10日連続の猛暑日のあと、昨日の東京は32℃の曇り空だった。なんだ、32℃って涼しいじゃないかと妙な錯覚に陥る。


このところTVで「血潮」って言葉によく出会った。NHK「舟を編む」やNHK「あんぱん」の科白であったり、終戦記念日の特番であったり。

 

(1)やっぱりドラマはNHK

●NHK-BSの良作「舟を編む」

<NHKサイトより> ※再掲

 

昨年書いた感想は以下参照。再放送を新鮮な気持ちで見られるドラマはなかなか稀だと思うのだ。

・7話~最終話

 

【第7話】

「尊い」を巡るこの回で、改めてミムラの笑顔は尊いと感じた。

冬来たりなば春遠からじ、玄武は方角だと北になるので、季節で冬になるのは納得。玄武が亀と蛇を意味することを今年の年頭ブログを書きながら初めて知った。

※参考ブログ

 

【第8話】

質感や手触り、ぬめり感など「利き紙」ってdeepな世界だ。蛇に咬まれて亡くなるのか、はたまた気絶しただけなのか、受け止め方は人様々。解釈は読み手次第なのだ。それにしてもこの製紙会社の営業マン、昨年BSで見た頃には宝くじCMの若者としか思っていなかったが、今ではもう「佐野大明神」なんだな。

 

【第9話】

人間関係において「思いやりすぎないこと」は大事だけど、他方で「黙っていなくなる」のでは相手に対して失礼。エライザの気持ちを伝える場面で過去回で描かれていた母との別れのシーンが巧く挿入されていた。辞書「大渡海」の表紙デザインでも初回の海で泣くシーンが差し込まれていた。

このドラマは至って真面目に作られているので、マジメが「こんなとこ」って言葉に傷つくシーンもいい。

 

【最終回】

辞書に載せる言葉は「最低10年はその言葉が残るか注意深く観察する」ものであり、他方で「残すべき言葉もある」のだとか。後者の見極めは難しい。辞書編集の仕事が特殊なだけにミムラの「ありがとうね、みっちゃんがマジメさんの人生に現れてくれて」も納得する。

痛みの表現は難しい。特に家族など周囲の人が痛がっている時に詳しく聞き出すのはこちらの語彙力も要求されるので大変だ。

昨年BSで見た時には「なずむ」から「暮れなずむ」を連想して感想を書いた。でも改めて今回の放送を見ると「なずむ」を「深く心を寄せる。打ち込む」としており、そんな意味もあったのか。

派手さはないけど「ひそやかに」作られたNHKらしい良質なドラマだった。

 

●NHK-BSの良作「母の待つ里」

8/30から総合テレビで放送される。昨年BSで視聴したけどなかなか面白い。2024年ドラマのベスト1はTBS「不適切にもホドがある」、ベスト2はNHK「舟を編む」、ベスト3は「団地のふたり」だった。この幻想的な作品は個人的にベスト4くらいに挙げていいドラマだった。

 

●NHK「ひとりでしにたい」

最終回で主人公がキャラ変してきた。これまでは若造にマウント取られっぱなしだったのに、上から目線で説教。前向きと言えばそうなんだけど、やっぱりMHKドラマとしては違和感ありあり。

会社勤めではどうしても周囲の目が気になるモノ。つい他人と比べてしまい、妬みが攻撃に繋がり、それが不調に終わると孤独に陥る。人との繋がりは大事ながらも、過剰に意識する必要はない。ただ、なかなかそうもいかないもの。

「ひとりでもひとりでなくてもみんなガンバっている。みんな少しずつでも」

綾瀬はるかの結論は無難なところに落ち着いた。「私らしく生きる」ことが分かっただけで成長したと言えるのか、うーん。

以前のブログで日テレ「ホタルノヒカリ」のキャラと似ていると書いたが、やっぱり映画「ひみつのアッコちゃん」に近い。

 

<最終回で鏡の中のもうひとりと対話(2)>

 

 

<2つの世代で実は同じバトル構図だったのか>

 

●NHK-BS「照子と瑠衣」

ラスト2話はタイミング合わずに見逃した。感覚としては失速。

 

●NHK「あんぱん」

科白にあったようにハッキリしない態度は「タカシじゃなくて案山子」だ。タカシの母親役・松嶋菜々子は悪役に徹するのかと思っていたら、8/12放送で思いっきり毒気がスコンと抜けていた。

