静かな静かな水面に小さな小さな石が落ちた
最初は小さな輪を幾つも幾つも生み出し、其れは次第に大きな波紋となって波打ち際まで果てる事無きかの様に広がっていった
その水面が人だろうか
石を投げたのが人だろうか
石そのものが人だろうか
人は人と出会う時に心が揺れ、時に分かち合い、時に傷つけ合い、時に哀しみ憎しみ、そして愛を覚える
弱さ故にあなたを傷つけて、愚かさ故にあなたに嫉妬して、小さな魂にいっぱいの後悔を詰め込んで其れでも進んでいくんだろう
要らないものは自分で決めて、連れていく愛しく美しい灯火の数々
ぎゅっと抱えて小さな塊になったら飛び込むあの水面
飛び込む水面
揺れる水面が人だろうか
石そのものはなんだろうか