先月もこの趣旨でブログを書いているので、簡潔に書きたい。

 

(1)G7と国連

それにしてもイスラエルの軍事進攻は非常識にも程がある。民間人の無差別殺害ではないか。ハマスのテロは正当化できないけど、その温床には数十年に及ぶイスラエルの横暴が澱みのように溜まっている。復讐の連鎖が何も産み出さないどころか、次のテロ行為を呼び込むだけではないか。と言うか、長年のイスラエルの行為そのものがテロでありアパルトヘイトだ。


ホロコーストの歴史があるドイツは発言しにくいだろうが、それ以外のG7諸国の対応はいかにも緩い。私の感覚としては国連グテーレス事務総長の発言で言い尽くされている。

 

<11月のニュース映像>


<10月末のTBSサンデーモーニング映像(2)>



(2)米国は変わらないのか

それにしても、米国はいつまで偏向してイスラエルに寛容な姿勢を続けるのか。同国のユダヤ系市民の人口は2%程度だが、投票率が高いため4%程度のインパクトを有しており、更に大統領選の勝敗を決する州に人口が偏っている事情があるとか。

 

共和党がキリスト教福音派の支持を得たいだけでなく、民主党も同じ構造があるのか。ユダヤ人が大統領選にインパクトを与えると言ってもそれすらもロビー活動の賜物ではないのか。1948年にトルーマン大統領(民主党)がいち早く国家承認した建国当時と、イスラエルがパレスチナ人差別を続ける「ユダヤ人に限定した民主主義」の現在において国内世論に変化はないのだろうか?

 

1956年のスエズ危機(=第2次中東戦争)においてアイゼンハワー大統領(共和党)はユダヤ人に肩入れする事なく三国(英、仏、イスラエル)にシナイ半島からの撤退を迫った。パレスチナの悲劇を見るにつけ、そうした見識が今こそ大国に必要なのだと考える。

 

(3)中東諸国の動き

同じアラブ民族である中東諸国は積極的に関わらないのだろうか。ここら辺の事情も分かりにくい。BRICS+6でイランとサウジ、エジプトが結束して対応できそうなものだけど。


戦後、民族主義が高まったあとでアラブ諸国は民主/共産主義を経て国家主義に移行していったとか。そうなると過去4度の中東戦争を経てサウジアラビアやエジプトはやはり自国ファーストになってしまったのか。


シリア問題、ウクライナ問題に介入してくるトルコが大人しくしているのは直接的な利害関係がないためか。

 

(4)イスラエルの横暴

ヨルダン川西岸においても横暴な土地収奪でユダヤ人を強引に入植させたり、異常な人口増を以って人口比でパレスチナ人を追い詰めたり、イスラエル人の強欲と横暴は理解できない。21世紀のアパルトヘイト、その歪んだ現実はあり得ない。

 

高橋和夫氏(国際政治学者)の文章を読んで要約した拙文を再掲しておく。

 

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近年ではシリア内戦で、アサド政権を支援したイランと反政府勢力に肩入れしたイスラエルで対立軸があった。また、アラブ各国で正式な外交関係があるのはエジプトとヨルダンのみであり、イラン憎しを煽る事でサウジアラビアやUAEと接近する効果も得た。

占領地を除くと、人口870万人の75%程度がユダヤ人、残りがアラブ人だが、その人口動態を意図的に変えてしまおうとしている。出生率は3.1と他国と比べて高い値だが、更にユダヤ教の超保守派に限ると7を超えているのだ。

ヨルダン川西岸地区(僅かな土地に限って自治)とガザ地区(世界最大の監獄)の占領地には、500万人のパレスチナ人が暮らしている。Totalすると、人口1370万人のうち、ユダヤ人は670万人で少数派になる。

人口動態を戦略的に捻じ曲げようとしたり、占領地にユダヤ人の入植を強引に推し進めたりしている姿は異常だ。国民もユダヤ人、二級市民(イスラエル国籍を持つパレスチナ人)、占領下のパレスチナ人と階級を付けている姿はまるでアパルトヘイト国家だ。

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※出典(弊ブログ)

 

先日ちょうどパレスチナ人のコメントが中日新聞サイトに載っていたので、これを紹介して終わりにしたい。

 

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スマートフォンに映るのはガザと同じ、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の小麦畑が燃えている映像。「私の家族の畑。イスラエル人入植者に嫌がらせで火をつけられた」と話す。

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※出典

https://www.chunichi.co.jp/article/803912