The Holdovers | Have a cup of tea

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映画『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』を観てきた。

監督はアレクサンダー・ペイン、キャストはポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサなど。

 

 

公式サイト:リンク

 

あらすじは、ボストン近郊のある寄宿学校(高校生くらいか?)の冬休み前、事情があって冬休みに家族の元に帰れず寮に残る生徒の面倒を見ることになった嫌われ者の考古学の教師と、寮に残った生徒、そして、彼らに食事を提供する調理係の女性のクリスマス休暇の間の出来事を描いている。

 

監督や俳優をはじめ、レビューやあらすじをあまりチェックせずに観に行ったので、映画が始まったときのノイズの聴こえる音響や画面の粗さなどが妙に懐かしい雰囲気で、冒頭のそれだけで、この映画は良い作品かも!?という予感がしたものだ。

 

1970年、学校の備品なども古臭く、教師のデスクの上にはパソコンもなく、携帯電話もない時代のセッティング。クリスマス時期で、ボストン近郊のその学校の古い建物が雪景色に溶け込み、ノスタルジックな雰囲気。クリスマスツリーの飾りや電飾も古くて、、自分は60年代末生まれなのだが、70年代が子供時代だったので、特にここ数年、その時代の風物詩や雰囲気がとても懐かしく感じられる。欧米ではクリスマス時期に上映されたようで、半年遅れの日本での公開、季節感がずれているのは仕方ないけど、まぁ映画館で鑑賞できて良かった。BGMもクリスマスの雰囲気満載なので、またクリスマス時期に観てもいいかも。

 

原題のholdoversとは残留者と言う意味で、それは寮に残った3人の事なのだが、彼らはクリスマスに一緒に過ごす家族がいないという共通点もあり、また、それぞれ家庭の事情や過去を抱えている。欧米では、離れている家族が集まる一年のうちで最も重要なイベントであるクリスマス、それは一人で過ごしてはいけない時期なのだ。こういう地域や宗教的な習慣の重要性は、現地に住んでみないとなかなかわからないものだ。

 

この作品の監督、あまり知らなかったけど、調べたらだいぶ前に数作品を観ていた。『アバウト・シュミット』『サイドウェイ』『ファミリーツリー』など。どれも正直内容をあまり思い出せないのだが、今回この映画を観て、この監督の作品は内容が記憶に残らないのが特徴なのかもと思った。映画を観ているときは、映画の中の世界に心地よく浸れてしまう感じで、ときどき皮肉やユーモアが効いていて面白く、登場人物は不器用だったり、一癖ある人が多いけど、なんとなく親しみがわいてくる、そんな作品かも。食事係の調理師を演じた女優さんの演技が良かった。