勝専寺の赤門

 

 足立区千住にある勝専寺は、赤門が有名で、通称「赤門寺」と呼ばれ親しまれている。
 文応元年(1260)創建と伝えられ、非公開であるが、荒川の水底から引き上げられ木造千手観音立像が安置されていて、これが千住の地名の由来になったという。
 江戸時代には日光参拝に際して将軍の御旅所となり、徳川家忠・家光・家綱らが利用したとの記録が残されている。
 東大の赤門(旧前田家の門)が将軍の息女が嫁いだことで建設されたように、江戸時代に赤門は将軍家と関わりが深い事を示すものであった。

 

閻魔大王堂

 

 勝専寺は「おえんま様」の愛称でも親しまれ、境内の閻魔大王堂には寛政元年(1789)に開眼された「えんま王坐像」が鎮座されている。毎年1月15・6日と7月の同日に縁日が開かれている。

 

鐘楼

 

鐘楼建築記念碑

 

撰文は金玉均

 

 勝専寺の境内にある鐘楼は当初安永4年(1775)に建設されたが、明治に入って破損したため、明治24年(1891)に再建されている。
 そのいきさつが記された「鐘楼建築記念碑」が鐘楼の石垣に埋め込まれているが、碑の撰文は朝鮮の革命家で当時日本に亡命していた金玉均によるものであった。金玉均は囲碁界とも関わりが深く、本因坊秀栄とは親友であったと言われている。
 なお、この当時の鐘は戦時中の金属供出で失われ、昭和34年(1959)に地元有志の募金により再鋳されている。

 

【囲碁史人名録】 金玉均

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