(1)NHK「舟を編む」

ここ最近のNHKドラマではベスト。なにより言葉の冒険が面白かった。

 

【第7話】

可惜夜、遣らずの雨、こうした洒落た言葉を知らない身にはどちらも尊く響いてくる。美村里江(ミムラ)の穏やかな笑顔もやっぱり尊い。

 

【第8話】

第四校まで血潮が漏れていたのか。これまでの回と比べてまったりとした展開だった。

 

<NHKサイトより>

 

【第9話】

詫びる言葉がいろいろ紹介されていた。「ご海容ください」は初めて聞いた。海のように広い心でってあまりに寛大な心持ちだ。深謝は感謝する場面でこそ使えど「失礼を深謝します」なんて使った事がない。他にも鳴謝、万謝、懇謝など日本語は多彩だ。

4/17の再放送は愛媛・高知の地震のため途中で中断。BSドラマはNHKプラスでも見られないし残念。

 

【最終回】

コロナ禍に入って「言葉は無力。距離に負ける」と言葉の力を疑う馬締。辞書編集部の面々が総じて無表情に徹していたので、ミムラの表情が豊かに感じた。

柴田恭兵はオンラインで「言葉は繋がる力」だと喋る。確かに時空を超えても言葉で共感できる。最終回にさらりと再出した「なんて」、「生きるのは変わる事」って科白も良かった。回想シーンがなくてもこれで十分。

「なずむ(泥む)」って動詞にも参った。武田鉄矢の「暮れなずむ街の~♪」を何度も聞いているけど、雰囲気でしか理解していなかった。「なずむ」をネット検索するとこう書かれていた。

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・気にしてそれが心から去らない。拘泥する。

・とどこおる。はかどらない。

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(2)記憶喪失な連ドラ

●フジ「アンメット」

冒頭映像の違和感で普通の医者ではないなと分かった。確かに記憶を失くしても自転車を漕げるしオペで運針できる。展開が読めないので面白そう。

 

●TBS「9ボーダー」

この記憶喪失はピュア。まだ雰囲気が掴めていない。なんかカタカタしてぎこちない印象あり。科白のまんま「なんだかなあ」かな。

あと、ホワハラって初めて聞いた。ホワイトでもクレームを挙げるのって若者のゼイタクな悩みなんだか……。

 

●TBS「くるり」

軽い火曜日10時も記憶喪失。

 

(3)その他の連ドラ

●NHK「虎に翼」

既にNHK「ひよっこ」のヨネコ役がツボにハマった伊藤沙莉が朝ドラの主人公をゲット。キャラが立っているのは役者として勝ちだな。ヨネコの伊藤沙莉にアテ書きしている感じもある。

米津玄師の歌も雰囲気あるし、楽しみに見ている。それにしても禁治産者とか「無能力者」って言葉は痛いなあ。母親に対する「スンとした」って表現は初めて聞いた。

 

●NHK「光る君へ」

兼家(段田安則)が亡くなり、長男(井浦新)が傲慢さもひっくるめて後継となる。まひろも清少納言もまだパッとしない。と思っていたら清少納言が役職を得る。4/14放送の焦るまひろの「私は一歩も前に進んでいない」って科白は、このドラマの展開にも言える。「蜻蛉日記」の作者、道綱の母(財前直見)も出ているので同じ筆を生業とする者として接点を広げられるといい。石山寺参りの赤い布は何なのか?

 

●フジ「ブルーモーメント」

GWに雪山へ登る身としては雪崩の場面を見せられるのは勘弁して欲しいけど、良さそうなドラマ。何度かTBS「東京MER」かと錯覚するもこの緊迫感は好き。


●TV10「Destiny」

石原さとみがTV10か……とnegativeに考えてしまったけど、クールな感じで作ってきた。彼女の作品はキャンキャンした役柄よりTBS「アンナチュラル」の司法解剖医役がベストだった。これも良さそう。


●TV10「Believe」

(TVerで見るつもり)


●日テレ「花咲舞は黙っていない」

軽いエンタメ作品。リメイクの主役が2本続くのって今田美桜にとっては微妙。前作で杏とコンビを組んでいた上川隆也が出演していた。

 

●TBS「アンチヒーロー」

TBS「MOZU」で元公安のワルを演じた男がそのまま弁護士に転身した感じ。画面もストーリーもダークなので日曜劇場で見たいドラマではない。この歪んだ人格形成を丁寧に辿ってくれるストーリーでないとわざわざ日9枠で放送しなくてもいい。

 

●フジ「366日」

まるでドラマのような展開で1話完結したので、単発ドラマで良かったのでは。ラスト1分の転落シーンは要らない。撤退。

 

(4)単発ドラマ

●フジ「GTO」リバイバル

見逃した。

 

●フジ「PICU」スペシャル

生後半月くらいの敗血症の新生児のラストに「僕が付き添います」。この一言がこのドラマの優しさを表していた。ともさかりえの安田顕に対する言葉も、大竹しのぶの「親より先に死ぬなよ」も重たい。もうこれだけあれば、ワガママな研修医は邪魔だった。