円安やウクライナ戦争による食料・エネルギー価格上昇の影響で、10月から値上げするものがたくさんあると伝えれています。
原因のひとつであるウクライナの戦況は、ウクライナ軍が優勢となっているようです。対するロシア軍は損耗した兵力を補うため、予備役の動員令をかけています。ただし、それに反発する者たちが国外に脱出したり、抗議デモを行うなどしていることも伝えられています。
動員令が発せられる前には、ロシア軍やワグネル(ロシアの準軍事組織、民間軍事会社、傭兵ネットワーク、「プーチンの事実上の私兵」とも言われる)が、ロシア国内の刑務所でウクライナでの戦闘に参加させるため囚人を募集していたことが報道されていました。
軍隊の中で、脱走兵などの軍規違反者を集めて編成した特別な部隊のことを懲罰部隊と呼びます。第二次世界大戦中のソビエト連邦(ソ連軍)やドイツ(ナチス・ドイツ)にあったことがよく知られています。
広義には、一般の刑法犯罪者を動員した部隊・囚人部隊も含まれます。
任務は戦死者の埋葬のような不快なことや地雷処理などの危険なことが多かったそうです。
とくにソ連軍は、懲罰部隊の数が多かったと言われています。スターリンの粛正、共産党の密告等の餌食となった無実かそれに近い者たちがこの部隊に入れられたことも多かったようです。前線に投入された場合、この部隊の背後に保安隊(督戦隊)がいて、後退しようものなら逃亡兵とも見なされて、撃ち殺されてしまったのです。
ジュード・ロウ主演の映画「スターリングラード」(2000年)の冒頭シーンにも描かれています。
ロシアのニキータ・ミハルコフ製作・監督・脚本・主演した映画「太陽に灼かれて」(1994年)は、1940年代の大粛清時代のソ連を舞台に描いたドラマで、カンヌ国際映画祭審査員グランプリ賞やアカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。
この続編として描かれた「戦火のナージャ」(2010年)と「遥かなる勝利へ」(2011年)もありますが、主人公のソ連軍大佐(監督が主演もしていた)が降格されて懲罰部隊に入れられてしまう場面があります。
なお、この監督はプーチン支持者で、今回のウクライナ戦争における囚人募集に賛同したとして、非難されています。映画では懲罰部隊の悲惨さを描いていたにも関わらずです。
ソ連軍の懲罰部隊の悲惨な戦闘を描いたTV映画としては、「捕虜大隊 シュトラフバット」(2004年、全11話)があります。DVDは全5巻になっています。
ドイツ軍の懲罰部隊を描いた映画「第27囚人戦車隊」(1986年)もあります。
第二次世界大戦中の東部戦線で、殺人、窃盗、政治犯や重婚者などありとあらゆる前科者で編成された囚人部隊が、後方勤務と長期休暇を条件に、ソ連領深く潜入しての補給列車爆破を行うストーリーです。
軍刑務所の受刑者を題材にした戦争映画は米軍を舞台にしたものもあります。
「特攻大作戦」(1967年)は、第二次世界大戦中のドイツ軍占領下のフランスにあるドイツ軍司令部を壊滅させるため、12人の囚人による特殊部隊が送り込まれる話です。いずれ劣らぬクセ者俳優たちが、それぞれのプロフェッショナルぶりを発揮する傑作アクション映画で、史実とは関係ないものです。
この映画に触発されて製作されたTVドラマが「特攻ギャリソン・ゴリラ」(1967~68年、全26話)です。
第二次世界大戦下のヨーロッパを舞台にして、ドイツ軍に対抗するために特別なスキルを持った囚人(軍務経験のない犯罪者)を州刑務所から集めて活躍する部隊を描いています。娯楽作品です。
オープニングシーンの画面から
ウエストポイント陸軍士官学校出身のギャリソン中尉を隊長として、刑務所の囚人だったペテン師のアクター、クールな殺し屋・ナイフ投げのアパッチ、スリと忍びのイタチ、金庫破りのカジノが任務を遂行します。
それにしてもロシアでは、兵役から逃れるために腕の折り方(骨折の仕方)までネットで検索する回数が増えたと伝えられています。かつて日本でも徴兵検査での兵役逃れのために、醤油を飲んで体調を悪くして(飲みすぎると死にます)検査に臨んだとか、小銃の引き金を引けないようにするために右手の人差し指を切断するなどがあったそうです。
このまま冬を迎えると、今年は寒くて雪が多くなるそうで、灯油や電力などの消費が増えそうで家計への負担がますます増えそうです。気が重いです。