サン ローラン | 毎日がメメント・モリ

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ホラー映画メインですが、ほとんどの映画は美味しく拝見いたしております。
イラスト禁無断転載。

 

 

 元号変わりまして、おめでとうございます。

何も変わってはおりませんが、引き続きよろしくお願い致します。

つまりこれは平成最後に観た映画と言う事になりますね。

で、令和最初に記事書いた映画。

いやー良いんじゃないでしょうか、なんたってサン=ローランですし。

 

 

 しかし、調べてみますと、もう一つ「イブ・サン=ローラン」と言う映画があったんですね。検索かけると両方が出て来るので紛らわしい。

「イブ・サン=ローラン」は未見ですが、「ココ・シャネル」と「ココ・アヴァン・シャネル」みたいなもんでしょうか、多分そんな感じ。「イブ・サン=ローラン」の方はブランドが全面的に協力してるらしく、恐らくそうなると割と良い事メインなんではないかと想像するわけです。

 

 

 こちらの「サン=ローラン」は彼の華々しい成功の後、もうそんなことは言わなくったってこの映画を観ようとするような人なら知ってるでしょ的なアプローチです。私もそんなに詳しいわけではありませんが、スモーキング・ルックや、ミリタリー、サファリ等の男性的なイメージのアイテムが逆に女性の魅力を引き立てる様なデザインがサン=ローランの特徴かなくらいのイメージは持ってます。後、有名なのはモンドリアン・ルックね。ブニュエルの映画でカトリーヌ・ドヌーブがサン=ローランを着こなしていたのは印象的でした。所謂シャネルに始まる「カッコいい女性」を受け継いだのはサン=ローランではないか。

 

 

 それはいいとして。

 こちらはそう言う彼の華やかの表舞台の裏側、を描いた映画。ストーリー展開を語れと言われても難しい。エピソードの羅列の様で、いきなり晩年のサン=ローランが出て来たり、また70年代に戻ったり、「えっ?あっ、そうか」と思いながら観る感じです。晩年のサン=ローランが若い頃の彼とイメージが繋がらなくて「?」だったんですが、若い頃を演じているのはギャスパー・ウリエル、晩年を演じているのは何とヘルムート・バーガーで、どうりで顔自体が違うんだがなあ?となるはずです。

 

 

 なので、プライベートな部分、結構セクシーなシーンも多くて、無修正の写真あるけどここには貼れないわなあ、ってのもあります(笑)

 

 

 この上の写真のシーン、この時、彼はクスリをやってるんですが、その溢れたクスリをワンコが食べてるんですわ。サン=ローランは犬好きで、生涯フレブルを飼ってましたが、この時は初代ムジーク。「ええ、ちょっとあれヤバいんじゃないの、ワンコ死んじゃうよ!」と思いますが飼い主もラリってるのでしょーがない。当然ムジークは死んでしまいます。昔、母が買ってたファッション雑誌にサン=ローランのインタビューが載ってたの覚えてるんですが、この時、やはりフレブルを飼っていてデザイナーご本人はスモーキング・ルックとかデザインしてのにワンコは「パンツルックの女性が嫌い」だったらしい、「パンタロンを履いた女性が来ると裾に噛み付く」と話していたのだけ、よく覚えています。

 

この写真は実際のサン=ローラン。

 

 

 通して描かれているのは芸術家としての苦悩でしょうか。「流行」とは言いますが、オートクチュールになるとそれはもうやはり芸術品ですし、常に新しいものを産み出さなければいけないと言うのはやはり相当苦しいものでもあるんですよ、ファッションデザイナーの場合は毎年、毎シーズンでしょう?ちょっと想像を絶しますね。常に沢山の人が周りにいるけど彼は常に孤独に見える。才能は人を魅き寄せますが、同時に本人は才能ゆえに孤独でもあります。

 

 

 後半のマリア・カラスの歌声に乗せてのショーのシーンは美しくて圧巻としか言いようがないですが、これは実際のサン=ローランのデザインではなく、それにインスパイアされたものだそうで(もう一つの「イブ・サン=ローラン」の方は財団が全面協力していて、本物のアーカイブスが見られるらしいです。)でもそれは映像全体のアーティスティックなイメージにピッタリなので、生々しいスキャンダラスなエピソードをこの上なく美しくラッピングした映画とも言えそうです。

 

 

 

†††ベルトラン・ボネロ監督作品
イヴ・サン=ローラン:ギャスパー・ウリエル(ヘルムート・バーガー)
ピエール・ベルジェ:ジェレミー・レニエ
ジャック・ド・バシャール:ルイ・ガレル
ルル・ドゥ・ラ・ファレーズ:レア・セドゥ
ベティ・カトルー:エメリーヌ・ヴァラーデ
†††2014年 フランス
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