NO4 「トムは真夜中の庭で」 フィリパ・ピアス
岩波文庫の中のこの一冊を読んだのは、30年近く前になります。
トムは、事情があって、おばさんの家に預けられます。
この家は、実は、昔は、豪邸だったのですが、今では、部屋を分割してアパートになってしまっています。
何故か、13時の時計がなると、トムは、昔の世界の庭に行くことができたのです。
昼間探すとそこは、ゴミ置き場。
でも、夜には、少年や少女が遊ぶ手入れの整った庭なのです。
でも、トムが見えるのは、小さな少女一人。
その少女は、トムが庭に訪れるたびに成長していきます。
時空を越えた子どもの友情が、衝撃的なラストを感動の場面にします。
私自身、少女の頃から今に至るまで、何度もこの庭に遊びに行きました。
宝物の庭の一つです。
no3 「夏の庭」 湯本 香樹実
- 著者: 湯本 香樹実
- タイトル: 夏の庭?The Friends
私は、建物が好きで、また、庭も大好きです。
子どもが育っていく課程で、「庭」の果たす役割って結構大きいのではと思っています。
この「夏の庭」は、小学6年生のいたずらっ子3人組が、「死にかけている」おじいさんを発見することから始まります。
子どもたちは、人の死というものに興味をかき立てられ、おじいさんを見張っていればいずれ死ぬところも見られるのでは・・、と見張りを始めます。
ところが、見張られていることが刺激になったおじいさんは、元気が出てきて、子どもとの交流が始まります。
おじいさんの家の小さな庭が、子どもたちを育てていきます。
「原風景」というものが、誰にもあるとしたら、その風景が、豊かな自然であって欲しい。
大自然が望めないなら、小さな庭でもいい。
草や、木や、虫や、風のある景色を心に持ち続けて、それをよりどころに、人生を乗り切って欲しい。
子どもを育む庭の紹介は、続きます。
no2 「 バッテリー」 あさのあつこ
- 著者: あさの あつこ, 佐藤 真紀子
- タイトル: バッテリー
巧は、岡山の田舎の中学に転校してきた。
剛速球を投げる野球少年巧の前に現れたのは、キャッチャーの豪。
大人になると子ども時代の感じ方や、ものの見え方を何故だか忘れてしまいがち。
明るいだけではない、ナーバスな思いや、友だちとのやりとり・・。
懐かしく、切ない思いがよみがえってくる文体です。
一巻から五巻まで、子どもたちと一緒に読みました。
男のかっこよさとしんどさの原点がみんな詰まっているような女性にもお薦めの一冊です。
no1 「生きて死ぬ智慧」 柳澤桂子
- 著者: 柳澤 桂子, 堀 文子
- タイトル: 生きて死ぬ智慧
この本は、生命科学のオーソリティーでもあり、ご自身が、難病で長年苦しまれたご体験もある、柳澤先生の「般若心経」現代語訳。 NHK「心の時代」で放映され書評もたくさんでています。
私は、自分の書籍の中で、先生から原稿をいただいたことがあります。
今はもう廃版で手に入りにくくなっていますが、学研から出した育児書のシリーズの中の一冊でした。
私たちは、遺伝子の進化の歴史の中で、バラの花ともミミズとも、鯨ともヒマラヤスギとも遺伝子情報を分かち合っているいのちの仲間なんだと書いて下さいました。
今回の「生きて死ぬ智慧」は、もう一歩進めて、私たち生命やその他、物体は、分子レベルで一つであり、その現象や意識や感情ですら「空」であると悟り、苦の中で生き、苦の中に幸せを求め、永久のいのちにめざめよ、と語りかけます。
私は、宗教心のない人間で、そのことで、いろいろな事柄の受け入れに、苦悩ばかりがある、情けない人です。
でも、人生を苦しみから逃げるように過ごすのではなく、その中で、今日を、今をできれば豊かに生きていければと思っています。
一冊目がハードになってしまいましたが、やわらかい温かい本も紹介したいと思います。



