きみは、あまりにもせっかちで、着地点を間違えて駄目になった。

 

…そうじゃないんだよね。

 

きみは、最初から着地点を定めてやってきたのだ。

 

不妊だと落ち込む母に、妊娠できると伝えに来た。

 

その母の体に、妊娠継続を妨げるポリープがあると伝えに来た。

 

胎動を待ちわびる母を知ってか知らずか。

 

お腹も目立たず胎動も感じさせないまま、きみは、きみの着地点に辿り着いた。

 

嵐の様な苦しい子宮で、とれだけつらい思いをしたのだろう。

 

しかしきみは、最後の力を振り絞って白黒のエコーで元気にはしゃいでみせた。

 

処置はとても痛く苦しいものだったが、きみ自身が母に痛みを与えることはなかったね。

 

結局母はお産で痛みを感じる事のないまま、きみを産んでしまったね。

 

その時きみは、母の体にぶら下がるポリープをもぎ取って、きれいにしてくれた。

 

きみは、もしかしたら、勇者だったのかもしれない。

 

最後にきみは、空に還る前に呟く。

 

「クリスマスプレゼント、受け取ってね」

 

クリスマスプレゼントに気づいたのは、正月明けだったけどね…。

 

 

 

今日だけは叫びたい。

 

 

 

なぜ。

 

なぜ、なぜ、なぜ!!!!!!!!!!!!!

 

私は今、臨月じゃないの。

おしるしも、前駆陣痛も、入院セットも、なぜないの。

「平成最後に滑り込みーーーー!!!」

って、叫びながら、きみを産もうと本気で思ってた、能天気でお花畑で馬鹿な私。

 

何で…。

 

それなのに。

 

どうして私、また妊娠してるの…?

 

日々、胎動が力強いよ。

本当に女の子かな?ってくらい、主張が激しい。

 

きみは、どんな結末を望んでいたのかな。

私はきみを信じて、きみが生まれる日だった日に、ちょうど140日目を迎えるお腹の子を。

 

楽しみにしてもいいのでしょうか。

 

ねぇ、お嬢(?)さん。

あなたは、私を置いて死んだりしないかい?

白い骨になったりしない?

温かい肌に触れさせてくれる?

可愛い声も聞かせてくれる?

信じてもいいの?

あなたのための準備を、ウキウキしながら、進めてもいいの?

 

怖がりな母でごめん。

ここ数日、毎日あなたの兄ちゃんを想って泣いてしまう、許してほしい。

こないだは酷い事言ってごめん、それでもお腹を蹴ってくれてありがとう。

頑張って、兄ちゃんが託したあなたを守り抜いて、産んでみせるよ。

 

 

今日という日に産まれることができなかった『いつき』。

今日という日に6か月目を迎えた『お嬢(仮)』。

 

4月30日、おめでとう。

 

母は、きみらを、死ぬまで、愛してます。