軍師力 (中経の文庫)
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2009年月9日1第1刷発行
実力本位で登用され、戦国乱世に知謀の限りを尽して活躍した軍師たち、直江謙続、山本勘助、宇佐美良勝、片倉小十郎、山中鹿之助、黒田官兵衛、竹中半兵衛、真田幸村ら15名。
「男のなかの男、戦国の世の華」といわれ、戦国乱世を演出したともいえる軍師たち15人を、歴史作家である堀和久が臨場感あふれる筆致で描き出す。
第1章 主君に殉じた智略の軍師たち
第2章 乱世を闘い抜いた異色の軍師たち
第3章 悲運と功名の軍師たち
第4章 天下取りを演出した軍師たち
立花道雪が最高にカッコいい。
道雪が45歳の時、戦陣の合間の日に大樹の下で暑さを避けていた。
すると、一転して空に雲がわき起こり、豪雨と雷雨み見舞われた。
激しい雷の中で、道雪は「こしゃくな雷獣め」と雷をにらんでいた。
その時、突然、道雪の目の前が真っ白に光った。
道雪のいた大樹に落雷したのだ。
瞬間、道雪は「千鳥」という名の大刀を抜いて、雷をかっ切った。
その手ごたえは確かで、雷獣を大樹もろとも分断。
しかし、その反動で跳ね飛ばされて気を失った。
今では感電とわかるが、当時は雷獣を撃退したとのことでその豪勇は人々に伝わっていった。
「千鳥」は「雷切(らいきり)」と改名され、名刀の誉れを受けるようになった。
立花道雪の主は、九州の雄とされた大友宗麟だ。
しかし、宗麟はあまり人気がない。
なぜなら、あまり褒められた主ではないからだ。
権力を究めた宗麟は、心が慢心し、それまで苦労を共にしてきた近臣を遠ざけ、昼夜問わず主演を催し、美女を侍らせ、諫言する者は遠流(おんる)に処した。
道雪も何度も諫言した。
遠流にはならなかったものの、その諫言は全く受け入れられなかった。
そこで、道雪は一つの策を練る。
宗麟と同じように昼夜問わず主演を催し、放蕩三昧を始めた。
そのことが宗麟の耳に入ると、宗麟は「あの堅物め。とうとう、わしに感化されたな。よい傾向じゃ」と喜び、一緒に楽しむために美女ともども登城するように命じた。
宗麟が上機嫌で迎えると、豪華な酒宴が始まった。
宗麟が、盃を与え、道雪がそれを飲み干す。
突然、道雪がそれまでの柔和な顔を一変させて、大きな声で言った。
「これにて遊興は終わる。みなの者、消え去れ!」と。
その一喝に驚いた踊り子や次女、佞臣どもは肝をつぶして、その場からいなくなった。
道雪は、宗麟と二人きりになると、誠心誠意、諫言した。
始めは激怒していた宗麟も、やがて一粒の涙を落とし反省した。
翌日、家臣たちが登城すると、公務に戻った宗麟がそこにいたという。
異方(ことかた)に 心ひくなよ 豊国の 鉄(かね)の弓(ゆ)末に 世はなりぬとも
道雪の忠義は辞世の句でも語られた。
道雪が逝ったのは戦国待っただ中。
拙著
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