「役者SINGER!!」を行うにあたっての経緯、意義についてもろもろ記録 | 大曽根クルール 情報置き場ブログ

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この記事は、役者が本気で音楽ライブを届けるイベント「役者SINGER!!」を

2/20(土)28(日)で2日間4公演で開催することにした2020年末~2021年頭、

イベント成功のために奔走している状況をまとめたものです。

 

記事を書いた時期は2021年頭ですので、

時間軸やコロナ状況や考え方もその時の感じで書かれていますが、

このイベントを作るにあたっての気持ちが込められているので

出来るだけそのまま残しています。

 

 

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大阪は緊急事態宣言の真っ最中。

そんな中、文化庁の支援を受けて感染症対策を万全に行いながら

ライブハウスでの開催を控えているのが本イベントです。

 

 

「大曽根クルール主催 役者SINGER!!ライブハウス特別編」

【日程】2/20(土)、2/28(日)の二日間

【時間】昼公演、夜公演の1日2公演

【出演者】総勢20組

【料金】1公演:2500円(公演ごとに入場時1ドリンク別)

【会場】中津vi-code

 

 

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▼ そもそも開催する理由

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僕は音楽と芝居を「演者」「制作者」の両方行っており、

ライブもすれば作詞作曲編曲もし、

役者として舞台に立ったりプロデュースに回ったり、

ミュージカルに出演したりミュージカルを作ったり、

音楽専門学校や個人教室でボイトレ講師したりしてます。

 

そんな両方の気持ちが分かり両方との繋がりがある僕が、

この関西から音楽で表現したい役者の場を作れないかと思ったのが発端です。

 

役者は「個人」をアピールする場が圧倒的に少ない。

上手いのに知られてない、感動する芝居が出来るのに集客力がない、

これが多くの小劇場の役者の実情でした。

これは人というよりシステム的な問題で、役者は観客の前に露出する日数

ミュージシャンやアイドルに比べて極端に少ないんですね。

 

一般的な小劇場での舞台公演は2~3ヶ月稽古をし数日本番、

それが年に2~3回も打てれば良い方です。

しかも本番中は自分個人ではなく「役」として観客の前にいます。

せいぜい終演後の挨拶くらいでしか個人として振舞えませんが、

そもそも知り合いでない観客とはその挨拶にもなかなか至りません。

ところが例えばミュージシャンは毎週のようにライブができ、

持ち時間があり、曲間のMCでは個人として語ることができる。

お客さんと触れ合う時間が圧倒的に多いどころか、

何故か芝居ではあまり多くない再演(同じ曲)が当たり前にOKで、

しかもCD販売などの物販を充実させやすいがために収益も比較的作りやすい。

 

ミュージシャンに比べ役者のTwitterフォロワー数が全体的に少ない要因の一つです。

逆に言えば、役者でフォロワーが多い人は

「役者」以外の活動にも力を入れている事が多い傾向にあると思います。

 

加えて、コロナによる大打撃。

あらゆるエンタメは一気に吹き飛ばされました。

とは言え、この状況下で耐え忍びそのスキに知識や技術を磨くのもアリですし、

今のうちにバイトして資金を貯めたりも良いでしょう。

しかし、僕は本業がエンタメです。

そして幸いにも音楽専門学校だったり、個人のボイトレ教室でのレッスン。

他にも音楽制作の仕事などにより辛うじて生きながらえている。

持続化給付金ももらった。

そんな僕が今、全力で動かなくてどうする。

 

前置きが長くなりましたが、これらを打破するために

「個人」として役者が自分を出せる場を作ろうと思いました。

その中で僕が主催する意味、僕でしか出来ない事は何かと考えた結果、

役者が本気で音楽ライブを届けるイベント「役者SINGER!!」が生まれた訳ですね。

もちろん完全なる下心もあります。

イベントを通して僕の認知度は高まりますし、横のつながりも増えます。

良いイベントを作り続ければ信用度も増えるので、

また別のエンタメに関わる仕事もいただけるかもしれません。ふふふ。

 

なんならすでに毎週木曜22:00~無料でやってる生配信「#木曜クルール」に

ゲストで来てもらったりと自分のコンテンツにも繋がっています。ふふふ。

https://twitcasting.tv/culu_lu

ちゃんと自分の取り分も設計しているので、

ボランティアでもなければ慈善事業でもありませんのでご安心を。

 

 

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▼ コロナとの闘い

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ライブハウス。

そう聞くだけで2020年春頃のクラスターを思い出す人も多いと思います。

ただ整理しておきたいのが、「ライブハウスだから危ない」訳ではないという事です。

クラスターが起きた原因はぎゅうぎゅうに密集しマスクもなく換気もなく、

大きな声を出し飛沫満載で盛り上がっていたからです。

すなわち感染症対策を万全にすれば、

近所のスーパーや駅よりもリスクの低い場にすることが可能ということです。

 

