今回は鉄骨造の建物に関する記事です。
アパートや5階建てくらいまでのマンション、ビルは建物の構造として鉄骨造である場合も多いです。建物の登記簿を取ると「構造」のところに「鉄骨造」と記載されるためそこで判別できますが、重量か軽量かはここではわかりません。
これは建築基準法上は「鉄骨造」という概念しかなく、重量か軽量かはあくまで税法上の概念としてしか使われていないからと思われます(ただし課税書類であるはずの固定資産税明細書にも重量か軽量かは記載されません)。
重量/軽量かどうかは建物の減価償却や固定資産税の計算、融資の際の耐用年数(要は返済年数)を左右するため、事業計画をシミュレーションする上で非常に重要で、判別するためには登記簿だけでなく、建築時の図面が必要です。
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一般的な定義としては重量鉄骨は厚さ6mmを超える鋼材、軽量鉄骨は厚さ6mm以下の鋼材とされていますが、不動産投資の観点からはこの数字より耐用年数の分類に使用されている数値が重要です。
国税庁の耐用年数表(住宅用)では、鉄骨造の建物の「骨格材の肉厚」が、
4mmを超えるもの: 耐用年数34年
3mmを超え4mm以下のもの: 耐用年数27年
3mm以下のもの: 耐用年数19年
と定義されています。多くの金融機関ではこの耐用年数と築年数を基に融資の返済年数が設定されるため、不動産投資の観点からは重量と軽量の境目は鉄骨厚4mmと言えます。
建物の固定資産税(評価額)の減価も概ねこの耐用年数に応じて行われますが厳密にはその数字はやや異なっており、軽量鉄骨は30年、重量鉄骨は40年かけて評価額が元の評価額の20%まで下がり、そこからは一定となります。
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ここからは私が実際に管理運用している鉄骨造アパートのものを例として、実際の図面を見てみます。
字が細かくて分かりにくいですがこの建物の場合、図面上の骨格パーツは主に柱、梁、ブレースに分けられ、骨格材としては□(角パイプ)、H(H鋼)が使われています。角パイプに付随する数字は各辺の長さと厚み、H鋼の数字については各部位の厚みと長さが記されています。
そして肝心な重量か軽量かの判別ポイントですが、主要構造柱となっている角パイプ(上の図面の赤で囲った部位)の厚みで判別するようです。この図面の場合「C1」に相当する部位となり、柱の一番厚みが薄い部分でも9mmとなっているので、重量鉄骨ということになります。
特に中古で鉄骨造物件を購入する際は建築図面を取り寄せて吟味する必要があり、事前に図面を持って建築のスペシャリストに相談するのが確実かもしれません。もっとも固定資産税の絡みで自治体レベルでは既に判定されているはずなので参考のため役所に確認するのも一手です。