林道小菅線にブロンプトンをつれて(その9) | 旅はブロンプトンをつれて

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ブロンプトンを活用した旅の提案

小菅村の中心部から小菅の湯に戻ります。
前回小菅中学校の無人の校庭にコキアが並べられ、その向こうにヤギがぽつねんとつながれておりましたが、後で調べたらこちらの中学校では村の役場と協力して生徒がコキア栽培をしているそうです。
その証拠に、中学校南側ののり面にはコキアがたくさん植えられておりました。
たしか茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園にある「みはらしの丘」は、春のネモフィラと秋のコキアが有名だったと記憶しています。
一度ネモフィラの時期にブロンプトンで早朝突撃したら、入園口が長蛇の列で驚いたことがあります。
あそこは平日に行くべきだと思います。


なお、中学校の下からそのまま奥多摩湖方面へ国道139号線をくだってゆくと、旅館街を抜けた先に「ファーイーストブルーイング源流醸造所」なるものがあります。
”Far East”なのかと思って表記をよくみたら“Far Yeast”でした。
なるほどイースト菌のイーストね。
「極東」ではなく「はるかなる(ビール)酵母」ですか。
“yeast”という単語には刺激とか影響力という意味もありますから、「おおいなる刺激」かもしれません。
ホームページによるとここ山梨県小菅村はマイクロブリューワリーが多く存在する北ヨーロッパの気候に似て、ビール発酵には最適の場所なのだとか。
随分前に地ビールブームがあって、あちこちにクラフトビール(小規模醸造所でつくられたビールの意)が誕生しましたが、たしかに高地が多かったように記憶しています。

あの時代、旅行会社では景品旅行が大流行していました。

いわゆる「一等ビールの本場ドイツ旅行」を謳って販売商品にくじをつけておき、はずれた人には「今回はずれてしまった皆さんだけ特別に国内旅行を大幅割引料金でご案内します(実はそちらで収益をあげる)と手紙を出し、例えばここであれば地域おこしも兼ねて、「小菅村に宿泊して和食に合う特産ビールを飲みながらヤマメを堪能する、地ビール工場見学付きツアー」を売り込むわけです。

その時に売れている商品の製造・販売元へ営業をかけるよう、ハッパをかけていました。

会社を辞めた後、酒害の実態を知るにつけ、お酒を断ってしまった今となっては、「そんな時代もあったねと」遠くを見るような目になってしまいます。

さて、小菅橋が工事中だったので、来たときに渡った池之尻橋で小菅川を渡ります。
そして反対側の山の斜面にブロンプトンで取りつくわけですが、朝下った時には「これを登り返すの大変そうだな」と感じたものの、先ほどまで小菅林道の奥でもっと急で長い坂と格闘してきたので、「こんな広くて緩い坂、先ほどの林道と比べたら屁でもないわ」に変わっています。
こうやって大概の登り坂に馴れてゆけると、家の近所でも、都会でも、そして見知らぬ街でも「よっしゃ、あの坂に登ってみよう」という気になります。
これ、上りが嫌だからといって十万円以上もかけて電動アシスト自転車を購入するより、よほど健康&前向きになれます。
だんだん高度があがるにつれて視界が開けてくるのですが、杉林のなかに所々紅葉していてきれいです。


橋を渡って12分ほど坂を登り、10時14分に小菅の湯に到着しました。
7時5分にこの上の小永田バス停から走りはじめ、滝を見学しながら小菅林道を最後まで詰めて戻ってきて3時間ちょっとの運動でしたが、かなり汗もかいたし、ハーフマラソンくらいの有酸素運動をした気分です。
小菅の湯の前には、10時15分発の大月行き富士急バスが停まっています。
これに乗れば11時15分に大月駅に着きますから、そこで早目のお昼を食べて12時20分発の高尾行きに乗れば、13時前には高尾、立川乗り換えで14時前には武蔵小杉に戻れます。
家に帰ってからゆっくりお風呂に浸かってビールじゃなかったお茶でも飲みながら読書するのも良いと思い、一瞬ブロンプトンをたたみかけました。
しかし相当量の汗をかいているし、せっかくオープン直後に立ち寄ったのだからここでお風呂に入ってゆこうと思い直しました。


なお10時15分の次は14時41分まで大月行きのバスはありません。
というか、それが最終バスになります。
ということは、今朝乗ってきた7時台の折返しと目の前のバスにあと午後の1便と、大月行きは合計3便しかないのです。(平日週末ともに変わらず)
これに対し奥多摩駅行きのバスは8時50分発、11時22分発、15時発の3便(平日)。
(週末は8時35分、11時20分、12時50分、13時38分、15時12分、17時35分の5便)
やはりハイキングをする人たちのための時刻表です。
お風呂に入って奥多摩行き11時22分のバスに乗るか、カラスの行水でお昼ご飯も食べてそのバスに乗ろうか思案しましたが、食堂が11時からということで、奥多摩駅まで走ろうかどうしようか、お風呂からあがった時点で決めることにしました。

