少しだけ滑れば満足(その1) | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

今迄毎シーズン最低でも1度はスキーをしてきました。

何といっても、旅先で身体を動かすことの原点ですし、脳を鍛えるには有酸素運動が大事と思ってからはなおさらに、新鮮な空気の中でマラソン並みの運動ができるこのスポーツを自分の中では大切にしてきました。

もともと私は運動神経が鋭いほうではないし、身体も大きくはなかったから、運動が得意というわけではなかったのです。

ただ、小学校3年生の時にはじめたスキーだけは、中身自体はともかく、寒い冬に雪国に旅行に行けることから、好きになりました。

(去年の同じころ、家の近所は桜が満開でした)

このブログで何回も取り上げていますが、そもそも出先で自転車に乗り運動することのヒントは、スキー旅行からいただきました。

最初は策道で登って降りてくるという点だけを真似していたのに、いつのまにか自転車を漕いで、時には担いで山歩きするようになってしまったのは、自分でも意外でした。

でも、スキーだって夢中になるうちに、元旦の早朝に初日の出を見ようと、ゲレンデの脇をスキーを担いで山登りするようになっていたのです。

時代は変わり、年齢も変わり、対象も変わったけれど、同じことを繰り返しているというか…。

ところが、そんなに自分にとって大事なスキー旅行も、今年は「行かなくてもいいかな」と思っていたのです。

もう年齢も年齢だし、最近のスキー場はとかくお金がかかるイメージで経済的にもきついし、運動という点でいえば、普段から旅先で自転車に乗れていることで代替できているし、何よりも、もっと大切にしたい時間ができたからという点が大きかったと思います。

一人旅の場合、この思い切って出かけるまでの逡巡がけっこう大切であります。

旅に出るにしろ、取りやめるにしろ、どちらも希望が見いだせるでしょうし、後悔もまた残ります。

そのとき、あとになって「あの時に旅に出かけたから今がある」と思えるような、そんな旅になりますようにと、ひそかに内心で祈ります。

それに、毎年通っている宿の人たちのことは気がかりでした。

とくに白馬は今シーズンの直前に土砂災害に見舞われていて、メールを送信したものの、それどころではないのでしょう、お返事がなかったので、一度様子を見てみたかったのです。

様子を見るだけなら忙しいスキーシーズンでなくても大丈夫かと思っていたのですが、現在手伝っている仕事の内容からして、スキー場のクローズぎりぎりのタイミングでゆくのは無理そうだったので、行くなら早めにと、思い切って直前で出かけるほうに決断をしました。

こういうとき、あれやこれやと文句をつけて、ひとの行動にいちいちケチをつける人間がそばにいないのは救いです。

そういう人は、「スキー旅行=娯楽=贅沢」と単純な思考で、「遊ぶ暇があったら働いてカネをよこせ」と平気で言います。

実のところ、文句ばかりを言いたい人は、仕事をしていたって「もっと真面目に働け」と自分のことは棚に上げていうのです。

そんな人と人生という長旅を一緒にしたらどうなるか、いま思い出しただけでも心肝寒からしむる出来事が過去にありました。

その点、そういう決断を黙って応援してくれ、道中の無事を祈ってくれるような友だちがいてくれて、今は助けられています。

(ドライブも最初から最後まで雪道はなく楽勝でした)

土日の高速道路は深夜割引を使わなくても同じ割引待遇を受けられるので、金曜日の晩に翌朝家を出るか出ないかを決めかねたまま、準備にかかります。

まずは一年間使わないでいた服装や道具のチェックです。

スキーウェア(今はなきphenix製品)…だいぶ防水性能が落ちてきているように思いますが、それでも染みることはないので大丈夫です。

ポケットのファスナーが一ヶ所壊れているけれど、これもなんとかなるでしょう。

スキー靴(Salomonのバックル式)…昔リアエントリーで一世を風靡したこの会社もとうの昔に変わりました。

あの時代は硬派で有名なLang製ブーツを無理やり履いていて(足を靴に合わせるといわれていました)、よくしもやけになっていました。

変色しているけれど、いきなり割れるような劣化はみられないので、大丈夫そうです。

靴にはお金をかけておいてよかったと思います。

板…これがかなり問題で、デモ用の小回り板なのですが、ベント(スキー板のたわみ)がほとんどなくなっています。

年がいもなくこぶ斜面でガシガシ滑った影響でしょう。

カービングスキーになって以来、踏んだ時に板からの反発(跳ね返り)がなくても、サイドカーブ(スキーの側面にある曲線)を雪面に押し付ければ、エッジ(板の両サイドの角についている金属部分)の角が甘くなっていても簡単に曲がってしまうので、無頓着になっていました。