ただ、それだけでは一度こびりついたイメージを覆せないと思いました。

しかもライブハウスで開催する資金もありません。

そこで現れた救世主が文化庁です。いえ、文化庁サマです。

コロナ対策をした上で文化芸術活動を行う個人、法人に補助金を出す国の施策。

国のお墨付きがもらえるだけでなく、開催にかかる経費の約66%が補助されるという

願ったり叶ったりのこの制度を使わない手はない。

難解で面倒で大変な申請は無事に通りまして、

「役者SINGER!!」は晴れて文化庁支援事業となり

コロナ対策を万全にして開催できる事となりました。

 

消毒、検温、マスク必須、コロナ追跡サービス、大声禁止、握手などの接触禁止、

客席の間引き、常時換気など、考えられる対策はしっかり行ったうえで、

ライブそのものの楽しさを出来るだけ損なわずに届けます。

特に客席の間引きは大事なので、

今回はもともと180名収容のところ最大50名程度に制限しての開催。

まずはライブハウスが安全である事をしっかりと示さねばなりません。

 

 

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▼ 成功の定義①観客の満足度

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ショボいライブを見せたらそこで終わり、もう二度と来てくれません。

そこでひとつの信用を失うわけですね。

しかしながら「良いライブ」と「技術力の高いライブ」は別モノだったりします。

ただ上手ければOKって訳でもないんですね。

むしろ「どや!オイラうまいやろ!」といった具合に

自己満足モリモリスペシャルライブを見せられた日には、

家でゲームしてポッキーでも食べてた方がマシだったと後悔します。

 

僕は「熱量」が不可欠だと思ってます。

「このライブに向けてこんな想いで、こんな取り組みをし、

当日にはこんな事を届けようと思います!」という過程(=物語)が見えると、

観客はより感情移入できます。

ちょっと難しいかもしれませんが、こんな例え話をすると分かりやすいと思います。

全然見た事もないドヤ顔の技術知識満載のスーパー歌ウマ君のライブと、

10年来の大親友の少し拙いけれど一生懸命の大緊張の初ライブ。

あなたならどっちのライブに行きますか?

そしてどっちのライブがあなたにとって感動が大きいですか?

僕なら後者です。

これがエンタメの1つの答えでもあると思います。

 

 

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▼ 成功の定義②採算が合うか

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イベントを企画する上で切っても切れないのがお金の話。

まずは前提として赤字にならない事。

そしてエンタメを仕事として継続する以上、少しでも収益に繋げられるかどうか。

ここも逃げずに考えねばならないと思います。

正直、1度限りのお祭りライブならば

少々の赤字が出ようが出演者みんなで補填して「楽しかったね!」で済みますが、

僕らは「音楽で表現したい役者の"クオリティの高い"場を継続的に作る事」が目的です。

黒字にならないといけないのは、続けなければいけないからです。

 

もし赤字になると何か別でお金を稼がなければならないので、

本業のエンタメを深堀りする時間がどんどん削られ、すると結局クオリティも上がらず、

そしてまた結果を残せず、という負のスパイラルに陥ってしまいます。

だからお金からは逃げない。

お金の事ばかり考えるのは論外ですが、

お金が足りない事で何かを諦めなくて済むように、

お金についてしっかり設計せねばなりません。

 

ただ、初回の2/20(土)と28(日)については文化庁の補助金が経費の66%出ているので

演者からは一銭も頂いてませんし、集客ノルマも設定していません。(正直ここは信頼ですが)

ですが66%補助されているとは言え、残りの33%を負担しているのは誰でもなく僕です。

これをチケット収入で回収せねば僕が大爆発してはじけ飛びます。

 

さて多分このあたりで大曽根が出演もしないのに必死で動画作ったり

宣伝頑張ってる理由が分かってきたかと思います。

そうです、お客さんが来ない事で今回死ぬのは僕1人という設計にしているからです。

でも、そうしてでもこの2/20(土)と28(日)は全力でいきたかった。

この熱量が無いといけない。

 

何故ならこの「役者SINGER!!」は2月だけで終わらせる気が無いからです。

継続して役者が音楽で表現する場を、そして役者が「個人」として観客の前に立てる場を、

それもクオリティの高い場を作り続けねばなりません。

だからこそ、絶対に赤字にならないように全力で宣伝するし、

資金を集める作戦を必死で頭を捻ってちぎって考えています。

それの1つの作戦がBASEでして、以下のURLにアクセスしてみてください。

https://cululu.thebase.in/

泥臭く必死に、でも丁寧にやっていこうと思います。

 

