ちょっと前の話で恐縮なのですが...。
去る9月半ばから10月初めまでの約3週間ほど、あの有名な凱旋門が、銀色にラッピングされていました!
こうしたイベントには目がないので、早速秋晴れの美しい日に、凱旋門へ出かけてきました。
これは、ブルガリア人の「クリスト」こと、クリスト・ヴラディミロフ・ジャヴァチェフと、そのパートナーであるフランス人の「ジャンヌ=クロード」ことジャンヌ=クロード・ドゥナ・ドゥ・ギュボンの二人のアーティストによる作品です。
彼らは、歴史的建造物や自然を「ラッピング」するというやり方で、自身のアートを作り上げてきました。
本来なら、この凱旋門のプロジェクトは2020年に実施される予定だったけれど、コロナのせいで延期。
さらに不運なことにクリストが2020年5月に亡くなってしまい、残念ながら彼は完成を目にすることができませんでした(ジャンヌ=クロード氏は2009年に他界されています)。
現在はフランス北部に住む、フランス人の友達に凱旋門の写真を送ったところ、彼女が昔パリに住んでいた1985年に、パリ最古の橋「ポン・ヌフ」が布でラッピングされたイベントを目にしていたそう。
「クリーム色の布で包まれた橋を、オフィスに行くときに歩いたのを覚えているわ〜」と懐かしそうに教えてくれました。
この女性とはこのイベントについてだけでなく、いろんなことをお喋りして、
とても楽しい時間を過ごさせていただきました!
凱旋門の周りの広場は鉄柵で囲まれており、中に入るにはワクチン接種証明を提示し、マスクを着用しなくてはいけません。
(ちなみにこの時は、街を歩く時はマスク着用は義務ではありませんでした。)
私はワクチンを接種しているので、めでたく中に入ることができました。
凱旋門の周りには、上の写真のような出立のスタッフの方がいて、みんなの質問に答えてくれていました。
たまたま私がお話ししたこの女性は、ギリシャから留学に来ている学生さんでした。
私が日本人だとわかると、「私たちが着ているこのユニフォームは、クリスト氏たちと友人である三宅一生さんがプロジェクトに協力するために、特別にデザインしてくれた物なんですよ」と教えてくれました。
確かによく見ると、長袖のシャツと黒いパンツは、彼のシンボルともいうべきプリーツデザインでした。
またシャツの色も、この女性は赤だったけれど、周りを見渡すと青と白を着ているスタッフもいます。もちろんこれはフランス国旗の色である「トリコロール・カラー」をモチーフにしているんですよね〜。
ちょっとピンボケですが(涙)、手にしているのが実際に使われている織地の断片です。
先ほどのスタッフの方が、ウエストポーチからこの織地の断片を下さいました。
遠くからみると、まるで薄い布が凱旋門を覆っているように見えるけれど、実際に実物の織地を手にしてみると、思いの外厚いなあと感じました。
今回、凱旋門をラッピングするために使われたのは、ポリプロピレン製のもの。100%リサイクルできる2mm弱の厚さのブルーの織地に、片面にアルミが吹き付けられているしっかりした物です。
(ヨガ用のマットの、薄いものといったら想像していただけるでしょうか?)
クリスト氏が意図してデザインした通り、風に吹かれて生地が動くたびに、光を反射したり空の色を写して、凱旋門が次々に魅力的な表情を作り出していました。
昼間の青空を映し出す凱旋門も素晴らしかったけれど、きっと夕焼けに染まる姿や、夜景に浮かぶたたずまいも美しいだろうな〜と思いました。
こんな美しいアートが無料で誰にでも楽しめるなんて、パリに住むことができて本当にシアワセだな〜と心から思う1日でした!