相変わらず駅の構内は複雑でわかり難く、行きたい場所に辿り着くのに大きく遠回りをしてしまう。
よく考えているつもりが、実の処は雑念にまみれて先程から何も変わっていない。
睫毛の先に無数のパールをちりばめて、もうすぐ夜に旅立つだろう。
視界は遮られても心が澄んでいるうちは見えないものなど余り無い。
聴きたい音はどんなに小さくとも鼓膜に深く響き、螺旋を描いては体の中で増幅されて意識を丸ごと奪っていく。
低くうねるデジュリドゥの魂がリズムを産んで彼方此方に響いてゆく。
遮るものの無い体にはなんと美しい音が響くのだろう。
思考も雑念も去り、只此処にあるだけの体に。
そののちに、考えていた事は呆気なく姿を現す。
待っていたよ、
こんにちは、ありがとう、また会いましょう