「先生の恋」
生徒に恋する奴なんてバカだとおもっていた。
でも、まさかこの僕がそうなるなんて――。
第4中学に英語の教師として配属された綾部は、
3年A組の中条さくらに恋をしていた。
さくらには卒業と同時に自分の気持ちを伝えるか、
綾部は迷っていた。綾部の心は揺れ動いていた。
落ち着かないままに時間が過ぎて言った。
そして、卒業式の日が来た。

その日、何度かさくらを見かけたが、話しかける口実が思いつかなかった。
夕方近くに、 綾部はたまたま一人でいたさくらに声をかけた。
「中条――」
「あ、先生?」
「大学、合格おめでとう」
本心とまるでちがう言葉をかけた。
そういって、綾部はさくらに右手を差し伸べた。
さくらは少し驚いたようだったが、綾部をまっすぐ見て、握手を交わした。
「先生、私…」
とさくらが言いかけた時、後ろからさくらの友人がさくらを呼びに来た。
それを見て、急いで手を引っ込めた。
さくらが言いかけた続きが知りたくてたまらなかった。

それから4か月が過ぎた。
さくらにはあれから一度もあっていない。
卒業したのだから当たり前だ。
綾部は今日も教団に立っている。
でも、心の中では、「ただの男」でいたいと思ったりもするのである。