「先生しか見えない!」
私は先生が好きだ。
誰になんと言われようとも、好き。
もちろん世の中に素敵な男性はたくさんいる。
同級生にも目移りはするのだけど、心まで奪われることはない。
昨日、私は学校でとんでもない大失敗をやらかしてしまった。
先生への気持ちを書いたノートをクラスメイトの男子に
見られてしまった。ノートを机の上にあけっぱなしにしながら、
トイレに行ったからいけなかった。
何とか事なきを得たわけだけど、結局クラスメイトには
ばれてしまった。
そのことで私の先生への想いが減ったかといわれると、
そんなことは全くない。
もう一度言う。
私は先生が好きだ。
ただし、その言葉は、自分ひとりで感じているもので、誰かと共有したりするための
言葉ではない。
出会いというのは、平凡な日常の中に紛れ込んでいる。
その出会いが輝きを放つかどうかは、運命次第だ。
世間から見れば、私と先生は、生徒と教師。
私は、そのことを自覚しているのだろうか?
分かっているが、止められないんだから仕方ない。
翌日、ノートを見た新谷が私のところに来ていった。
「好きなら、学校にばれるなよ。
大変だな、コソコソしなきゃいけない恋って」
新谷は、やさしいのか、おせっかいなのか分からないような言葉を私に投げた。
私は新谷から避けるように、教室を出た。
学校の帰り道――
世間的に見れば、私の恋は、大変な恋なんだな……
自分の恋の重さをしみじみと感じながら、
また、明日、先生に会えることを楽しみにしながら
家に向かうのだった。