今月、知人の快気祝いに岡山に行きました。
その際、備前焼き産地、伊部に立ち寄りました。

伊部駅の2階には、備前作家の器がずらりと並び、
展示販売をしています。

その中で気になったのが好本さんのこの器でした。



備前といえば、赤みを帯びた色調が思い浮かびます。
しかし、この器は灰色とグリーンから構成されています。

形態も古典的な備前ではありません。
むしろ、非日本的な面持ちだと言えるでしょう。

一目みて、これはほしい、となりました。
一つ見てしまうと、作家さんに会ってみたくなるのが癖でして、
ショップで窯元マップを頂き工房を訪ねました。

道すがらいろいろと疑問が浮かびあがります。
器が灰色なのは還元焼成(酸欠状態)をしているからか?
グリーンの部分は窯の中で生み出された自然釉なのか?
もし、還元焼成しているなら、一度の窯に入れる作品全て、
還元焼成しているのか?
などなどでした。

工房に着くと、すでに5時をまわっていたのですが、
好本さんは気持ちよく対応して下さいました。

好本さんは、備前の土で須恵器を創られている作家さんでした。
ですから、一回の窯焼ごとに還元焼成されていました。
また、グリーンの部分も窯垂れによる自然釉で、
還元で焼かれているためグリーンになったとのことでした。

また、フランス国立高等美術学院で陶芸を学んでおられたそうです。
私が伊部駅で購入した器はタンブラーとして創られたとのこと。
なるほど、非日本的な形態はフランス的なエッセンスだったのです。

とにかく工房にある器は私にとってドンピシャだらけ。
その結果、こういうことになりました。



前面にあるぐい吞みには備前特有の火襷が入っています。
でも、これまたかっちょいい、黒火襷なんです。



酸化焼成なら赤になるところが、
還元焼成なので黒になっています。
窯変マジックです。

ひょんなことからいい器に出会えるのは、
器好きにとってはたまらない経験です。
これから楽しみな作家さんです。
ようやく秋めいてきました。
お花を頂いたり、自宅裏の河川敷で草花をとったり。

ホトトギス

(器:福島一紘)


(器:今西公彦)

ザクロ

(器:尾花友久)

ツワブキ

(器:杉本祐)


(器:松尾潤)

イヌタデ

(器:小島陽介)

雑草たち

(器:杉本祐)

秋の設え

ちょっと前になりますが、
9月はじめにベトナムに行っていました。

15年ほど前に10ヶ月ほど住んだ村を訪れました。
その頃のベトナムは、村に外国人が住むなんてほとんど不可能でした。

でも、沢山の人たちにサポートしてもらい、
なんとか住み込むことができました。

今回、そうした恩人たちに会うことができました。
その中でも、私が村でずっと一緒に暮らした村長と再会するのが楽しみでした。

村の中にはもちろん宿泊施設などなく、
10ヶ月に渡って村役場の村長室で寝泊まりしていました。

外国人を村に住み込ませるために、
村長はいろんな役場に掛け合ってくれて、
私が村にいる間は村長がずっと面倒をみるということで、
なんとか滞在許可が降りたのでした。

8時になると送電が止まる田舎村。
そこで、毎日、村長と色んな話をしました。

村長はとっても好奇心旺盛な人で、
日本の文化について、とても興味をもっていました。

そこで、今回、15年ぶりにお会いすることもあり、
自分で茶碗を作り、茶道具を一緒に持参しました。

で、ベトナムの田舎村でお茶を点てたわけです。





村で唯一の食堂でお茶会。
村長もとても喜んでくれました。
ずっと、再会したら何かお礼がしたいと思ってきた15年。
ようやく、少しだけ恩返しができたかと思います。

とはいえ、ベトナムのド田舎。
お茶会の前はこんな状態でした。



ずぶ濡れでお茶を点てたのは初めて。
いろんな意味で刺激的なひとときでした。