3月28日から4月14日まで、
アートサロン山木で今西公彦展が開催されています。

昨日は作品を拝見しに行ってきました。
今西さんは丹波の作家さんです。

今回、一目惚れしたのはこの茶碗でした。
もう衝撃でした(笑)。
現代の本阿弥光悦だ~~~~でしたね。

$器な生活

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本阿弥光悦の茶碗に「時雨」というものがありあす。
重要文化財に指定されていますが、
腰に丸みをもち、口縁部で少し外側に反った形をしています。
また、口縁はするどく削られています。
高台は底部に食い込むほど削り出されているのも特徴です。

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今西さんの茶碗を見たときに、
一瞬でこの「時雨」が頭をよぎりました。
こちらは今西さんの茶碗の高台と口縁です。

$器な生活

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高台は底部に食い込んでいます。
この食い込みは光悦の「乙御前」っぽい形です。
口縁は鋭く削られていて、こちらは「時雨」っぽいかと思います。

茶筅の当たる見込みは滑らかで、
お茶の点てやすさを考慮に入れているところも
光悦っぽいなと感心しました。

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もちろん、今西さんの茶碗と光悦の茶碗では
形成過程に大きな違いがあります。
そもそも、「時雨」は楽茶碗ですし、
今西さんの茶碗は丹波焼です。

「時雨」は楽焼なのでそれほど高温で焼いたわけではないでしょうが、
黒釉を薄くかけて焼き締めたような風合いを出しています。

一方、今西さんの茶碗は黒釉をかけた後、
高温で3度も焼き込んでいます。
まあ、本当に焼き締めなわけですね。

色彩も二つの茶碗では大きく異なります。
「時雨」は黒が際立つ美しさですが、
今西さんの茶碗は黒からにじみ出る青味が際立ちます。

この青は高温で何度も焼成する過程で、
黒釉が窯変してできたものらしいです。
最近の今西さんの焼成の特徴ともいえます。

成形は光悦なのに、焼成は今西さんになっている。
この辺りが今回求めた茶碗の魅力です。

よく、光悦の茶碗は融通無碍と表現されます。
光悦の卓越した自由な感性が
なにものにもとらわれない造形美を生み出した
と言われます。

今西さんの茶碗にも、
この融通無碍を感じずにはいられません。