最近、昼の時間がだんだん短くなってきて、ここロンドンは午後7時を過ぎると薄暗くなってくる。すると決まって外で鳥の鳴き声がする。夜鳴き鳥(ナイチンゲール)だろうか、美しい鳴き声である。
さて、先日初めて、ロンドンの夏の風物詩であるBBC PROMS(プロムス:Promnade concerts)に行ってみた。プロムスとは、7月半ばから9月半ばまでの2ヶ月間に、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催されるクラシックコンサートの祭典であり、100年以上の歴史があり、安い料金の立ち見などで、誰もが気軽に質の高いクラシック音楽を聴くことできるようにと始まったものらしい。
たくさんあるプログラムからどれを選ぼうか迷ったが、日本人ヴァイオリニストの諏訪内晶子さんが出演するということと、演目に英国人作曲家Vaughan Williamsの'The Lark Ascending'があり、この曲は以前、韓国人フィギュアスケータのキム・ヨナ選手がフリープログラムで使用していて、気になる曲だったので、そのプログラムに決めた。しかし、入手できたのは10ポンドのサークルの一番後方の席だった。
当日のプログラムは以下の通り:
DEBUSSY, Prelude a l'apres-midi d'un faune (ドビュッシー、『牧神の午後の前奏曲』)
VAUGHNA WILLIAMS, The Lark Ascending (ウィリアムス、『あげひばり』)
PETER EOTVOS, Seven (UK premiere) (エトヴェシュ、『セブン』)
RAVEL, Sheherazade (ラヴェル、『シェエラザート』)
RAVEL, Daphnis et Chloe - Suite No. 2 (ラヴェル、『ダフニスとクロエ』 第2組曲)
Akiko Suwanai - violin
Sarah Connolly - mezzo-soprano
Philharmonia Orchestra
Susanna Malkki - conductor
オーケストラは女性の指揮者だった。当初、Sevenの作曲者であるPETER EOTVOS氏が指揮の予定であったが体調が思わしくないということで、変更になったようだ。
この日は指揮者、ソリストとも女性が活躍した日で、そんな演奏を思いがけなく鑑賞できてよかった。
上記演目のドビュッシーの『牧神の午後の前奏曲』は以前CDで聴いたときに、つかみどころない曲調に感じ、ちょっと退屈な印象のある曲だったのだが、今回は生演奏ということで、オーケストラや指揮者、ソリストの演奏する様子を双眼鏡で眺めながら、目と耳で鑑賞し、また熱気ある会場の雰囲気を体感しながら楽めた。生演奏の醍醐味を改めて感じた。
2.50ポンドで購入したプログラムには、各曲の聴き方のアドバイス(What to listen out for)が載っていて、なかなかよかった。
たとえば、2003年にスペースシャトル・コロンビア号の空中爆破で亡くなった飛行士たちを追悼して作曲されたエトヴェシュの『セブン』では、以下のとおり。
「それぞれの宇宙飛行士が音楽で表現され、特に、インドやイスラエルの音楽からの旋律を使った部分は、その土地で生まれた飛行士を表現している。作者は49人の演奏家を1グループ7人の7グループに分けている。演奏者たちが互いにどんな風に響きあって演奏しているか、また、6人のヴァイオリンの演奏がソロヴァイオリンにどのように関わりあっているかなどを聴くことができる。電子楽器により奏でられる音もあり、それらは、スペースシャトルの堂々たるマシンを表現し、あるいは、爆発の恐怖や、飛行士、傍観者たちの感情をも表しているのかもしれない・・・」(プログラムノーツより引用)
コンテンポラリーという印象のこの曲は、なんとも形容しがたい感じだった。このノーツを読んでから聴いたからか、パーカッションなどの金属音は、シャトルの破片がパラパラと落ちる音のようで、また、曲調も不安な印象であった。
(つづく・・・)