圧雪された斜面を適当に流してすべるぶんには問題ありませんが、攻める滑りはできないので、もう限界でしょう。

私は体重に対して筋肉が落ちているので非力でも、スキーを滑らせる技術だけはあるので、板もデモ用か競技用でないとすぐダメにしてしまいます。

それに年とともに軽くて硬い板が欲しくなっています。

(たんに楽に安定して滑るためですが、ブロンプトンでいえば高いチタンモデルが欲しくなるという意味です)

でも、今は(とくに輸入)板が為替差もあって高騰しているとききます。

さて困りました。

いまは生産量や輸入量自体を調節しているため、晩春から初夏に売れ残った旧モデルの投げ売りもないので、ネットをこまめに出物が無いかチェックしてみようと思います。

ストック(SHINANO製)…細くて軽いレーシング用のストックなのですが、丈夫で長持ちしています。

グローブ(REUSCH製)…これは使用頻度が低いせいか全く問題ありません。

きっと自転車やオートバイなど、他の用途に転用していないからでしょう。

どんなに縫製がしっかりしている製品でも、ストックを握るのと、ハンドルを握るのでは同じ握るでも動作が全く違いますから。

ゴーグル(SCOTT製)…板以上にくたびれています。

上部の通気性確保の部分に貼られていたスポンジはほぼなくなり、偏光レンズの塗布された部分が端から剥げてきているし、枠からレンズが出てしまっています。

グローブやゴーグル(サングラス)は、忘れられがちですが重要なアイテムで、天候や気温によってはこれがないと滑ること自体が不可能になります。

ゴーグルは目の保護の意味もあるので、今回に限りこれを使い、来シーズンまでに長持ちする製品をみつけようと思います。

そんなこんなで金曜日の夜は更け、土曜日の朝にいつものように目覚めました。

「いつ引き返してもいいや」と、まるで折り畳み自転車で出かける感覚で、車を走らせます。

昨年も同じように白馬へ行ったのですが、あのときはお昼過ぎに出て夜遅く到着しました。

今回は、昼過ぎには着くだろうと思っていたのですが、関越自動車道から上信越道に入り、碓氷峠手前の松井田インター付近から雪が降りはじめました。

私の車は中古車で、もとは長野ナンバーの一応4WDのスタッドレスタイヤを履いているので、雪はそれほど気にならないのですが、峠を越えて佐久や小諸のあたりでは、視界が悪くなるほどの降雪だったので、今シーズンはじめての雪の高速道路に少し戸惑いました。

(ところが今年は長野に入ったとたんにこれです)

長野まで来ると雨になり、おなかがすいてきたので食事をとりました。

こういうとき、さっと食べられるファストフードやファミレスは便利です。

12時前に店を出て白馬へ向かいます。

すると、白馬長野有料道路(通称オリンピック道路)に入ったあたりからみぞれになり、白馬村への最後の峠にあたる美麻トンネルをくぐるあたりでは、かなり路面に積もっている状況で、車は小さなスリップを繰り返すようになりました。

前に大型のクロカン四輪駆動車に乗っていた時は、重戦車のようでビクともしなかった(その代わり限界を超えて滑りだしたら大変)だったのですが、小型車では適当に滑らながら轍から出ないよう気を付けて運転します。

雪道の運転に慣れているって、その車ごとの特性をつかんだうえで、走る道の状況をつかんでいての話ですから、いつも冬に通いなれているこの道でなかったら、もっと大変だったと思います。

結局、目指す宿に着いたのは13時過ぎでした。

外はみぞれ交じりの雨です。

宿の方と挨拶をすませ、状況を伺いました。

土砂災害の時は、当初こそ大変だったようですが、いまは平常を取り戻しています。

おそらく、ここまでこぎつけるのに色々なご苦労があったのでしょう。

言葉にこそ出しませんが、雰囲気から察します。

「どうしますか?滑りますか?」と聞かれたのですが、今回はとくに短い期間でしか滑れないわけですから、やはり行くことにしました。

但し、天候が良くないので、老舗に比べてそれほど景色が良いとはいえない、新興スキー場の方を選びました。

リフト券が安かったし。

すぐに着替えて車に乗って雨の中、雪道を運転します。

路上の雪が湿って踏み固められているせいか、やたらと滑るのですが、そこは小型車の特性で、修正しながらちょうどよいぼんやり運転(急ハンドル、急発進、急ブレーキなど、いわゆる「急」のつく行為をしない)をしてゆきます。

今回は雪道運転をいろいろできたという意味でも収穫になりました。

(つづく)