向がたしかにあるようで、ハイトーン化は時代の大きな流れになっているのではないか。
2.声の艶
これはハイトーンと連動しているが、高音でも声の艶や力感を失わないアーティストが増えてきた。
地声でハイトーンまでもっていくと、どうしても無理が感じられるが、ミックス(ミドル)ボイスなどの技法を身につけていると、力強い(息漏れのない)裏声でハイトーンをクリアすることができる。
最近のヴォーカルスクールはこのミックス(ミドル)ボイスの習得を売りにしているところも多く、それだけ艶(力感)のあるハイトーンが求められていることがわかる。
橋本みゆき - 未来ノスタルジア
荒牧陽子 - Only love
3.ビブラート
歌に趣や変化を与えるとされる技法。プロがプロらしくきこえるのは、このビブラートの扱いによるところが大きいと思う。
J-POPでは演歌系のこぶし(波長の長い音程のビブラートをサビで強く効かせる)より、やや波長を短くした繊細なビブラートを流していくほうが受けがいいように感じる。
ビブラートはある程度レッスンを受ければ身につけられるともいわれているが、声の艶とあいまって真価を発揮する感がつよく、やはり天性の声質や発声スタイルが求められるのだと思う。
どこのパートでどこまでビブラートを聴かせるか、これは最近の女性ヴォーカルの大きな聴きどころだ。
鹿子 - glow
奏夢 - さよならメモリーズ
個人的には1-3までを「女神系歌姫3種の神器」と考えていて、これが最近の女性ヴォーカリスト大きな特徴になっていると思う。
最近の曲構成は、RapやTranceの影響もあって、イントロ~Aサビ~Bサビ~ブリッヂ~A'サビ~エンド、つうよ~な従来型の構成じゃなく、「サビがあるのかないのかわからないが、なんとなくずーっとサビにきこえる」といった、ひねった曲が多いが、これは声の艶や繊細なビブラートがないとたちまちお経になってしまうので、曲調からも声の艶やビブラートが求められているのだと思う。
↑の例
■ Lisa Halim - いつまでも... feat.中村舞子
■ MARINA. - One love ~恋におちて~
4.声質がフェミニンで癒し系 (ヒーリングヴォイス・エンジェルヴォイス)
女性ならではの甘い声質のヴォーカルが増えてきた。
声優系のアーティストには、この系譜に連なるタイプがとくに多い。
また、Rapにはたおやかな女性Vocalが意外に合うが、そういう背景もあるのだと思う。
YouTubeなどの動画系サイトで「作業用」と称して編集されたコンテンツがある。
ふつうPCなどの机上作業をしつつきき流すものと思われるが、これなどもやわらかで心地よい声質のヴォーカルがフューチャーされているものが多い。
サウンド探しのキーワードでも、「癒し、ヒーリング、エンジェルボイス、透明感」などを目にすることが増えてきた。
もともと日本人は圧倒的歌唱力で押しまくるより、繊細なテクや微妙な感情表現を得意とするアーティストが多いので、このような流れに乗りやすいのではないか。
リツカ - ハロ/ハワユ
ばきこ(bakiko) - ただ泣きたくなるの
志方あきこ - Erato
5.音数、というかことば数が多い (滑舌)
'80年代だったら「わすれかけてた~」が、「わあすれかけてえた~」となって、ひとつの音にのることばの数が圧倒的に多い。
これは絶対、Rapの影響があると思う。じっさい、彼女らとRapのコラボ(ふつうfeat.~~とされる)はやたらに多くて、MC(韻を踏んだRap)なんぞもふつうに入ってくる。
小室哲哉氏は「デジカメの画素数と同じように、”音符のサイズ”も変わってきてるんですよ。昔は4分音符1個は小さい単位だった。今はすごく巨大。2万~3万円の機材を使えば4分音符1個を128分割ぐらいまでできます。」(出典:「R25」2014.5.15_No.350㈱リクルートホールディングス刊)と語っているが、そのような背景もたしかにあると思う。
滑舌(かつぜつ)とは、せりふをはっきりと聴き取りやすく発音するための舌や口の動きの技法をさし、どちらかというとアナウンスや舞台の世界で使われてきたことばだが、最近では音楽の世界でもよくつかわれる。
