きゅーさん’ず☆わーるど -5ページ目

Blue rose〜人魚姫〜(16)







・・・






泡になった半身と





魚になった我は






不可思議なことに





魚が泡となりて消えると





我の





魚の半身が






人に戻ってくるではないか






・・・





お母さまは





それで






人になれたのでしょう





・・・






さて





人に姿になれはしたが






魚になっていた時が長かったせいか





言葉が





出ない





・・・





魚と同じになってしまったの







・・・





そう





魚のように





言葉を持たず





人のように





か弱い身体だけが我に残された





・・・





あな





おそろしや






・・・





不幸と





幸いは





背中合わせ





急に姿をくらませた





魚の半身を王子は探しに来てくれたの





王子は魚の半身と






同じ顔





いいえ





元は





我の顔





見間違えても無理はなき





王子は我を




再び





城に住まわせて





贅沢な食事と





綺麗なドレスをあてがってくれた





・・・





王子さまは





どうして





魚の半身のお母さまを





大切にしてくれたの





・・・




魚の半身は





王子さまが





舟から





王子さまが落ちた時には





背に乗せて




岸辺まで運んで行ったらしい





・・・






魚なのに





・・・





魚といえど




我の半身





魚の半身は





強い力を持ち





シリウスまで泳ぎきるつもりまで





王子を運んだに違いない





王子は






それを恩にきり





魚の半身を大切にしたのであろう





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Blue rose〜人魚姫〜(15)







真っ逆さまに落ちたところが





月の輪の





真ん中だった





・・・





月の輪を逆に潜ったの





・・・





そう






我は





逆に





月の輪を潜ってしまった





・・・





それでも人にはなれたのでしょう





・・・





いいえ





・・・





なれなかったの





・・・





人にはなるにはなれたけれど





困った事がおきたの





・・・





どうしたの





・・・





月の輪を潜った人魚は





人の半身と





魚の半身が





分かれて





それぞれに生きてゆくはずなのに





魚の半身に






我の心が残り





人の半身には





魚のように





声を持たず





全ての記憶が抜け落ちて





物を考えぬ魚そのままに






岸をめざして泳いで行ってしまった





・・・





お母さまはどうしたの





・・・





魚になった我は





すぐさま





半身を追いかけたが





海が凪ぐ時間が過ぎ






離ればなれになってしまった





我が






半身を見つけたのは





西欧の岸辺





さる国の王子を





荒波から助けた娘がいるという噂を聞き





泳ぎたずねたれば





魚故





声をを持たぬ故





某国に匿われはされども





王子との契りは結べず





王子は





他のものと





契りを交わし






魚は





海に還り





泡と消えた



 
・・・






魚が消えたらお母さまはどうなるの





・・・





これからが





不可思議






如何なることや





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Blue rose〜人魚姫〜(14)







果たして






・・・





私はきっと





月の輪をくぐり





人になれるわ





だって





お母さまの子供だもの





お母さまが





くぐれたなら





私にも出来るはず





・・・





海が





完全に凪ぐまでに





一つだけ教えておこう





・・・





我の時には





海は凪いでいたが





わずかばかりの風が吹いていた





それは





水面をいたずらに揺らして





月の輪が





微妙に






二重に見えていた





我は惑い






尾鰭が竦んだ





その時





老成した人魚が





我にこう言った





・・・





瞳を閉じよ





されば





開かれん





・・・





初めは意味がわからなかったが





促され





瞳を閉じると





月の輪が





一つに見えた





我が





瞳を閉じたまま





月の輪をめざし





一気にくぐり抜た





・・・





成功したのでしょ






成功したのよね





・・・






いいえ





・・・





どうして





・・・






笑い話にもならぬ程





我は





月の輪と





全く見当違いの方へと泳いでいた





海原から出づると




中空で瞳を開けて




眼下に広がる海を見た





風が吹いているが





宇宙は晴れて





本物の月に届きそうなほど





高く跳ね上がっていた






すると急に





水底では感じられない重量が身体に感じて






真っ逆さま






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