ところで、この原稿を書いている間に気が付いたのですが、朝南武線の一番列車(武蔵小杉駅4時43分発)が立川に到着するのは平日5時23分で変わらないのですが、乗り継ぎの中央線大月行きが、平日・土曜日は5時25分立川始発なのに対し、日祝日は武蔵小金井始発で5時24分なのです。
つまり日曜祝日に限って乗り継ぎ時間が1分しかなく、立川で階段前につく車両に乗っても、ほぼ絶望的に乗り継げません。
一昨年までは全日乗り継ぎを待っていてくれたのですが、今日曜日は十中八九間に合わなくなっています。
つまり日曜に南武線沿線からこの列車に乗り継ごうとしたら、もっと西の登戸までブロンプトンで走り、4時39分発の登戸始発立川行きに乗らねばならないのです。
(中央線は三鷹4時58分発、横浜線は町田4時56分発)
猿橋駅で降りて小菅村へのバスにエキストリーム乗り継ぎをするのなら、平日か土曜日にしておきましょう。
とくに土曜日は帰りの奥多摩行きバスも便数が多いので有利だと思います。
山へ日帰りハイキングに行くときは早立ちが基本ですが、それはブロンプトンにも言えることで、そういう意味でも普段から3時4時の早朝に自転車で走る訓練を積んでおくとよいでしょう。

さて、入館料(時間制限なし)の750円とレンタルのタオル+バスタオルセットを200円の合計950円を支払ってお風呂へ。
朝に来たときにキャンピングカーや車中泊の人たちが歯磨きをしているのを見かけましたが、10時の開館直後からけっこうお風呂に人が居るのは、彼らが朝風呂代わりに利用しているのかもしれません。
(とはいえ、混雑しているというレベルではありません)
ちゃんと汗で汚れた体を洗ってから湯船に浸かります。
朝けっこう寒い中で有酸素運動してきて、下りでいったん冷えてしまったのを再び温めるという感覚です。
幸い皆露天風呂の方に行って内風呂はスペースが空いていたので、他の人の邪魔にならない程度にストレッチをしました。
水泳やっていたから分かるのですが、お風呂の中でストレッチするのって、けっこう気持ちが良いのです。
コツは息を長く吐きながらゆっくりと筋肉や関節を伸ばしてゆくことです。

お風呂からあがったらすっかり寛いでしまい、慌ててバスに乗って帰る気分ではなくなりました。
11時に食堂がオープンするまで、しばし「待合処けやき」と名付けられた薪ストーブのあるラウンジで読書します。
明るく木の香りがふんだんにして、パチパチという暖炉の音をBGMに本を読んでいると、都会では味わえない気持ちの良い読書タイムを満喫できます。
充電禁止とは書いていませんが、ファストフード店のように充電用のコンセントがこの部屋にはありません。
こういうところでスマホを充電しながらいじるというのはなんだか昔キャンプ場に出没したカラオケを歌う人みたいに場違いの気がしますし、どうせ読むなら長編小説をゆっくり時間かけて読むのが最高かもしれません。

11時になってオープン直後の食事処「ひのき」へ行くと、こちらはお風呂以上の繁盛ぶりです。
このお食事処も畳敷きで窓が大きく、明るい雰囲気で食後に読書できそうです。
ヤマメの塩焼き、ヤマメのから揚げ、蕎麦、タンタンメン、カツカレー、とんかつ定食、エビフライ&コロッケ定食などメニュは豊富ですが、朝食がおにぎりだけだったので、定番の生姜焼定食をいただきました。
なおスタミナメニューと題して唐揚げ定食と味噌カツ丼がありましたが、まだ奥多摩駅まで走るかもしれないので、食べ過ぎないよう注意します。

ゆっくり食事してお茶を飲んで寛いでいたら、はす向かいに「湯上処かえで」という休憩場所にハンモックがあったのを思い出しました。
床に設置する低いタイプでしたが、ハンモックって内外、高さに関係なくベッドよりはるかに気持ちよく昼寝ができるのを知っている自分は、誰も使っていないのをいいことに、本を顔の上にのせて食後の昼寝と洒落こみました。
すると一瞬で気を失って20分くらい寝てしまいました。
早起きして電車とバスを乗り継いで山へきて、山奥まで運動してきて、お風呂入って、ご飯食べて、昼寝までして、すっきりしたのでこれからゆるゆると奥多摩駅までブロンプトンで下ろうかなと思います。
次回は小菅の湯から奥多摩駅まで走った様子をレポートしたいと思います。