これは滑舌のよさが問われる声優系の存在が大きいと思う。
また、ボカロ系の歌には、滑舌の技法なしでは唱いこなし不可能なものも多く存在し、すぐれたテクニックを披露してくれる歌い手もすくなくない。
Daisy×Daisy(MiKA) - 永久のキズナ
ヲタみん - 地球最後の告白を
6.セツナ系
メロディや歌詞が「せつなさ」や「はかなさ」を感じさせるもので、リスナーのパーソナルな感情に訴えかけるフォーマット(というか曲調)が人気を集めている。
「セツナ系」は西野カナ、加藤ミリヤ、JUJU、中村舞子などの「女神系歌姫」が代表格とされ、hip hop/Rap系ユニットとのコラボ(ふつうfeat.とされる)による名曲が多いのも特徴で、中村舞子のように自身のメジャーデビューよりも先にfeat.曲で人気を集める例もすくなくない。
日本のアニメは各国で高い評価を得ているが、それはストーリー展開やキャラクタ-設定の巧みさ、緻密なグラフィック技術とともにアニソンの果たす役割も大きいのではないか・・・。
アニソンはその性格上、ストーリー性や情緒感をもつものが多く、それがリスナーの感情に訴えやすいということもあると思う。(日本独自の繊細な風土や思想などをモチーフにするものも増えてきた。)
また、声優がアニソンを歌う例も多い。声優はもともと声質や表現力に優れているので、ハンパな歌手など軽く凌ぐ歌いぶりを聴かせてくれることも少なくない。
また、ボカロ系でも情感に訴えるフックをもったメロディをもつ曲が多いものの、たいていが難曲なのでヴォーカルが途中で破綻するリスク大。それだけに、破綻せずに歌いきったときのインパクトは強烈で、一部で伝説化するテイクも・・・。
★ボカロ系難曲の例
ここにあること(歌ってみた@うさ)
難音階&難譜割り&バリバリ転調で一般人はふつうに迷子になりそ~(笑)。コード進行も凄い(→chordwiki)
これらの曲はかつてのニューミュージックや演歌などの「マイナーコードを多用してしっとりと歌い上げる」というものより、むしろメジャー系コードやRap、ブレイクビーツなどをつかいつつこれを醸成していくものが目立つ。 (淡々と流れながらも泣ける・・・ ^^)
「メジャー系コードやブレイクビーツをつかいつつ、繊細な情感を出していく」というのはできそうでなかなかできないので、ここでもJ-POPのレベルの高さがうかがわれるのでは・・・。
★夏系ソングの比較
【むかし】 P・R・E・S・E・N・T(1982)/松田聖子
■どこまでもすこ~んと抜けててブライト。
【女神系】 allegretto -そらときみ/KOTOKO
■メジャー系音階ながらどこかせつなげ。
★セツナ系の例
■ 園崎詩音(雪野五月) 「you / thanks (ひぐらしのなく頃に)」 / ゲーム・アニメ系のストーリー性高い曲の例
■ Because... feat. 中村舞子 LGYankees (2008) / feat.型「セツナ系」の代表曲
■ 心做し - 花たん / 歌い手系の絶品「セツナ系」、楽曲、ヴォーカルともに文句のつけようなし。
------------------------------------------
こうしてみると、女神系歌姫のポイントは「優れた声質」「高いテクニック」と「繊細な情緒感」ではないかと思われる。
そんなのはそうはいないと思いきや、どうしてどうしてだれもかれもが相当な完成度!!
でもって、ルックスばっちりの歌姫系(^^)
YUUKI(吉田有希)/Sound Horizon - 美しきもの(Roman~僕達が繋がる物語~)
平野綾 - For You
Silent Siren - I×U
そんなわけで、彼女たちを”女神系歌姫”、創り出す音楽を”ハイトーンJ-POP”と銘打ってみたわけです。
どうして、日本でこのような”女神系歌姫”が輩出されるようになったのか、たぶんおそらくいろいろな要素や時代的背景が複合していると思うのですが(女神系歌姫は難曲とカラオケとボカロが育てた?)、これについては別に書くことにします。
■ 女神系歌姫 【Angel Voice列伝 】のリスト
■ My Favorites 25 (from 女神系歌姫)
■ むかしの記事