あの頃とは遠く離れていてもいまでも変わらずにここに有るものだってある。
生乾きのタオルが風に飛ばされて路地裏に落ちた。
塀と塀に囲まれた細いその道には三色の美しい色を纏った猫がいる。
寝る場所がないならここに置いで。
ここが嫌ならそのベッドでお眠り。
彼女は変わった。
変わる事が当たり前なのだから咎める事は一つも無いし、どちらかといえばかわった原因が何なのかを問いただしたい気持ちの方が強かった。
彼は変わった。
暫く見ないうちにまさかこの短期間でと思う様な変化を遂げた彼もまた、咎める事など考えもしなかった。
あなたは生きたい様に生きて、私は相変わらず道の真ん中だろうと何処だろうとかまわず歌うだけだ。
あなたの様に生まれたかった。
それでも私は、私の様に生きて生きている事にこの上なく満足しているよ。
月日が流れてその声が枯れたとしても決して枯渇する事無い魂の灯火。
私は確かに其処に居る。