今日、俺の弟が野球部をやめた。小学校から続けてきた、6年間も続けてきた野球をやめた。
2週間前、あいつは高校の野球部の部活についていけず、疲労骨折を起こした。
あいつはがらにもなく熱心にリハビリに取り組んだ。早く復帰したいと願っていた。当然だ。一年の時に監督に見られていなければ、3年でベンチ入りを果たすのは難しい。
先日、まだ治らない疲労骨折がいつ治るのか担当医に訊いたらしい。結果をいえば、残り全治3ヶ月だった。
別に野球で名を連ねている高校ではなかったが、それなりにへこんだのだろう。監督に今日、退部の意思を伝えたと言っていた。
さて、ここからが俺の今日の本題だ。
正直、別に弟の決断にケチを付ける気はないし、彼をどうしようとも思わない。事件は俺が塾から帰ってきて、遅めの夕食を食べていたときに起こった。
俺の父親が、俺の夕食を食べている同じテーブルで漫画を読んでいた。
母「(上の理由)で野球やめるんだってさ」
父「ふーん」
母「で、それを知らない野球部の友達から連絡網が入ってきて、もうやめるってことを伝えたら、止められたそうなのよ」
父「そりゃそうだろ」
母「で、その理由を伝えて、電話を切ったあと、隣の部屋で泣いてたのよ、あの子」
父「当たり前だろ」
俺はこの発言にちょっとモヤモヤしたものを感じたが、まぁこの人が一番弟の部活に力をいれていたし、まあそれくらいはあいつの事を理解した上での発言なんだろうな、と思っていた。
父「でもなんであいつ辞めんたんだ? ああいうところで社交性云々を育てていくもんなんじゃないのか」
父「そもそも俺はそんな話聞いてなかったぞ、まあ勝手に辞めたんだから当然だろうがな」
母「そんなこと言わなくてもいいでしょう」
俺「あいつはあいつなりに考えて決めたんだろ?」
父「だから俺は言ってたじゃないか、受験の間でもちゃんとランニングなりなんなりして、体を作っておけと」
母「そんなこと今更行ってもしょうがないでしょう?」
父「でも俺は再三言っていたぞ? なのにあいつは何もしなかった、俺の言うことは何も聞いていなかった。暴力をふるえば文句を言う、口で言っても聞かない」
このあたりから俺はモヤモヤが怒りに変わり始めていた。一応言っておくがこのオヤジは本当に根っこから腐っているのだ。既に俺が生まれてから職を4度変え(しかも同じ職種)、そしてどこに行っても愚痴を子供の前で垂れていた。それが原因で夫婦喧嘩もよく見てきた。子供の頃から俺はそれがものすごく怖くて嫌いだ。
俺はそれが嫌でとにかく父親から逃げ、父とできるだけ同じ部屋にいないようにしようと、今でも努力している。
母「あなたちゃんと反省してるの? いつもそんなことばかり言って」
父「反省はしてるよ、それなのにお前はいつも俺の揚げ足をとって俺を怒らせるんだろうが」
父「そもそもあいつは何もしちゃいない、なのに医者代を払わせ、親に文句を言い……。だから退部なんてことになるんだ。ずっとゲームばっかりしてるからそうなるんだよ」
父「だからいつも言ってるだろうが、俺のマイナスは子供たちにまで影響するって、なのにお前は俺とヤってやる気にさせないから云々」
俺「ごちそうさま」
夕食終了、食器を片付ける。当然俺は糞親父に文句は言わなかった。怖いからだ。得体のしれないものに暴力を振るわれるのが怖かった。俺は4菜の頃、たしかに一度父親に蹴り飛ばされている。親は揃ってそれを否定しているが、俺はどうしてもあのシーンだけは脳裏から離れさせることができない。
ただ、ふつふつとこみ上げる怒りはあった。どうしても俺は自分の息子を小馬鹿にし、侮辱し、その理由を妻との肉体関係を持っていないからという理由で終わらせようとする、そんな得体のしれない生き物を許すことができなかったのだ。
だから、俺はそんなことを風呂に行く途中でずっと唱えることで仕返しとしてやった。
俺「では言うが、自分が果たして子供たちに威厳を感じるような態度を見せたことがあったか?」
俺「常に帰ってきてからは愚痴を言っている父親を、息子は尊敬したいと思うか?」
俺「ヤらせろヤらせろと、43にもなって41の妻に言う姿を息子が見て、そんな男に6年間も続けてきた大事な16年間の人生の一大選択を相談することができるか?」
俺「結局のところ、あんたはあんた自身ですべての元凶を生み出していたんだよ、自分でも分かっているくせに」
復讐完了。
その後は俺はなうに愚痴を叩き込んでいた。
その始終を短いので全部乗せるとしよう(一部編集)。
糞親父が、タヒね
タヒね
何が俺は言ったよだ、タヒね
お前は子供たちに「俺の親父はすごい奴だ」みたいに思わせるように行動していたか?
子供たちに父親のあるべき姿というものを見せていたか?
職を何度も変え、そのたびに愚痴を漏らしていたお前の姿を俺たちがどう見ていたか知っているか?
阿呆が、タヒね
タヒね
俺は認めんぞ、お前が俺の父だとは決して認めん
お前はただのオッサンだ。その崩れた精神を俺は半分も受け継がない。お前はお前の父親じゃない
タヒね、即刻タヒね。せめてタヒ亡保険金で俺たちを養え
お前は父親じゃない、言えてもお前は「保険金」だ。だからさっさとタヒね
糞が、何故お前が俺のDNAの半分になった? タヒね
以上だ
子供は親を選べない。まあおやだってこどもはえらべないんだかな。
まさか自分の愚痴をこんなところで書かれているとは思うまいよ。
ただ、俺はそれほどにお前を許せなかった。いや、これからだって絶対に許しはしないだろう。その事実は重く受け止めておくべきだ。せめてもの贖罪(しょくざい)としてな。
指が疲れたからもうそろそろやめるとしよう。
俺はオヤジを絶対に許さない。
そして俺は俺自身が父親になったときに同じことをしそうでものすごく怖い。だから俺はこの遺伝子をここで途絶えさせることに専念する。俺は本気だ。俺の中のお前を殺せるならそんなもん安いくらいだ。
くそったれ、タヒね