八十八夜、梅雨の予感 | 道標を探して

道標を探して

 ただ、そこに進んでみたい道がある。
 仰いで見たい空がある。
 踏んでみたい土がある。
 嗅いで見たい風がある。
 会ってみたい、人がいる。

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若葉の青臭さを感じる風を心地よく思いながら自電車を走らせていると、にじむ汗がなかなか乾かず、雨がこれから少しずつ雨の日が多くなり、梅雨が始まるだろうことを地球が知らせているような気がした。

南風が強く吹いている。
青空には薄く広がった雲が入道雲もどきの形をして、下界を見下ろしている。

都心の大学に通学するようになってわかったことだが、どうも季節の移り変わりと空の色は田舎の方が自己主張が強いらしい。

田に植えられた稲が泥に根を張り、若葉の色が水に映えるようになってきた。


人は、私はこの季節の植物の姿に小さな頃から魅せられてきた。植物たちは冬の自分を知りながらも「早く、もっと」と言うように、前向きに全力で走り抜こうとしている。

ーー私はここまで強く生きることはできない。それでも彼らのひたむきな生き様を見ていると、元気を与えられているような気になる。

また、新しい一週間が始まった。
のびのびと、とまではいかないだろうが、せめてしおれず、枯れずに生きていければと思う。