ブロンプトンをつれた旅のエピローグ(その1) | 旅はブロンプトンをつれて

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ブロンプトンを活用した旅の提案

(大月駅ホームにて)

先月同じ趣旨てプロローグ(前書き)について書いたので、今度はエピローグ(後書き)についてを書いてみたいと思います。
皆さんは修学旅行を終えて、学校に戻ってきて校長先生からのお話の際に、『まだ旅行は終わっていません。家の玄関に入るまでが修学旅行ですからね』という話題を聞いたことがありますか?
私は小中学校の添乗をしていたとき、耳にタコができるくらいその話は聞きました。
何で判を押したように同じことを言うのか、不思議ですよね。
おそらくは、学校の指導要領か何かに修学旅行から帰ってきて解散し、浮かれた気分のまま家路につく子どもは、登下校の際よりも気分が高揚しているため事故に遭いやすい、みたいなことが書いてあるのでしょう。
これは何も子どもだけの話ではなく、大人も旅行から帰ってきて気が大きくなっているものだから、空港や駅から自宅まで、普段は絶対に使わないタクシーを奮発してしまうということがあるのではないでしょうか。
今回は、その旅行の最後にあたって、ブロンプトンをつれているとどうなるかについて書き残しておこうと思います。

(高尾駅)
その前に、少し話が逸れますが、皆さんは読書の際エピローグと呼ばれるあとがきを読みますか。
なに、そもそも本を読まないから、前書きも本文も後書きも読まない…。
いや、そんなあなたがいつも長文ばかりの本ブログの2パラグラフ(文節)目まで読んでいるということは、きっとあなたは「読まず嫌い」なだけで、本を読む素質はもともとあるのだと思いますよ。
だいたい、ブロンプトンをつれてあちこちへ旅し、見聞を広めたら楽しそうなんて想像ができるくらいなら、読書の醍醐味を知ったらきっと虜になれます。
あれは心の旅(チューリップの歌ではありません)ですからね。
根っからの読書嫌いだったら、ここまでで400字詰め原稿用紙2枚近くの文書量ですから、とっくに読むのを投げ出しているはずです。
とおだてておいて(笑)、いわゆる本と雑誌や記事との大きな違いのひとつに、この前書きや後書きのあるなしがあると思います。
(雑誌には編集後記がありますが、字数制限があるのか、本の後書きよりはずっと簡略化されています)

(帰宅前日 上諏訪)
プロローグと呼ばれる前書き(端書き)は、読者をキャッチするためにその本を書く動機になった出来事を書いたり、理系の論文などだと、本文の概略と各章立ての関連性、そして理論の展開方などがまとめられていて、ここを読めば全体像がつかめ、かつピンポイントな話題についてどこを読めばよいのか、インデックスのようにも使うことができたりします。
だから著者の世界に誘ってくれ、かつ便利に使えるプロローグは最初に読んだ方が良いと思います。
これに対してエピローグ(後書き)は、それが著者によるものであろうと、訳者によるものであろうと、プロローグに比べたらずっと「エモい」(作者の感情がこもっている)のです。
だから、キャッチに釣られて本文に引き込まれ、最後まで読んでしまった本は、殆どの場合、ウンウンと頷きながらエピローグを読む羽目になり、本をパタンと閉じた後は、しばし放心状態に陥いることがよくあります。
こういう本やその著者(または訳者)との出会いを重ねるたびに、あなたはどんどん”Heavy reader”(大いなる読書家)に近付いてゆくわけです。

(上諏訪駅)
本を大量に読んでいる人、内容をたくさん記憶している人が読書家だと勘違いしている人が大勢いますが、よき出会いという質が先にあって、結果的に読んだ本について記憶、並びに関連書籍も含めた蔵書量が多くなるというのが実際のところですから、見てくれだけで判断すると騙されます。
この人は本を読んでいる人だなと感じる相手とは、それが著者であれ、目の前の人であれ、知識の量や自己の学識をひけらかすタイプではなく、心が豊かで幅広くそれが外に向かって開いている状態を直感させてくれる人です。
そして前者のような部分を強調する人間に限って、偏差値は高いのかもしれませんが、心には奥ゆきが無く、料簡が狭くて内容が薄っぺらという人が殆どです。
もうテレビを観ていないからあれですが、識者とかコメンテーターと呼ばれる人も同じです。
そういう人の書いた本を読んでいると、途中で投げたくなるし、本文を我慢して最後まで読んだとしても、あとがきの内容は推して知るべしだから、敢えて読みません。
(読んだら「またかよ、もうわかったから」みたいに、うんざりしてしまいます。)
本を色々読んでいると、様々な文章、文体に出会うから、自然に比較の目が養われます。
本を買って読む時も、他人とお話しする時も、著者や相手の肩書や外見ではなく、その背後にある心根を注視しましょうね。
その人が尊大か謙虚かは、いくら猫をかぶっていても、文章にも会話にもそれら端々にあらわれます。
ああ、私もこんなに放言を書き連ねていると、「そういうお前はどうなのだ」とツッコミが入りそうです。
私は誇るだけの知識や大した学歴もなし、後ろでは毎日神さまのゆるしを請うて祈り、不惜身命を賭しておるのであります。はい。