友人がたまご食堂を開くと言う。中国戦線で卵を脅し獲って貪り喰らう再現シーンが出てきた。このドラマで最も鮮烈な場面だった。

 

●NHK「べらぼう」

感想なし。

8/10放送後のコーナーに出てきた白河藩・松平定信の「藩界石標」について調べて「荘境石」ブログにまとめたい。

 

(2)終戦特番

●NHK「八月の声を運ぶ男」

重苦しいドラマだった。阿部サダヲが演じた被爆体験者が云わんとしたことは、被爆体験者の話はドキュメンタリーとして伝えるには生々しすぎるし、語る方にも躊躇がある。周囲の人々の体験もひっくるめて一人の人生として成立しているんだな。

親の声って生きている頃には当たり前に聞いてきたもので煩くも感じる。だが、亡くなったあとに聴きたくなってもそれは叶わない。しかも自分が聞いた事ない被爆体験についてだからなおさら聞いてみたものだ。

 

●TBS「なぜ君は戦争に?」

毎年8.6の季節になると、広島出身の綾瀬はるかが「NEWS23」の戦争コーナーに出演するのは恒例。今年はミニドラマとセットになっていた。

中でも、8/15の玉音放送の後で特攻出撃を命じられて亡くなった若者の話は切なかった。その友人が軍隊で「お前たちは消耗品だ」と教え込まれたとか。NHK「あんぱん」にも同じようなエピソードが出てきたけど「(同調圧力に圧されて)親族に戦死者が出て嬉しかった」と思わざる得ないのも悲しい。

鹿児島の細長い洲は知林ヶ島に繋がるモノだったんだろうか。かつてTBS「青い鳥」の頃に知覧へ行った事があるけどこの洲までは巡れなかったな。他に、戦争中の戦意高揚や否定的な事柄の隠蔽など、歪曲は日本に限らなかったことも伝えてくれた。

 

<同番組より(2)>

 

 

(3)民放ドラマ

●TBS「19番目のカルテ」

【第3話】

フリーアナウンサーが声に関わる病気で苦しむ。治療方針は明らかでも決め切るためのプロセスを丁寧に導いていた。まあ普通。

 

【第4話】

初回の仲里依紗も今回の倉科カナもいい。このドラマは主人公は地味な存在に徹していて周囲の人物を上手く引き立たせてくれる。ここまで丁寧に診てくれる医師がいるのか疑問だけど、疾病(体の異常)と病(疾病を含めて患者を取り巻く全て)の違いは分かった。若手内科医の「(どうでもいい事での)選択はストレス」は「習慣は意思に勝る」って話もあるので分かる。

この回の冒頭にあった役者が画面に向かって茶の間に訴えてくる演出は新鮮だった。良し悪しは微妙だけど。

 

【第5話】

主人公は救急救命の経験があったのか。大動脈解離は総合診療だけど、今回の対戦相手である清少納言も心療内科のスキルで氷解させていた。バイオとサイコ(心理学)とソーシャルで診る姿勢は凄いけどそこまでする医者は極めて稀な存在だな。

 

●日テレ「ちはやふる」

7/30放送: 掛け声は「出す」ものではなく「(自然に)出ちゃう」のだ。

8/6放送: 主人公がようやく中心に坐ってきた印象あり。FIREする主体が誰なのかハッキリして、「青春するのはゼイタク」の真意がようやく分かった。

8/13放送: 上白石の「繋ぐ人になりたい」は人間ひとりが生きられる時間なんて万葉集から現在までの1000年超のスパンからすればごくわずかなものに過ぎない。自分が功績を上げることと同様に次代に繋げていくのは大切なことであり、なかなかに壮大な想いだな。対して、主人公が「自分の気持ちにウソをついてきたから分かる」のも高校生だけに切ない。

8/20放送: 幼馴染との関係性もハッキリした。来週の団体戦では対戦を免れたが最終回で対決するのかも。

 

●TV10「しあわせな結婚」

家族で食卓を囲むシーンは大石静らしくてTBS「長男の嫁」を思い出す。けど、間延びしていてじれったい。

 

●フジ「明日はもっと、いい日になる」

新鮮なお仕事ドラマ。飛び飛びで見ている。