第9地区 80点
突如、ヨハネスブルグ上空にエイリアンの宇宙船が表れる。
宇宙船が壊れてしまったエイリアンたちは、自分たちの星に帰ることができず、地球で人類と共存することを余儀なくされる。
そんな彼らに対し人間達は、様々なルールを設け、彼らを強制居住区に住まわせる。そのエイリアン居住区こそ、「第9地区」である。
しかし、エイリアンと人間のその関係は決して良好なものではなく、一触即発の状態だ。
そんな折、住民達の不満が爆発し、ついにエイリアンをヨハネスブルグから離れた強制居住区に移住させる強行手段がとられることとなるが・・・
本作は、まずインタビュー形式の映像から始まります。
そう、何かのドキュメンタリー番組を我々は見ているかのような仕立てです。
その”ドキュメンタリー”映像の端々で映される、人間とエイリアンが暮らすヨハネスブルグの街中の映像から、
我々は彼らがどのような処遇を受けているのか、どのような関係性なのかを理解する事ができるのです。
そして、その設定こそが、この映画を面白く、そしてリアリティ溢れるものとし、新しいSF映画として我々の興味を掻立てます。
エイリアンたちは劣悪な環境である強制居住区に住まわされ、"人間専用、エイリアン専用"と施設の利用も限られている。そして、舞台がヨハネスブルグであることから、我々は容易にアパルトヘイトとそれを重ねる事ができます。
・・・が、それに関しては他のレビューでも多々述べられているので、深くは言及せず、そちらを見ていただければ、と思います。
とはいえ、今までのSF映画とは切り口が違うこの映画。
その設定の斬新さから、我々は次に何が起こるのか予期する事ができず、2時間ずっと展開が間延びせず、画面から目をそらすことができませんでした。
そのため出来る限り事前情報を仕入れないまま、映画館に足を運んだ方が、より面白さが倍増すると思います。
しくじったことに、予告編を1回見てしまったが、そのままそれがTVCMとしても流れていたので(さいあく!!)、
できることならそれらも未見のまま見ていただきたいと思いました。
社会問題を扱いながら、エンターテインメント作品に仕上げているその技は、実に鮮やかであり、大変満足させてくれる1本でした。
絶対に観た方が良いと思います!
ハート・ロッカー 85点
アメリカでは公開当初4館ほどでの上映だったが、口コミで話題が広がり全米に公開が拡大されたという本作品。
見事アカデミー賞作品賞を受賞した。(他監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響編集賞、音響調整賞 計6冠)
2004年のイラク・バグダッド郊外における、爆発物処理班の任務を通し、中でも主人公ウィリアム・ジェームズ一等軍曹(ジェレミー・レナー)の戦争中毒になった一兵士の心理を描いた作品だ。
本作のアカデミー賞本命対抗馬として見られていた、アバターのような超ハリウッド映画とは反対に、目に見える起承転結の物語ではない。
主人公が任期を終えるまでの戦地での出来事を淡々と綴っていく人間ドラマである。
そのため激しいドンパチが繰り広げられるわけでもなく、アメリカ礼賛によるアメリカ側がピンチを救うことができるわけでもない。
死を恐れず、そしてルールも守らずに突き進む主人公に、我々は従来のヒーロー像を重ねようとするが、
ラスト直前にして、その期待は裏切られるだろう。
その出来事に、おそらく我々は落胆せざるを得ないが、それこそがこの映画が”今”アカデミー賞を受賞した最大の理由であるだろう。
しかし、誰が敵か味方かも分からない(ともすれば全員怪しいとさえ思える)戦地での爆発物を処理するシーンを始め、いつどこで攻撃されるか分からない緊迫感は、
よくわからない線をつけて青い巨体となって、鳥なのか恐竜なのか分からない生物に乗りながら、文明の利器である戦闘機と戦うシーンよりも、現実的で、はるかに手に汗を握ることは間違いない。
とにかく主人公が大量の爆弾を解除するシーンは圧巻だから観ていただきたい!
