肩を超えて私の前方へと風が吹き抜けて行った。
あっという間に置き去りにされてしまった私はそれでもゆっくりと畑に向かって歩きだす。
少し進んだところでさっき吹き抜けて行った風が小さな旋風になってくるくるとまわっていた。
その少し手前の角で立ち止まりしばし一緒に踊った後、また畑に向かって歩きだした。
足の指の間からはみ出した名の無き草花が強い土の匂いを放っている。
歩こ、歩こ。
夕飯の支度を始めた道沿いの家からふわふわといい匂いがしてくる。
また風が吹いた。
もうすぐ雨になるだろう。
私はまだまだ畑に向かって歩き続ける。
収穫の日に間に合う様に、止まること無く歩き続ける。
道は長いから、あせらずしっかり歩みゆくのです。