安全過ぎる程の前続車との距離、


一瞬の減速の挙動、


そして、教科書どうりのアイ・コンタクト。


丁寧過ぎる走行が逆に仇となって、小学生に判断を誤らせてしまったのか。


直前まで合わせていた視線を外すやいなや、いきなり至近距離から車線へ飛び出して来た。


咄嗟に右に避けながら、急ブレーキ!


止まらない!

踵が床に支えて踏み込めない!

足首が伸びない!

ギブスの踵が二重に邪魔をして、ペダルの最後のひと踏みを遮る。

心臓が飛び出しそうな瞬間がやたら長く感じる。


対向車線にはみ出しながら通常では考えられない制動距離を過ぎて・・停止。


子供は!?


ワタシの車の左前輪のすぐ横、


ドア・ミラーの寸止め。


センターラインで呆然と立ち尽くしている。


間一髪とは、まさにこの時のためにある言葉。


慌てて駆け寄って来た母親は、車を降りたワタシに平身低頭の平謝り。


その男の子(申し遅れましたが・・)を連れて、そそくさと現場を立ち去って行く。



ギブスが自動的にABSの役割を果たして
スリップを防いだようである。


足が健康な状態で、濡れた路面でブレーキを
ロックするまで踏み込んでいたら、


更に制動距離は伸び、確実にスピンした車の側面で彼を跳ねていたにちがいない。


良かれと思った安全運転が危険を呼び込み、ハンデのはずの怪我とギブスが事故を未然に防ぐ。


世の中、何が凶となり、何が吉と出るかは人知の及ばないところ。


まさに天の配剤ともいえる幸運に恵まれた、


怪我の功名の顛末でした。


ミナサマも、くれぐれもご安全に。



おわり