アカデミー賞受賞作品というだけで、さも面白いんでしょう?と受け身で観賞する人にとっては
少々退屈で、せいぜい「スリリングだった」程度の映画にしかならないかもしれないが、
この映画が何を伝えようとしているのか?と考えて映画を楽しめる人にとっては、大変面白い一本だ。
しかし、「スリリングだった」と思っただけの人でも、もしもまた「スリリングな映画を見たいな」と思うのであれば、
それは主人公の心理と重なり合っているということに気付いたら、
よりこの映画が面白いものとなるだろう。
アバター 80点
ようやく話題作、アバターを鑑賞。
下半身不随の海兵隊員ジェイクは、惑星パンドラにおいて価値のある資源であるアンオブタニウム採掘のためのアバタープロジェクトに参加することになる。
アンオブタニウムは、パンドラの原住民ナヴィの住む下にあり、ナヴィを移住させ採掘させなければいけない。
アバターという人類とナヴィの遺伝子をかけあわせた肉体に、
人間の神経をつなぎあわせ、人間の意思によってその肉体を操ることで、ジェイクはナヴィと親交を深めていく。
しかし、ナヴィが移住をしないために、人類側はナヴィの住む木を取り壊す強行手段に出る。
そのためジェイクは人類側につかなければいけないのか、ナヴィ側につけばいいのか苦悩することとなる。
さて、今後は3D以外の映画は撮らないというジェームス・キャメロン監督の初の3D作品。
そのために、自らより奥行きが撮れる3Dカメラも開発したという。
そのような3Dによって惑星パンドラを体感できる映画!としてアバターは大ヒットしている。
ここまでヒットしている洋画は久しぶりなのではないだろうか?
周囲の会話で「アバター観た?」という会話が数多く聞かれた。
その3Dではあるが、どれだけすごいのかと過大な期待をしていたためだろうか、
正直思ったほどではなく、むしろあまり3Dで観るメリットというものが感じられなかった。
また3Dのメガネをかけることによって、どうしても色のトーンが落ちてしまう。
個人的には、パンドラの美しい景色はメガネを外した方が色鮮やかで、その色彩に感動したため、
ジェイクがナヴィとなって森をかけめぐるシーンでは、あえてメガネを外して観ていたくらいだ。
もしこれから観る人がいたら、途中でメガネを外して欲しい。(特にパンドラの森のシーンや夜のシーン)
3Dで観る事を考慮して、あえて色鮮やかなコントラストを強めに彩色しているのかもしれないが、
その色の美しさの方が、3Dの奥行き感よりも上回り、惑星パンドラの自然の豊かさを感じられるように思える。
とはいえ、やはり上から下を見下ろした時の感覚や、逆に見上げる場合は、
その自然の雄大さが通常の場合よりも大変壮大に見え、圧巻である。
こういった3Dアドベンチャーの映画は1つのジャンルとして、今後台頭してくるのだろう。
ストーリーに関して言えば、全体としてそつがない。
キャラクターの設定から始まり、全ての行動に観賞後に「なんだったんだ?あれは?」と思わさないような展開になっている。
(例えば、ジェイクが下半身不随の海兵隊であったことは、結末にも結びつくポイントである。もしこれが単なる海兵隊員であれば、その結末に、我々はフィットしない靴を履いて出かけた時と同様の気分を味わうだろう。)
ストーリーに関する大きなテーマは
異人種との友好関係、自然環境破壊への危機の訴えということが読み取れた。
異人種との友好関係というメッセージは、もちろんアメリカ映画ということで、アメリカ内部での人種問題、そして大きくは中東諸国とのアメリカの関係へ向けているのだろう。
上記のテーマを日本人に当てはめた場合には、近隣の某アジア諸国との関係になるのだろうか・・・
(そう思うと素直に映画に賛同できかねる複雑な心境となってしまう。異人種との友好関係ばんざい!永住外国人に地方参政権さんせ~~い!とはなれない。)
と、ストーリーに関する賛否両論は置いておくとして、映画作りがうまい人の演出は、鑑賞後の気分がとてもよい。
自然な伏線とストーリーの展開の仕方、また演出により3時間弱という上映時間にも、飽きる事なく集中して観る事ができる。
