安全過ぎる程の前続車との距離、


一瞬の減速の挙動、


そして、教科書どうりのアイ・コンタクト。


丁寧過ぎる走行が逆に仇となって、小学生に判断を誤らせてしまったのか。


直前まで合わせていた視線を外すやいなや、いきなり至近距離から車線へ飛び出して来た。


咄嗟に右に避けながら、急ブレーキ!


止まらない!

踵が床に支えて踏み込めない!

足首が伸びない!

ギブスの踵が二重に邪魔をして、ペダルの最後のひと踏みを遮る。

心臓が飛び出しそうな瞬間がやたら長く感じる。


対向車線にはみ出しながら通常では考えられない制動距離を過ぎて・・停止。


子供は!?


ワタシの車の左前輪のすぐ横、


ドア・ミラーの寸止め。


センターラインで呆然と立ち尽くしている。


間一髪とは、まさにこの時のためにある言葉。


慌てて駆け寄って来た母親は、車を降りたワタシに平身低頭の平謝り。


その男の子(申し遅れましたが・・)を連れて、そそくさと現場を立ち去って行く。



ギブスが自動的にABSの役割を果たして
スリップを防いだようである。


足が健康な状態で、濡れた路面でブレーキを
ロックするまで踏み込んでいたら、


更に制動距離は伸び、確実にスピンした車の側面で彼を跳ねていたにちがいない。


良かれと思った安全運転が危険を呼び込み、ハンデのはずの怪我とギブスが事故を未然に防ぐ。


世の中、何が凶となり、何が吉と出るかは人知の及ばないところ。


まさに天の配剤ともいえる幸運に恵まれた、


怪我の功名の顛末でした。


ミナサマも、くれぐれもご安全に。



おわり
それから二週間ほど経つと、さすがにギブスにも慣れて来る。


鞄と松葉杖を抱えてすし詰めになる満員電車のラッシュに比べれば、車通勤は天国のよう。



小雨の降るその日、珍しく定時に仕事を終えて、いつもの通勤ルートである新興住宅地の外周道路に差し掛かる。


下り坂、緩やかな右曲がりの高速カーブ。


そして、後にこれが仇となるとはつゆ知らず、


濡れた路面に注意しながらいつもより車間距離を取って慎重に走っていると、


カーブの真ん中あたりの走行車線側左手の歩道の柵の切れ目に、一人の児童を発見。


年齢は小学校低学年くらい。


傘もささず、道路の反対側を気にしている。


その視線の先には、母親らしき人がしきりに手を振って、渡るのを制止している。


アクセルから右足を上げ、減速準備に入る。


前の車が通過して、ワタシの車との距離が25mを切ったくらいのタイミングで、その子と視線がピタリと合う。


1秒弱くらいの間だっただろうか、


こちらを認識出来ていると判断するのに十分過ぎるほどしっかりと目線が合った。


制止する保護者。


横断しようとする相手との典型的なアイ・コンタクト。


過去において、この状況とタイミングで横断された経験は皆無・・


また、通常の(大人の)感覚では、まずあり得ない。


そしてその直後、

それまでのワタシの常識と判断は、

ものの見事に覆されたのでした。



つづくあせる

ワタシが三十路を越えた頃の
怪我にまつわるオハナシ。


当時、とあるアウト・ドア系スポーツのクラブに所属していたワタシは、とある理由でとあるミスをして、右足首を強打してしまいました。


現場では打ち身くらいにしか思っていなかったのが日増しに痛くなって、会社の階段の登り降りにも影響が出て来る始末。


夜には寝返りを打つ度に激痛が走る。

(せめて"歩いて"・・)


いくらなんでもコレハおかしい。


さすがに異変を感じたワタシは翌週になってようやく、会社の傍の整形外科に行く。


レントゲンを見ながら何故か楽しそうな(?)様子のセンセがおっしゃるに、


"・・折れてますネ。"


センセが指差すレントゲン写真を見ると、確かに足首の外側の細い方の骨が、見事にポッキリ。


折れるというよりは、刀で竹を斜めに切断したみたいな画像。

(痛そ長音記号1! イヤ、痛い。)


"よく一週間ガマン出来ましたネ~、痛かったでショ~。"

・・痛く無ければ来ません!
("歯医者の法則"に同じ・・)

とりあえず、と言うより他に為す術も無く、足首から膝の下までギブスで固定される。


そして、手渡された松葉杖はなぜか一本だけ。

(・・ケチ!)


理由を聞くと、折れて無い側(左手)で持って、ギブスのまましっかり歩いて下さいとの事。


そして最後にセンセが付け加えたのが、


"車の運転は控えるように"

これまた理由を聞くと、
"ブレーキペダルを踏み込め無いから"

ナルホド・・一理アリマス。


しかし、実際に運転してみると、特に気になるホドでも無い。


当時、大阪市内の本社と南大阪の倉庫を各日で行き来していたので、車通勤が出来ないと死活問題。


騙し騙し乗り続けていたのですが、


やがてある雨の日、


ワタシはセンセの"一理あるオコトバ"を噛み締める事態に遭遇するのデシタ。



つづく

昨日の様子。
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そして、
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本日の昼。
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・・行きなさい

こころのおもむくままに

いとしい風よ・・

(原作:風の谷のナウシカ より)