(1)NHK「どうする家康」

三方ケ原の戦いの回くらいからタイトルバックが暗い色調に変わったのか、それとも見間違えか。以前はパステルカラーの扇が揺れている絵があった筈だけど、このところストーリーにおける家康の苦悩に合わせたためだろう。

視聴率が振るわないのは民放も含めたドラマ全般のことながら、大河ドラマに関しては脚本家の個性もマイナスに作用していると思う。あまり知らない人物を各回の中心に据えるのは無理があり、主人公に注目してドラマの世界に入り込みにくい。あと、超威圧的な信長と家康の仲の悪さがドラマの雰囲気を悪くしているのも否めない。

 

【5/28放送】武田勝頼が足助城まで迫っていたのか。ちょうど5月に名鉄・東岡崎駅~香嵐渓(足助城の近く)の路線バスに乗ったばかりだったが、バス乗車時間は70分だった。なので、武田の騎馬軍団なら翌日には岡崎城を攻め始める事ができただろう。

岡崎クーデターも首謀者を大きくzoom-upしてきたけど、この人はこれまで目立っていなかった。前から登場していたのか。この回になっていきなりスポットライトを当ててきたので彼らに感情移入する事はできない。


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小豆餅の銭取お婆さんが登場。でも、浜松の領民はそんなに馬鹿にしていたんだろうか。遠州地方に残る家康にまつわる逸話のほんわかした雰囲気と合わず、しっくりこない。

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前回のドラマブログでこう書いたけど、井伊直政が家康を選んだ理由が良かった。確かに怖がらせる領主より笑顔にさせる領主の方が親しみを持てる。この婆さんまた登場。

 

<浜松銘菓・銭取> ※再掲

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【6/4放送】毎回特定の人物にスポットライトを当てる今年の脚本。この日は史実に基づく鳥居強左衛門なので良かった。瀬名と武田の忍びとの絡みはまだボンヤリ描かれているだけ。

 

【6/11放送】定説だと酒井忠次が鳶ノ巣砦を攻める案を出したが軍議で否定して後で同意したとか。でもこの脚本って信長の理不尽と秀吉のいやらしさを思いっきり強調してきた。信康ならずともむごたらしい長篠の戦いの描き方だった。

 

<設楽原の資料館にて> ※再掲

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【6/18放送】

今年の大河ドラマのもう1つの特徴は2週でワンセット構成になっている事。だから、今週は前振りだ。

瀬名が覚醒した。そもそも家康が浜松に単身赴任したまま瀬名がずっと岡崎に留まっていた理由は何だったのだろうか。息子が一人前になるまでと思っていただけなのか、岡崎が徳川の本拠地だからなのか。暢気に構えている家康もとにかく緩い。

 

(2)今クール

●フジ「風間公親―教場0―」

「なんとなく」を連発する白石麻衣は女優としてもなんとなく薄い存在に映った。染谷翔太はあの役柄だったので振り切って演じられたんじゃないか。

キムタクらしさを消し去った演技は賛否あろうが良かったと思う。ただ、前にも書いた通り、義眼になったエピソードは分かっただけで「教場0」と銘打っている以上は彼がどうしてあの厳しいキャラになったのか、そのルーツ、その深堀りが欲しかった。何か転機となる事件があった筈でそこが足りない。

その辺は改めてスペシャルでも作るのかと思っていたら、この連ドラとしても中途半端に時間切れ。森山未来は逃げ延びたし、坂口憲二の絡みも殆どなかったのは残念。

 

●TBS「ペンディングトレイン」

逞しい男、武器を作れる男、サバイバル術に長けた男、どれも生き延びるには必要なキャラ。でも、みんながそうしたスキルを持っている訳じゃない。5/26放送では抗争を止めさせるのも1つのスキルだと気付かせてくれた。

主役の「ヒネクレ君」、主役に見えた「責任感じてヒーローしている」消防士、「ポヤポヤお節介」な教師、彼等ならコロンビアのジャングルで40日くらいサバイバルできるんじゃないか。そう思わせてくれた。

ドラマとして中だるみ感はあった。きっと地球は救われたんだろうけど、杉本哲太と6号車の人達はどうなったのか等、突っ込みポイントはある。でも、TBS「ラストマン」のように刑事ドラマで安穏とすることなく、チャレンジングな作品を生み出してくれた事を評価。

 

●NHK「らんまん」

シロツメクサって輸入するのに木箱の空きスペースに詰め込んだクサだったのか。確かに、どこでも生えているのがシロツメグサとアカツメクサだ。

金曜日ラストに奥田瑛二が初登場したシーンはかなりのコワモテかと期待したけど、このドラマには悪役が出てこなくてやっぱり理解ある丸い大人だ。植物学講座の面々も万太郎の掌で転がせる程度のソフトな人物ばかり。寿恵子もそのまま胸に飛び込んできてくれた。前途洋々だな。

 

●日テレ「それってパクリじゃないですか」

水曜10時枠としてど真ん中のストーリーになっており、主人公の成長が感じられた。毎週安心して見られるドラマだった。

フジ「タブロイド」以来の常盤貴子とともさかりえの絡みはあんまりなかったのが残念。ともさかりえは日テレ「すいか」など女性どうしの掛け合いが面白かったのに。

 

●TBS「ラストマン」

長野県中野市の事件の翌日に誘拐事件を扱うのはあまりにタイミング悪すぎ。でも目が見えないからこそ人質交換が成立した訳で、過去に記憶がない描き方になっていた。

バスジャック犯が同姓同名違いで社会的制裁を受けたストーリーもなかなかエグイ。

福山雅治は巧かったと思う。でも、敢えて刑事の連続ドラマの主役に据える必要があったのか。エグい脚本を持ってきたのだから2時間ドラマで十分では。

※6/25最終回を見た後に追記:41年前の事件は思ったより複雑でいい最終回だった。あの2人が兄弟だと分かりやっぱり連ドラに相応しかったと思い直した。

 

●フジ「合理的にあり得ない」

5/29放送の娘の自作自演まではすぐに読めたけど、もう一押しあったのか。総じて軽くてダークなドラマだった。

 

(3)これがホントのドラマ

「第2部」に続きNHK「男たちの旅路・第3部」の感想ブログを書いた。やっぱり鶴田浩二。やっぱり山田太一。こういう重厚なドラマがいい。

 

※先日の弊ブログ