先日、1級キャリアコンサルティング技能検定実技論述試験の準備(練習)に向けて、

CVCLABのオリジナル事例問題をこのブログでアップいたしました。

https://ameblo.jp/cvclab/entry-12935541976.html

 

この事例問題は、CVCLABで昨年度(2024年度)に活用した架空のもので、

この事例を使って練習されていた方々からも1級ホルダーが生まれています。

 

今回の記事では、上記事例を使って、

問1にあたる設問を考えてみたいと思います。

あくまで私の一つの考えですので、

読者の皆様もいろんな考えをリアルに生み出してほしいと願っています。

 

「問1 相談者Aが訴えた問題は何か、記述せよ。」

 

まず、1級の論述試験というものは、

「次の文章は、事例相談者(B)が相談者(A)とのキャリアコンサルティングについて事例指導をうけるためにまとめたものである。この事例を読み、以下の問いに答えなさい。」

という大前提があります。

 

つまり、どんな設問に際しても、

あなた(受検者)が相談者Aの担当キャリアコンサルタントではないということです。

 

この点はブログで何度も書いてきていることですが、

前提の意味として、

「事例相談者Bが事例指導を受けるためにまとめたもの」

という、この文言があることで、私たちはこの事例を

「相談者Aの問題を直接把握する」ためではなく、

「事例相談者Bの支援のあり方や関わり方を通じた事例相談者Bの気づきと成長」ための

学習素材として読む必要があります。

 

つまり、相談者Aの問題を見立てる際にも、

以下のような視点が加わるのではないでしょうか。

 

指導者の視点の変化として、

相談者Aの問題を「事例相談者Bの支援の文脈」で捉えること。

つまり、事例相談者Bがどのように相談者Aの問題を理解しようとしたのか。

 

1、事例相談者Bは、相談者Aの「若手社員とのギャップ」や「業界の将来不安」

に共感的に対応しようとした。

しかし、「建設業界に限った話ではない」という助言が、

相談者Aの個別性を軽視したように受け取られた可能性があるかもしれない。

※上記アンダーラインの部分は、問1では問われていませんので注意が必要。

 

2、事例相談者Bの支援が相談者Aの問題にどう影響したか。

 

相談者Aの「深刻な表情」「自信のない様子」から、

事例相談者Bの関わりが十分に安心感を与えられなかった可能性がある。

次回面談に来なかったという事実は、

事例相談者Bの支援が相談者Aの問題に寄り添いきれなかったことを示唆しているかも。

※このアンダーライン部分も問1では問われていません。

 

3、相談者Aの問題の見立てのあり方が、事例相談者Bの支援の質を問う材料になる

 

相談者Aの問題は「若手とのギャップ」「業界の不安」「自分の働き方への疑問」など多層的でしょう。

それに対して事例相談者Bは「共感的に聴く」ことに注力したが、

具体的に何に困っているのか、具体的な支援のあり方、期待していること等の共有ができなかったのかもしれない。

※このアンダーラインの部分も問1では不要。

 

結論ですが、この事例における「相談者Aが訴えた問題」は、

相談者Aの語りの中から問題を抽出するだけでなく、

事例相談者Bの支援の文脈で再構成する必要があるということです。

 

つまり、「相談者Aが何に悩んでいたか」だけでなく、

「事例相談者Bがその悩みをどう捉え、どう関わったか」

「その結果どうなったか」

を含め、相談者Aの訴えた問題を改めて見立てることが事例指導の実践的な本質です。

このような視点の転換は、まさに指導レベルキャリアコンサルタントに求められる思考ですね。

 

事例相談者Bの記録から読み取れることと、

事例相談者Bが記録できていることを踏まえると、

 

相談者Aが訴えた主な問題(見立て)として下記に整理します。

 

1、若手社員との価値観・働き方のギャップに対する戸惑いと苦手意識

「現代の若手社員とのコミュニケーションや仕事のやり方について違和感がある」

「若年層への対応が難しいと感じている」

とありますので、世代間の価値観の違いや、

自身の経験則が通用しないことへの戸惑いを示しており、

相談者A自身のアイデンティティや職業的自信にも影響を与えている可能性があります。

 

2、若手社員の離職率の高さに対する責任感と無力感

「若手社員の定着に取り組んでいるが、なかなか難しい」

「若い貴重な人材を大事に育てたいが…」

これは、部長としての役割に対する責任感と、

成果が出ないことへの焦りや無力感が背景にあると見立てられますよね。

 

3、業界・会社の将来に対する不安

「業界全体の新たな課題だと感じている」

「会社の将来にも不安を抱き始めている」

業界構造の変化や人材確保の困難さに直面し、

自身のキャリアの終盤における展望の揺らぎを示しているともいえます。

 

4、自身の働き方への疑問とキャリアの再評価

「自身の働き方にも疑問が生じている」

自己のキャリアの意味づけや今後の働き方の見直しを考え始めている兆しかもしれません。

 

統合的な視点でまとめてみると、

相談者Aの訴えは、単なる「若手社員の定着の難しさ」ではなく、

多層的な問題構造を持っていると思います。

 

例えば、役割葛藤には、部長としての責任と個人としての限界との間で葛藤を覚えているとか、世代間ギャップについては、若手との価値観の違いにより、自己効力感が低下しているとも表現できます。

さらには、業界・組織の変化への適応困難として、

長年の経験が通用しない状況に直面し、将来への不安が増していること、

そして、キャリアの転機からみると、50代というライフステージにおいて、

これまでの働き方やキャリアの意味を再評価する時期に差し掛かっているのかもしれません。

 

これらをまとめて、文章スタイルを少し変えながら、表現してみた時、

例えば、

「記録を読み取ると、若手社員との価値観や働き方の違いに戸惑いを感じ対応に苦慮している。若手定着に成果が出ず、責任や無力感を抱え、業界における人材確保の困難さや会社の将来への不安が重なっている。長年の経験が通用しない状況に直面し、職業生活の意味や今後の展望に揺らぎが生じて、役割葛藤や自己効力感の低下、転機に伴う内省といった内面の動機に深く影響している。」

といった問1での解答を考えるかもしれませんし、

 

または、

「社内で若者が思うように育たず会社の将来にも漠然とした不安を抱いている。入社した若者が定着するように働き方の改革をしているが、業界全体の印象からも若者ニーズと会社の要求が平行線となり相反する思いがある。現代の若者の価値観等に違和感を感じていて今後自己の役割を果たせるか自信がない。」

といった問1での表現をするかもしれません。

 

今の私の考えですが、

このように示すことになるかな…という感じです。

 

事例相談者Bの捉え方を通し、相談者Aをみたとき、

私(受検者)がその訴えを再構成して表現していくと、

上記のような文章になるかと思います。

 

次回の記事では、問2を一緒に考えていけたらと思います。