全ての小さなシーンにも、小さな伏線がばらまかれており、二重の意味を持ち、生きてくる所もある。
ただ、映像スケールに関しては、今後この作品を超える作品は数年は出てこないだろうが
映画のストーリーが「心の名作」に残るかといえば微妙だと思う。
とはいえ、エンターテインメント作品として十二分に楽しめる。
普段洋画や映画全般から遠ざかってしまっている人も3Dという技術を体験してみるということで
より多くの人が映画館に足を運ぶきっかけとなり、停滞している映画業界(特に洋画)の活性剤となれば嬉しいと思う。
ジェームス・キャメロン監督、そしてアバターは映画界に多大な影響を及ぼしているのは間違いなく、それは素晴らしい功績であり作品だ。
3D映画の大きな礎となるであろう本作品、その始まりを観ておく事、体感してみる事はきっと良い経験になると思うので是非映画館で上映しているうちに観に行くことをおすすめする。
(ちなみに、DVDで観るのであれば、別に特におすすめはしない)
2010年 楽しみな映画
「DISTRICT 9」
昨夏、アメリカでものすごく話題になっていたという今作!ついに日本での公開が4月10日に決定とのこと。
ヨハネスブルグの上空に突如表れたエイリアンは、難民となり強制収容所に移住させられることになるのだが・・・
という話のようです。
何も情報を入れないで見た方がいい、とのことなのであんまり何も見てません(笑)
エイリアンが難民という設定だけでワクワクします。
既に見た人は大絶賛していたので、楽しみです!
ちなみに、もともとは「HALO」の映画化を製作していたチームが、「HALO」の映画化が頓挫し、
何とかして映画を作成しようとして製作したのが本作とのことです。
個人的には「HALO」の映画化も見てみたいです。
ちなみに、製作にロードオブザリングのピーター・ジャクソン、監督は南アフリカ出身の新人監督、ニール・ブロムカンプ。
※邦題は「第9地区」です。なんかかっこ悪くて好きじゃないので原題で掲載しました。
公式サイト
http://d-9.gaga.ne.jp/
「シャッター・アイランド」
さて、公開が当初は2009年の10月だったのですが、急遽パラマウントの意向により、2010年4月公開へと延期された今作。(6月くらいに劇場で予告も見ていて、大変楽しみだったのですが、いつの間にやら延期に。ちなみに当初は延期後も2月だったはず・・・ようやく4月で決定したみたいですね)
「ミスティック・リバー」のデニス・ルヘイン原作の同名小説を、映画化したもので、
1954年、失踪した女性患者の謎を探るためにボストン沖の孤島に建つ犯罪者用精神病院を訪れた米連邦保安官テディ・ダニエルズ(ディカプリオ)に次々と不可解な出来事が起こる・・・というあらすじ。
(eiga.comより抜粋)
マーティンスコセッシ×レオナルド・ディカプリオ!この組み合わせだけでもかなり楽しみなのですが、
ストーリーもおもしろそうなので、ぜひ予告編観て欲しいです!
公式サイト
http://www.shutterisland.com/intl/jp/
「インビクタス」
さて、今週末公開の映画です!
ネルソン・マンデラ大統領が、初の黒人大統領となり、アパルトヘイトの撤廃直後、未だ人種差別が蔓延る南アフリカ共和国を、白人・黒人という分け隔てなく1つの国にまとめるために大統領が奮闘した実話を映画化したもの。
そして、主演はモーガン・フリーマンに、マット・デイモン・・・そして監督はクリント・イーストウッド!!!(おもしろくないわけがない!)
クリント・イーストウッド監督の丁寧な人物描写の手腕が光る一本になりそうです。
公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/
「SEX AND THE CITY2」
Ohhhhhhhhh my fuck'n god!!!! I dont have anything why you dont see this film!!
