Some Works by Roald Dahl | Have a cup of tea

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昨年末に公開された映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』をきっかけに、まだ未読だったロアルド・ダールの『Charlie and the Chocolate Factory』(英語原書)をkindle本で読んだ。この本は、以前ジョニー・デップがウォンカを演じた映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作だった。本を読み、映画が原作にとても忠実に作られていたことを知ったのだった。

 

 

 

 

 

Kindleで読書中、おすすめの書籍として『Charlie and the Great Glass Elevator』(翻訳版のタイトルは『ガラスの大エレベーター』)が出てきたので、サンプルをダウンロードして読んでみたら、その先を読みたくなったので、こちらも英語の原書を購入して読んでみた。読み終わったのがもう数か月前だったが、この続編は予想外に面白かった。

 

 

 

 

児童向け作品とはいえ、英語の原書では見慣れない英単語も出て来て、そこはKindle本なので辞書機能が役立ち、結構読み応えがあった。おそらくロアルド・ダールの児童向け作品の特徴で、wordplay、言葉遊びが巧みで、また、まるで造語の様な見慣れない難しそうな言葉も出てきて、辞書で調べても見つからないものもあれば、ちゃんと辞書に載っている言葉もあったり、それらがさまざまな大きさのフォントで文章の中に存在感を示しながら挿入されているので、英語の言葉好きな自分はそれも楽しめた。基本、児童書なので文章はわかりやすく、楽しみながらどんどん読み進められた。そして、ダール作品の2冊目を読了した後、またおすすめに出て来てサンプルをダウンロードして読み始めた『The Twits』も購入して読んだ。

 

 

 

これは、イラストにもあるように見た目がちょっと怖いというか、みにくい夫婦の物語で、二人は仲がよいのか悪いのか?なぜかいつも相手をぎゃふん(笑)と言わせようと、いたずらや悪巧みを考えていて、時にはそれを実行し、相手を痛い目に合わせてそれを見て喜んだり、また、その仕返しをされたりと・・・なんだか不可解な夫婦なのだが、それが彼らの生活らしい。そこにペットとして飼われている動物たちなども交えて、お話が展開していく。物語の内容から、子どもに読ませるにはちょっと・・・と思うような、下品な言葉や、いわゆる不適切な表現が出てくる。それで思い出したのが、以前、ロアルド・ダールの本のそうした不適切な表現や言葉を見直して削除したり書き換えて再出版する計画があり、それに反対の声が上がったとか、、すでにそうした改訂版が出版されているのか?と思って、ネット検索してみたら、昨年の話だったようで、いくつかニュースの記事があった。↓

 

BBC NEWS Japan (リンク
Yahooニュース(リンク

 

記事を読むと、2020年から見直しが行われていたようで、私が読んだThe Twitsもまさに「みにくい」という意味の英単語、uglyが削除されたそうだ。購入したKindle本を確認したらそちらは削除されていなかったが、この主人公にその言葉をあえて使う意味もあるようなので、むやみやたらにひどい表現だからと、削除するものではないと思った。言葉の持つ意味が物語の中で重要な役割を果たすことは多いし、読む人の想像力を刺激し、さらに考えさせる役割もあると思うので。しかし、The Twitsの邦題は「アッホ夫婦」というのが面白い(笑)。

 

不適切な表現で思い出すのが、BSで放送している昼下がりのシネマで、日本の昔の映画を放送するときに、最初に、一部不適切な表現があるが作品の制作当時のオリジナリティを尊重しそのまま放送する、という断りが表示されることだ。映像と書籍では、リバイスしやすさが違うと思うけれど、個人的には書籍も制作当時のオリジナリティを尊重しても良いのでは?と思ってしまう。表現に対して、オリジナルを検閲して削除したり書き換えた、最初から周到に用意されたクリーンな作品を読んだところで、何が不適切かと自分で気づいたり、考えることすらできなくなるのでは?と思う。確かに書籍では、昔から不適切な部分を大幅に削除して出版されたと言う話はあったし、今に始まったことではないけれども・・。
 

話は脱線したが、その後もおすすめに出てきたダールの『Fantastic Mr Fox』や、ミュージカル・映画にもなった『Matilda』のサンプルも読んでいきたいと思っている。

 

話は前後するが、『Charlie and the Great Glass Elevator』は、『Charlie and the Chocolate Factory』のSequel(続編)である。ジョニー・デップの映画の方は忘れてしまったけど、以前ロンドンで観たチョコレート工場のミュージカルの最後の方でチャーリーとグランパ・ジョーとウィリー・ウォンカがガラスのエレベーターに乗って、チョコレート工場のからチャーリーの家まで飛んで行って終わった記憶があった。そして、ガラスの大エレベーターの本では、チャーリーとグランパ・ジョーが帰宅して工場での体験を家族に伝えるところから始まるのだ。その後、家族全員が(祖父母のベッドごと)ウォンカと一緒にガラスのエレベーターに乗って、なんと宇宙へ旅立つというお話だった。宇宙では、米国が建設し所有するスペースホテルに到着し、三人の宇宙飛行士や、ヒューストン宇宙センター、米国大統領や秘書なども出て来るが、やりとりがナンセンス的だったり、奇妙な生き物に遭遇したりと、とにかく想像を超える展開だった。印象的だったのは、ウォンカがWanka-Viteという若返るチョコレートか薬を発明し、チャーリーの祖母の一人にそれを飲ませたりして、ひと騒動が起きるのも衝撃的だった。そして、ふと家族の加齢や老いを考えさせられた。考えてみたらチャーリーの家は孫から祖父母までの三世代が同居している、昔ながらの家族構成なのだ。

 

そして、本を読みながら思い出したのが、最新作の映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』だった。映画では毛が生えてきたり、その他いろいろと効能のあるチョコレートがいくつか出て来たと思うが、「ガラスの大エレベーター」では若返りや歳を年を取るチョコレート(薬)とそれを取り巻く出来事が非常に印象的だった。