(帰宅日の朝 石和温泉)
ちょっとどころか大脱走、じゃなかった脱線してしまいました。
この読書においてはもっとも共感性が増して、作者(訳者)との一体感が得られる後書きについて、旅に置き換えたらどうでしょう。
旅の最終日、つまり最終宿泊地から自宅へ帰る日のことです。
電車や飛行機で帰るのであれば、朝はゆっくりと起きて、時間の許す限りホテルにいて、空港や駅まで移動したのちは、車内や機内で爆睡というパターンが多いのではないでしょうか。
前述の修学旅行においても、帰りの観光バス車内で、先生から生徒さんたちまで、旅行中の寝不足が積み重なったために全員が眠りこけ、起きているのは運転手さんとガイドさん、そして補助席で酔わないように注意しながら、計算機片手に清算書類を作成し領収書を貼りつけている私だけ、なんて状況がよくありました。
マイカーで帰る場合も、チェックアウトぎりぎりまで宿に居て、運転手(大概はお父さん)だけが気合を入れて車に乗り込み、後席から聞こえてくる寝息に引き込まれないよう注意しながら、ハッカ飴を舐めつつ運転をするケースが多いのではないでしょうか。
(私はそうでした。)

しかし、これがブロンプトンをつれた鉄道併用の旅だと一変するのであります。
まず、寝坊などはせず、旅の出発日や中日同様に4時5時に起き出し、フロントに鍵を置いて早朝の街へ出ます。
そして、旧街道の旅であれば昨日終わったところから続きを走ります。
最近だと、旧甲州街道(信州往還)なら、石和や甲府から竜王や韮崎まで史跡を巡りながら走って、中央線で石和(甲府)まで戻ってくるとか、上諏訪に泊って、旧街道を下諏訪経由岡谷まで行って、やはり電車で戻ってくるとかして、良い意味での汗をかきます。
この時は、ビジネスマンなどが出張先の宿泊地周辺でチェックアウト前にランニングするのに似ています。
最近はそうした早朝ランナーのために、ホテルの周囲のランニングコースマップを配布し、ランニングシューズを貸し出してくれる宿も出てきたと聞きます。
自転車はランニングよりもスピードがありますから、汗をかいても涼しいですし、地面を直接に蹴らない分、足首や膝にも優しいのです。
さらに、折りたたみ自転車なら鉄道路線に沿って遠くまで行き、帰りは電車でホテルへ戻るということができます。

ホテルに戻るのは、チェックアウト2~3時間前に予定します。
つまり、10時にチェックアウトなら7時から8時くらいまでに、11時にチェックアウトなら8時から9時くらいまでに戻るようにする、というように。
最近はレイト・チェックアウトを制度として実施する宿も増えてきました。
朝5時に宿泊施設を出たとしても、最低で2~3時間、最長で4時間走れるわけで、そのために、最終宿泊施設はチェックアウト時間の遅い、11時、お昼までの宿を選ぶことが多くなりました。
ただ、10時チェックアウトの宿でもそれを延長するという手段もあります。
前の日までにフロントに申し出ておけば、12時、14時と2時間単位で延長してくれ、延長の料金も2時間1500円程度、最終宿泊地が軽井沢や箱根など、東京近辺に近い場合は、敢えてこのサービスを利用し、週末の帰宅ラッシュがはじまる前の新幹線で帰れば、16時ごろには自宅最寄駅に帰れます。
ただこの場合、後述しますが大浴場や温泉がある施設の場合、お風呂が使えるかどうかでかなり事情が変わってきます。
なお、高級ホテルだとサービスしてくれるところもあります。

さて、話を戻して朝のツーリングから帰ってきたら、宿で朝食をつけている場合は食べましょう。
素泊まりの場合は、走っている最中にファストフード店(不本意ですが、京都など一部の都市を除き、早朝からやっている地場のお店が開いているケースは稀です)食べます。
ビジネスホテルなどの場合でも、朝食は6時から9時の間くらいですから、朝にブロンプトンで走ろうと思ったら、食べてからではなく、走って帰ってきてからすぐというタイミングになります。
起きてからすぐ運動をしていると、お腹がペコペコになるだけでなく、水分補給も必要になります。
とくに走り始める前、就寝中にかなりの水分を失っているため、ホテルを出る前に水を飲んでおきましょう。
全部汗になって流れ出ても良いのです。
朝の運動が気持ち良いのを知ったのは、中学生の時です。
あの頃は、クラス対抗駅伝のために、朝学校に来たらその日の小テストの準備などは通学中に済ませておいて、まずはランニングしていました。
何かとデメリットが多い口呼吸のマラソンですが、朝一番に深いところまで酸素を入れると、身体も頭もすっきりします。
但し、昼食後に思い切り失速しますが、帰宅日のため、午後に眠れるくらいでちょうど良いのです。
ちょっと長くなって参りましたので、次回は旅行最終日に朝食を食べたのち、お風呂に入るところから続けたいと思います。
(その2へ続く)

(小淵沢駅)