日本には借地借家法という強力に入居者を保護する法律があるため、いかにインフレ等で世の中の状況が変わろうとも家賃を上げたり、退去を要請するのは至難の業となっています。
昨今の円安で外国人が日本の土地や物件を積極的に買っているニュースを目にしますが、まだまだこの法律が取引相場の足枷となっているのも確かでしょう。
----------
家賃値上げについては契約更新時に周辺相場の根拠を提示して説得するしかありませんが、拒否されてしまうと事実上それ以上の手出しができません。
交渉が決裂して貸主が家賃受け取りを拒否し滞納扱いにしようとしても供託という対抗手段があります。最後の手段で調停・訴訟もできますが、○千円家賃を上げるために○十万の費用をかけしかも確実性がなく現実的でないので余程大きく上げられる見込みがないと難しいでしょう。
あまり知識のない入居者は、少額であれば値上げを飲むか、納得できなければ退去のどちらかを選択することになります。
----------
退去要請についてはまず契約更新の1年~半年前に更新拒絶通知を内容証明郵便などで行い、法定更新へ移行する可能性を減らします。
更新拒絶や解約申入には正当事由が必要で例えば耐震性の問題などがありますが、単に貸主都合であっても金銭支払いも正当事由になりえます。現実的には居住用の場合は最低でも引っ越し費用、もしくは家賃半年分程度の辺りが相場ですが、訴訟まで進んだ場合は確実性はないため合意での解決が望ましいです。
それでも住み続け出ていかない場合は近隣同等物件へスムーズに住み替える道を用意しながら、法に触れない範囲で住みにくい環境にしていくしかないのかもしれません。