 

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▼ 役者SINGER!!の今後

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こんなところまで読んでしまったあなたにコッソリお話しますと、

今すでに全力で春からのレギュラー公演化に動いています。

2ヶ月に1度、隔月の頻度で今回のような規模で開催できるように

各所と調整しているところだったりします。

 

しかし今度は文化庁は支援してくれません。

あくまで今回は2/20(土)と28(日)についての支援ですので、

春から継続開催するならすべての資金を自分たちで賄わなければなりません。

さあ困った。

ライブハウスのレンタル代だけでも平気で二桁万円はかかりますし、

その他もろもろ経費は鬼のようにのしかかります。

しかもそれが毎回です。鬼。

 

一応、簡単な解決策はあります。

まるっと経費全額を出演者数で割った金額を

集客ノルマとして演者に丸投げすればOK!万事解決!

主催者はノーダメージで高見の見物さ!!!

・・・でも、それはあまり賢い打ち手ではなかったりします。

実はこれは偽善でもなんでもなくて、イベント自体が、僕が、

演者が、ひいてはお客さんが損してしまう理由があるからです。

 

まずは僕自身の熱量が上がらないこと。

今回の2月開催を前に僕が寝る間も惜しんで宣伝してるのは(今もコレ書いてる)

集客が出来なかったら爆発するからです。

それが熱量になっていますし、その熱量を周りに見せる事で

今後4月以降に継続開催する時に幾何かの信用にも繋がります。

そりゃそうです、金の事だけ考えてる主催者はこんなしんどい事しません。

 

そして出演者の敷居を下げつつ熱量を上げていくためには。

例えばよくノルマ15名とか30名とかはザラにあったりしますが、

ここをこのイベントでは0には出来なくとも最小限に抑えたい。

0にしないのはさすがに採算がどうにもならないってのもありますが、

「お客さん呼べなくもノーダメージ!」と気楽な参加者を防ぐ意味のが大きいです。

0にするくらいなら、最低限設定したノルマ以上に沢山集客できた人には

しっかりギャラで還元するシステムの方が健全です。

そしてお客さんとしても熱量のある演者のエンタメを見たいのは当たり前ですので、

高額ノルマで主催者が高みの見物システムはやっぱり不毛なんですよね。

 

でも「ノルマ最小限だから後はよろしくね~」ではやっぱり僕もまだ熱量が上がりません。

なので僕自身も、更にもう一段階動きます。

ということで前述したBASEの販売によって

資金を集めるなどの動きを同時進行でやっていこうとなっている訳ですね。

「お前・・・そうまでしてこのイベントを・・・!役者たちの未来を・・・!(嬉泣)」

と思って貰い応援と信用を集めるのが僕の下心です。

本当にマジでどうか応援してください。

 

そんなBASEでは主に特別な体験を販売しています。

予算に余裕のない方は一般チケットでもちろん全力で楽しめますが、

例えば「リハ見学できる権」は普段見る事の出来ないリハーサル(約90分)を

数名限定ではありますが観る事が出来ます。

「最前列確約権」では最速入場が出来るので最前列を確実に取れます。

また、より応援したい気持ちを持ってくれている方に向けた

個人の「投げ銭」事業主の「協賛」の窓口もリターンありで設定しました。

このあたりを駆使し、クオリティと熱量と信用を少しずつ高めながら、

なんとか春からの継続開催も水面下で進めています。

https://cululu.thebase.in/

 

 

ただ、これは僕にも出演者にも今後出演したいと思っている人にも言えることですが、

このイベントに単発で出ても直接的なお金として決して劇的なプラスにはなりません。

 

「歌」を自分のコンテンツの1つにしたい、

個人として表現できる場を増やしファンを獲得したい、

コロナ禍の中でも有観客イベントの感覚を持ち続けたい、

…などなど、このイベントを通して「その先」に繋げて初めて価値が生まれます。

1回出演したけどその後は特に何もせず終わりってのはあまりオススメしません。

むしろこのイベントを利用するつもりで、何かに繋げていただけると僕も嬉しいです。

 

 

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▼ おわりに

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こんな時代だからこそ出来る事があると僕は思います。

国が定めたルールの中で、安全に気を配りながら最大限に楽しめるエンタメを届けたい。

役者が全力で音楽ライブを届けるイベント「役者SINGER!!」

有観客のみ、配信無しのライブイベントです。

ぜひこの想いを会場で受け取って下さい。

BASEでの支援もお待ちしています。

 

それでは会場でお会いしましょう!

 

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■大曽根クルール

https://www.osone-culu-lu.com

 

■「役者SINGER!!」ツイッターアカウント

https://twitter.com/actor_sings