以前のNHK「笑わない数学」と比べると想定視聴者のレベルをかなり落とした番組。でも新鮮なとこがあって面白かった。台風10号で自宅に籠っていた8/31に再放送でまとめて見た。
(1)円周角
こうした初等幾何はとっくに忘れていたので新鮮。しかもラグビーのCB(コンバージョン・キック)の最適位置をクイズ形式で問うてきたのが面白かった。
<CBのキック最適位置を数学的に求める>
3:4:5とか5:12:13など3辺とも整数になるピタゴラス数の組合せについて、他にどんなパターンがあるのか探してみた事がある。かなりレアだった。ただ、この番組で図示していたように、半円を描いて両端ともう1点を結んだ直角三角形は無限に描ける。このイメージのままいくと整数比になる組合せは無限にありそうな錯覚に陥るけど、実はかなり稀なもの。そんな事を以下ブログで調べた事がある。
※参考:ピタゴラス数の弊ブログ
(2)無理数
√2を示すなら正方形の対角線が普通。√3なら、角度30°、60°の直角三角形で例示するのが一番シンプル。ところが、この番組ではA4とかB4の紙の規格から√2を導出。用紙サイズである21cm:29.7cmが1:√2の近似になっていると示し、それが白銀比だと繋げてくれた。白銀比は黄金比よりマイナーなので新鮮。
<用紙サイズはそのまま拡大縮小できる>
※参考:黄金比φの弊ブログ
(3)三平方の定理
水平線までの距離を求めるのが面白かった。地球の半径が6375kmで、もし自分の身長が155cm(NHK塚原アナ)を加えれば斜辺=6375.00155kmの三角形にピタゴラスの定理を当てはめれば水平線までの距離が約4.4kmだと知れるとか。うーん、ロマンがないけど数学的に正しいんだろう。
<水変線はどの辺りなのか>
(4)数学的思考
あらためて説明する事でもない。あるレベルまではセンスだ。ただ、6本の木に6羽の鳥が留まっている例と不変数の話はピンとこなかった。これも不変量の一種なのか。メビウスの帯を二次元に落とす(次数を下げる、射影する)のは面白かった。射影することで対象物の特徴を捉えやすくなるって事だろう。
<秋山仁が語る思考パタ-ン、メビウスの帯を潰す>
(5)不定方程式
式「2x+3y=8」を例にとって、答えが1つじゃない式を説明していた。Y=……の一次方程式に式変形すると、直線状のグラフを描くのでその上に無数の答えがあることは明白。それで十分と思えど、解を整数に絞ってシンプルに話を進めていた。
新幹線の3-2列に8人が座るパターンが複数ある事を示してくれた。隣同士4列でもいし、3人席2列+2人でもいい。
<3人席2列+2人で着席> 【註】今回の画像はいずれもNHK番組をスマホで撮ったもの
4x+7y=kを満たさない最大のkがフロベニウス数になるとか。ある講義を聞いていてフロベニウス写像が出てきて落ちこぼれたことがあるけど、こちらは公式(xy-x-y)があって前述の例だとk=17を簡単に求められる。
(6)今後の放送予定
再放送で見たのは前半6話。あと4回放送されるようだ。まとめ放送に期待。
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9月4日 第9回「確率」
9月11日 第10回「関数」
9月18日 第11回「倍数・約数」
9月25日 第12回「私の“推し”数学」
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※出典
https://www.nhk.jp/p/ts/E9YXP3VJ17/blog/bl/pM7vblLYQB/bp/p5XbBEA9Vm/
【2024.12.31訂正】年末の深夜再放送を見てフロベニウス数を赤字で訂正。番組後半については年明けに投稿予定。