早くSATC2の公開が待ちきれない~~!と騒いでいたSATC THE MOVIEの直後からあっという間に公開までもうすぐ!(アメリカでは、5/10の公開。待ちきれなくて一番近いアメリカ、GUAMまで行こうかと思うくらい・笑)
舞台は前作から2年後、果たしてキャリー、ミランダ、サマンサ、シャーロットは・・・?
4人がNYで出会った場面も描かれるとのことで、めちゃくちゃ楽しみです!
公式サイト(US)
http://sexandthecitymovie.com/
「インセプション」
2010年、最も楽しみなのは、実はこの映画です。
大大大大好きな監督、クリストファー・ノーラン監督の最新作!
主演はなんとレオナルド・ディカプリオ、そして対する悪役に渡辺謙!
心理構造にまつわる現代的な要素を盛り込んだSFアクション・・・ということなのですが、
この映画、情報がかなり小出しにされていて、未だその全貌は謎のまま。
しかし、脚本もクリストファー・ノーラン監督がオリジナルで執筆したものということなのでかなり面白いことは間違いなし!
また、この告知ポスターがダーク・ナイトに酷似していて、その真意は?と話題になっているようです。(ヒースへのオマージュ?)
とりあえず、クリストファー・ノーラン監督の今までの監督作品は、全て面白いので是非おすすめ!(中でもダーク・ナイト、プレステージ)
このインセプションを撮り終えたら、ダークナイトの続編の撮影に入るのでは?と言われているので、そちらもまた楽しみ!!
公式サイト(US)
http://inceptionmovie.warnerbros.com/
というわけで、上にあげた映画は絶対に面白いと思うので、
みなさんにも是非みていただけたら嬉しいです。
THIS IS IT
DVD発売と共に観ました。
正直言えば、大スクリーンで観たかったのですが、ブームに乗って観に行くということが
どうにも自分の中で納得できなかったので、結局DVDでひっそりと観ることに。
というのも、私がマイケル・ジャクソンの熱狂的なファンかといえば、そうではない。
どちらかといえば、彼のいろんなゴシップ(その時は)を、シニカルに見ていた側だ。
なのに、亡くなった途端に、彼の死を悲しみ、彼の最後の姿を見たいなんて、
それは失礼なのではないか?と妙に自分の中で考えてしまったからである。
そんな私的なこだわりはさておき、
映画としては、賛否両論ある本作品だが、映像作品として私は大変熱い気持ちを感じた。
そもそも映画化を目的に撮影されたものではないので、
作品としては、どうしても中途半端になってしまうことは致し方ない。
マイケルパフォーマンスも、全力を出していないのだから。
しかし、この作品からは、ダンサー、舞台演出、照明、撮影スタッフ、バックミュージシャン・・・
多くの、全てのスタッフがこのツアーの成功のために尽力していたことが強く伝わってくる。
そして、彼らのその想いは、マイケルの想いにも重なっているだろう。
その気持ちが強く伝わってくるため、こうなってしまったことへの悔しさを思うと、また苦しい。
そして、私達は、彼らの熱い気持ちを感じさせられることで、
より高い目標へチャレンジすることの素晴らしさ、前を向いて生きるためのパワーが湧いてきたのではないかと思う。
この映画を「商業主義」と批判をする人もいるようだが、
少なくとも、ツアーを成功させるために一直線で走っていながら、志半ばで夢が幻となってしまった彼らの勇姿を
どのような形であれ、世界に届けることができたのは、価値のある事だろう。
しかし、スーパースターとは、この人以外に誰を呼べるのだろうか?と思わされるマイケル。
彼のパフォーマンスの凄さもさることながら、
圧倒的な存在感と想像力を持ちながらも、周囲に敬意と気遣いを常に払っているマイケルの穏やかな人柄を垣間みる事で
私達は、偉大な人を失ってしまった事実に、より落胆させられることも間違いないだろう。
(そんなわけで、今回は一生懸命な全ての人たち、そして誰よりもツアーの成功を思っていたマイケルの姿に
私が点数をつけることなんて出来ないため、今回は感想だけにしました。)

