はい! 仮装研の女 ナオ でーす。
お久しぶりでーす。
このシリーズ、最後に書いたのは、もう3年も前なんですね。
仮装研の女 ナオ シリーズ⑮ 除菌・抗菌・滅菌・殺菌・消毒???
ナオは、いろんな(雑多な?)ことに興味を持って(首をつっこんで)疑問なんかを、よく知っている人に聞いちゃいまーす。
さあ、ナオの時は、白衣に着替えなくっちゃね。
これでよし! と。 久しぶりだわ。
今回のお題は、 動物と植物の間? 粘菌 です。
かの天才南方熊楠(みなかたくまぐす)が研究していた、
動物でありながら植物の性質を持つという粘菌。
どうにもミステリアスで、わくわくする存在です。
風の谷のナウシカ の全7巻の第4巻から登場するあの粘菌です。
今回、お聞きするのは、マーリン
じゃなくて、南方熊楠さんでーす。
「博物学の巨人」と言われ、隠花植物(変形菌やキノコなど)や民俗学などの研究で世界的に有名で、生きている木から変形菌を見つけ出した先駆者です。
南方熊楠さん MyRICOH プリントアウトファクトリーよりお借りしました。
熊楠: こんにちは、私、南方熊楠です。
えっ、粘菌のことを知りたいのですか?
粘菌にもいくつか種類があって、変形菌 (真正粘菌、真性粘菌)、細胞性粘菌、原生粘菌、ラビリンチュラ類、ネコブカビ類などがあるけど・・・
それに、わたしは昔のことはよく覚えているんだが、最近のこととなると・・・
そうだ!
2000年のことになるんですけど、粘菌の面白い性質が報告されましたよ。
この粘菌 迷路を解く能力を持っているんだそうですよ。
北海道大学の中垣俊之教授は、「単細胞生物の真正粘菌に、パズルを解く能力があったことを発見した」ことで、2008年、イグノーベル賞(認知科学賞)を受賞されたのです。
とりあえず、下の動画とプレス発表をご覧ください。
動画時間: 1分54秒
粘菌が迷路を最短ルートで解く能力があることを
世界で初めて発見
2000年9月28日 理化学研究所 北海道大学
理化学研究所は、アメーバ生物である真正粘菌変形体が迷路を 最短ルートで解く能力があることを発見しました。
粘菌変形体には、脳や神経系はなく、原形質と呼ばれる物質の塊のみからできている ため、高度な情報処理能力は無いと思われてきました。
ところが原形質の持つ物理化学的な性質(例えばリズムやパターン形成)が巧みに組み合うことによって、迷路を最短ルートで解くという高い情報処理能力を発揮できることが分かりました。
粘菌のライフサイクル Scope People HPよりお借りしました。
粘菌による迷路解法は、2つのステップからなります。
変形体が迷路の道筋全体に広がった後、餌を入口と出口に与えると、
1) 行き止まりの経路にある部分を衰退させ、入口と出口をつなぐ経路全てに管を残します。
2) 最終的に最短距離の1本の太い管を残します。
このように粘菌は、入口と出口という離れた二つの場所にある餌に群がると共に、最短ルートで管を形成する事によって、 一つの個体を維持したまま効率よく餌を摂取することができるのです。
つまり、迷路と いう複雑な状況であっても、餌のある 2つの場所をいかに結ぶかという問題に対して最適な答えを探し出すことができるのです。
熊楠: それだけじゃないんだよ。
中垣俊之教授は、2010年、「粘菌を使って鉄道網の最適な路線を設計できることを示した研究」に対して、2回目のイグノーベル賞(交通計画賞)を受賞したんですよ。
首都圏の形をした寒天培地で、主な駅や人口の多い町にエサを置き、逆に山間部などには粘菌が嫌う成分を置いて、粘菌を培養すると、なんと首都圏の鉄道網とよく似たネットワークを作ったんだそうですよ。
Research map HPよりお借りしました。
熊楠: そうでしょ。
でも、粘菌の凄さっていうのは、もっとたくさんあるんですよ。
1回で紹介するのは大変だから、今回はこれだけにして、次の機会に、また紹介しますね。
お願いしまーす。
熊楠さんて癇癪持ちって聞いたけど、いい方ね。
それじゃあ、またね。